Misson19 言葉にはしない

「さあ、みんな行こう!!」

アリシアの声が各機兵に鳴り響く。
ザムレイズ軍との戦いが待っている。

「アリシア、無理しちゃダメよ」
「リシェルさん、分かってます。大丈夫ですから」
「そう、ふふ、これが最後の戦いになればいいわね」

リシェルの言葉にはどこか含みのもたせたモノがあった。
アリシアは少し疑問に思ったが特に口出しをすることがなかった。

「ふぅ…」

コクピットの中で溜息をするアリシア。
手が微かに震えているのが分かる。
戦えば死ぬかもしれない、そんな恐怖は常に付きまとっている。
この狭い空間の中に自分を押し込め、戦いへと赴く。

「アリシアちゃん」
「なに、ルピナちゃん?」
「みんなを守ろうね」

今までルピナと話してきて、とても強く決意に満ちた言葉だった。
みんなという言葉にどれだけの人が含まれているか分からない。

けれど、アリシアにはルピナはきっと母親、妹、そして果ては父親をも守りたい。
そう思っていると感じた。

「ハイシェント出ます!!」

アリシアのハイシェントが出撃すると、あとに続いて次々へと機兵が出撃する。

「来ました、距離1万…、およそ20分後には戦闘宙域に入ります」

オペレーターの声がそれぞれの機兵のレシーバーに入る。

いよいよ、ザムレイズ軍との決戦が始まろうとしていた。
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# by meruchan0214 | 2008-11-15 07:42 | 守護機兵 ハイシェント2

Misson18 戦いの幕開け

ザムレイズ軍が投降という形でこの戦いは決着はついた。
というよりは、ザムレイズ軍の大半がウロボロスに裏切ったと言った方が正しいだろうか。

「ザムレイズ軍第3部隊レセリス艦艦長、ヴェルボルテさん…ですね」

捕虜として捕えられたザムレイズ軍の司令。
アリシアとは皮肉にも立場が逆になってしまった。
リシェルは淡々と言葉だけを発する、それはまるで感情のない機械のようだった。

「あなた方地球に住む者達が彼らに協力していても不思議はありませんでしたよ。イオシスさんやステイルさんも同じ立場ですからね」
「お前達はザムレイズに勝てると思っているのか?対策を立てるだけでは勝てない相手であるというのは分かっているだろうに」

確かにヴェルボルテの言うとおりだった。
相手の行ってきた行動に対策を立てているのでは、ウロボロスがどうしても後手になってしまうことを意味する。
何かしら相手よりも先に手を打つ必要があるのだ。

「ザムレイズはレフィンが地球から持ってきた技術との融合によって、お前たちよりも遥かに技術が進んでいる。勝ち目がない事は分かり切ったことなんだぞ」
「でも、だからって、一部の人間だけが救われることはいけないと思う」

リシェルとヴェルボルテの会話に口を突っ込んできたのは、アリシアだった。

「確かにあなた達はそれでいいかもしれないけど、ザムレイズ軍が支配するようになったら他の人たちはどうなるの?」
「さあな、そんなことは知らん」
「私はこの艦に乗ってる人たちが大好き。だから、戦うのは怖いけど戦ってるよ。だって戦わないと皆を守れないんだもん。勝ち目がないからって、相手に謙るのは…逃げてることだと思う…」

アリシアは自分の言葉をうまく発することができなかったが、自分の気持ちをぶつけたかった。
周りの人間はその言葉をただ黙って聞いていた。

「無謀と勇気は違うと教わらなかったのかね」
「無謀じゃない、それに勝ち目がないわけじゃない。艦長さんも分かってることじゃないんですか?心の中ではきっと」
「うるさい!!」

ヴェルボルテは一喝して、アリシアの言葉を止めてしまった。
急に大声をだされた為、アリシアは驚き少し強張った表情をする。

「とにかく、貴方方には独房に入っていてもらいます、連れて行きなさい」

リシェルの命令でヴェルボルテ達は独房へと連れて行かれた。
そして、残ったのはアリシアやフリス、アコナ達とザムレイズ軍を離れウロボロスへと下ったザムレイズ軍の人間達だった。

「予定よりも早まってしまいましたが…」
「いえ、貴方達には感謝しています。お陰で双方にあまり被害を出さずに済みました」
「そういっていただけると助かります。ですが…」

イオシスはそこで口を閉ざしてしまう。
言いたいことはそこにいる者達は瞬時に理解していた。

「分かってます、これからが厳しい戦いになることは…」

最初に口を開いたのはリシェルだった。

「でも、戦うしかないんですよね…」

アリシアも口を開いた、ここまできた以上はザムレイズ軍との総力戦になることは必須だった。

「敵も本気、我々も本気というわけか…」
「そうね、フリス。また、あの時みたいな大きな戦いがあるのね…」

ウロボロスの艦隊が強いとは言っても、所詮は1艦隊の軍勢に過ぎない。
確かに規模は大きいし、一国の持つ軍隊以上ではあった。

「我々の艦隊も後数時間後には合流できるかと思います」

緊張した空気が流れる。
さっきの戦いは前哨戦に過ぎない。

本当の戦いはこれから始まるのであった。
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# by meruchan0214 | 2008-11-13 02:52 | 守護機兵 ハイシェント2

Misson17 変貌と不変

戦いは機兵とパワードールの総力戦となった。
ハイシェントとエルブラストに搭載された中和装置が動いている以上、
お互いの電磁シールドに意味はない。

「実力勝負なら、負けはしないよ!!」

アリシアはハイシェントを駆り戦場を舞うように動き回る。
一騎当千まさにこの言葉が相応しかった。

一機、また一機と次々にパワードールを撃墜していく。
それにより、人の命も失われるがアリシアには迷いはない。

「アルシェ部隊は左を!レルス部隊は右の守りを固めなさい!!」
「了解しました!!」

グランデイズに乗るリシェルは最前線で部隊の指揮を取っている。

「リシェルさん、その機兵は…」
「こんな時も来ると思ってね。修復しておいたのよ、中身は最新式だけどね」

フリスは以前失われたグランデイズに少し驚いていた。

「この子やハイシェント、エルブラストがある限りは負けはしない、そうでしょ?」
「ええ、そうですね」

簡単な通信のやりとりをした後、フリスとリシェルは直ぐに戦いに舞い戻る。
戦況はウロボロスが押していた。



「ええい、増援はどうなっている!?」

ザムレイズ軍の旗艦は徐々に押されている様を見て、焦りを覚え始めていた。

「なぜだ、何故ハイシェントがこの場にいるのだ!!」

間違いなく、ウロボロスやハイシェントにはウィルスを送り込んだはずだった。
およそ、この地球圏の人間は解けるはずでないモノではない。
それは地球に住んでいる自分が良く分かっていた。

だが、現にウロボロスやハイシェントは何事も無かったかのように起動している。
艦長にとってはこの事は完全な計算違いだった。

「もう、御終いですよ。艦長殿」
「誰だ」

部屋に入ってきたのは、イオシスだった。

「貴様は戦闘中だろうが、勝手に入ってくるとは命令違反だぞ!!」
「貴方には既にその権限はありませんよ。この艦は我々がすでに制圧しています」
「なっ…」

驚きの表情を隠せない艦長。
しかし、周囲をみてそれを認めざるを得なかった。

「くそ・・・」

そうして、この戦いはザムレイズ軍の投降という形で幕を閉じることになる。
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# by meruchan0214 | 2008-11-03 21:31 | 守護機兵 ハイシェント2

狼が鳴く時 登場人物

狼が鳴く時 登場人物

注意:これはブレイドオブアルカナを題材にした小説です。
    世界観などは全てこれに依存しているため、
    分からない方は一度ググってみて下さいまし。
    一応、知らなくても楽しめるはず…です。

レイフォン ?才 ♂ 
齢1000年以上のオオカミワシと呼ばれる種族。
体は狼で6対の羽を持っている、聖痕を全て天に返すという使命を持っている。
王と女王と同じく不老不死だが、あくまでも労働階級である。
歳を重ねているせいか非常に傲慢だが、それに見合う実力は持っている。

グラヴィアラ・レウトラス(通称:グラ) 16才 ♀
魔神により、自分の王国が滅ぼされた元王女。
闇の眷属に殺されかけたところをレイフォンによって救われた。
魔神を封印する小瓶を持っており、それによって国を滅ぼした魔神を封印するために旅を続けている。
レイフォンがいつも傲慢な態度を取るため、主にフォロー役をやっている。
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# by meruchan0214 | 2008-10-27 07:16 | 狼が鳴く時

Misson16 秘めた力

リシェルは新たにロールアウトされた機兵に乗り込んだ。

「いくよ、グランデイズ…」

グランデイズ、リシェルが以前の戦いの時に使用した機兵。
ヴェルゼの兵器を破壊する際に失われたはずだった。

「みんな、アリシア達が帰ってくるまでは無理しないで!!」

ハイシェントやエルブラストがないと、相手の電磁シールドをどうすることもできない。
必然的に防戦を強いられることになるのだ。

「ジョニカ、任せたわよ」
「了解しました」

リシェルはグランデイズを出撃させた。
それを追うようにウロボロスのパイロット達は次々と出撃した。

「アリシアちゃん、もう戦闘は始まっているみたいだよ!!」
「うん、急ごう。お父さん、お母さん!!」

ハイシェントとエルブラストは戦闘区域まで速度を増す。

「ウロボロスにはあまり近づきすぎるなよ、アリシア」
「うん、わかってるよ」
「それじゃ、親子揃って戦場に赴きますか」

ザムレイズ軍との戦いが再び始まった。
ハイシェントとエルブラストが電磁シールドを無効化するお陰で機体の優劣はほとんど機兵やパワードールの操縦者によるものになった。

「皆、がんばって!!」

全体的な能力はウロボロス軍の方が上であった。
徐々にザムレイズ軍が後退していく。

「そこっ!!」

ハイシェントやエルブラストはいつも以上の活躍を見せつける。
特にハイシェントは最新技術の固まりと言ってもよかった。

「アリシアちゃん、調子いいね」
「ルピナちゃんもね、この調子でガンガン行くよ」

戦わないといけないことは分かっている。
戦うことで相手が死ぬことも分かっている。

戦わなければ自分たちの場所が無くなってしまう。
だから、守る為にアリシアは戦うことができる。

「ザムレイズ軍の増援です!!」

アリシアにはあの戦艦が見たことがあった。

「あれは!!」

以前、アリシアが捕まった軍艦。
忘れもしない、地球の人間が指揮する艦だった。

「今度は思い通りにはさせないんだから!!」

アリシアの表情が激しく変わる。
まだ、この戦いは始まったばかりなのだから。
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# by meruchan0214 | 2008-10-27 06:52 | 守護機兵 ハイシェント2

Misson15 策略と

リシェルは一人艦長室に居た。
その手には通信機器が握られている。

「ええ、お願いね」

誰と通信しているかはリシェルのみが知っている。

「さて…」

リシェルは一通り通信が終わると椅子から離れ部屋を出た。
その表情は何か名案を思いついたような顔であった。
足取りはいつもよりも軽いように思えた。

「リシェル様」

ジョニカがリシェルに話しかける。
深刻そうな顔をしており、いかにも作戦の直前と言った顔だ。

「そう、予定通りね」
「ええ、アリシア達は間に合うでしょうか?」
「間に合うわよ、信じなきゃね」

その言葉には少しも迷いがない。
次の瞬間にはウロボロス内に警報音が鳴り響いた。

「よし、ジョニカはウロボロスの指揮をお願いね」
「了解しました」

リシェルは足早に機兵の格納庫へと向かった。
格納庫ではリシェル専用に新しい機兵が準備されていた。

「この子の完成度は?」
「完全ですよ、リシェル様」

整備員の言葉に満足そうに笑うリシェル。

「出撃準備を!!アリシア達が戻ってくるまで持ちこたえるわよ!!」
「了解!!」

リシェルを筆頭に次々と機兵が出撃していく。

「さてと、行きますか!!」

自信たっぷりな言葉を放つリシェル。
その言葉にはいつもと確実に違う真意が隠されていた。
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# by meruchan0214 | 2008-04-23 22:30 | 守護機兵 ハイシェント2

Misson14 邂逅

ルピナのAIは無事に新たなハイシェントへと移された。

「どう、ルピナちゃん?」
「うん、前よりずっと調子いいよ」

ウィルスに侵食された事も特に問題はなく、今までと同じように振舞うルピナ。
ソレを見るだけでアリシアは少しうれしかった。

「よし、それじゃあ試運転しよっか」

アリシアはハイシェントに乗り込み何時もと同じように起動する。

今までと同じ感覚だったが、まだ新品のにおいがする。
ロールアウトしたばかりの新しい機兵だ。

「全体的に性能は向上してると…」

触って直ぐ分かる範囲ではあるが、以前のハイシェントよりも動かしやすい。
まるで、自分自身に合わせられているみたいだった。

手足のように機兵を操るアリシア。
フリスとアコナはそれをただ見ていた。

「これが戦いの為じゃなければいいのだけど…」
「しょうがないさ…、でもやらないといけないからな」

二人は昔を思い出していた。
過去にあったこと、戦わなければいけない。
戦争はしたくないがしなければ、何も残らない。

アリシアもそれは分かっていることだろう。
だからこそ、今機兵に乗っている。
表にこそ出さないがフリスもアコナも分かっていた。

「ただいま!!」
「おかえり、アリシア。どう新しいハイシェントは?」
「うん、絶好調だよ!!」

アリシアは楽しそうに返事をした。
ルピナと一緒に空を駆けたのが楽しかったのだろう。
ほんのひと時の休みではあるが、それを心底楽しんでいるみたいだった。

「皆さん、リシェルからの通信です」

モイライからの呼びかけ、アリシア達はすぐさま通信施設へと集まった。

「ご苦労様、何とか無事に終わったみたいね」
「ええ、お蔭様で。ちょっと大変でしたけど」

画面の向こうにはリシェルが移っている。
特に変わった様子もなく、何時もと同じ笑顔を浮かべていた。

「あの…」
「何かしら?」

アリシアはリシェルに聞きたい事があった。
ハイシェントに使われていたパスワードの事。

「リシェルさんがハイシェントのパスワードを?」
「ええ、それがどうかしたの?」

リシェルはアリシアが聞きたいことを察してはいたみたいだったが、あえて聞き返してきた。
それはアリシア本人への問いかけだったのかもしれない。

「どうして、夫の名前をいれたんですか?」
「どうしてって、いけないのかしら?」

アリシアは半分は予想していたであろう返答に返す言葉がなかった。
本心を言いたがらないリシェルだからこその返答。
こう言う時のリシェルは絶対に本心を話さない。
だからこそ、未だに夫のことを忘れられないという事も何となくは理解できた。

「いえ、別に」
「そう、出来るだけ早く戻ってきてね。モイライから装置は受け取ったでしょ?」
「はい」

リシェルはいつもと変わらない口調で会話を続けた。
アリシアはそれをただ黙って聞くしかなかった。

「それじゃお願いね」

通信が切れた。

アリシアはフゥっとため息をつき、顔を上にあげる。
忘れられない夫が今敵としているというのはどんな気持ちなのだろうか。
自分にはとても想像がつかなかったのだ。

「明日にはシャトルの準備が終わります」
「モイライさん、ありがとう」

アリシアはモイライにお礼の言葉を言う。

「今はゆっくり休んでください、また直ぐに戦いが始まりますから」

モイライの言葉、そう戦いはまだ続いているのだから。
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# by meruchan0214 | 2008-04-07 21:51 | 守護機兵 ハイシェント2

misson13 見せられない気持ち

アリシア、フリス、アコナ達がいなくなってからのウロボロス。
その中でリシェルはウロボロスの中枢部に居た。

「ふぅ……」

リシェルは少し溜息をつくと、自分にあるジャックケーブルを取り出すとウロボロスに接続する。

「ごめんね、少し借りるわよ」

リシェルはウロボロスのシステム内に入っていく。
自分が既に人間ではないリシェルは電子の中へと入っていった。

「私の予感が正しければ……」

リシェルはウロボロスのシステムを見ていた。
おびただしい量の数字の羅列を並列に処理していく。
人間には理解できない領域だろう、だがウロボロスのシステムに入ったリシェルなら容易いことだった。

「やっぱり……」

リシェルが見つけたのはウロボロス内に仕掛けられたウィルスであった。
見た目にはウロボロスのシステムに変調はないが、相手にこちら側のデータが送られている。
しかも、下手に触ればウロボロスのシステムがダウンする可能性もある。

リシェルは一旦電子から抜けると、自身の回線を使いどこかに連絡を取り始めた。

「うん、お願いね。貴方のサポートが必要なの」
「仕方がありませんね、分かりました」

その通信先は地球に向けられていた。

「貴方とまた一緒にこんなことをするとはね」

リシェルは少し嬉しそうに言葉を発した。
かつての仲間と共にやるということは、長い時を生きてきたリシェルにとってはうれしいことなのだろう。

「では、シンクロしますよ」
「いつでもいいわよ、ノルン」

ノルンの力を借りてリシェルは再びウロボロスの中へと入っていった。
気が遠くなるほどの1と0の中でリシェルとノルンはウロボロスを治していた。
人ではなくなった彼女等にとって、この作業は容易いものだった。

「リシェル、それを隔離してください」
「これね」

リシェルは周りのシステムに傷をつけないように慎重に問題の部分を隔離した。

「これでよしと…」
「それで、そのプログラムはどうするのですか?」
「まぁ、いろいろ考えがあるのよ、私にもね」

リシェルは少し残酷そうな笑みを浮かべる。
それをノルンはやれやれといった表情で見つめていた。
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# by meruchan0214 | 2008-02-06 22:51 | 守護機兵 ハイシェント2

久しぶりについての独り言

まぁ、更新も含めて色々です。
タグとか整理したいんですけど、あまりにも多くて諦め気味…

誰か代わりにやってください!!

ごめんなさい、うそですorz

小説はボチボチと再開していく予定です。
ハイシェント2は大体30話くらいで終われればいいなあと思ってます。

ここから先の展開は果たしてどうなるのかは当然ですが秘密です。
もしも、希望があったら少し添えるかもしれない。

とりあえず、ペースがかなり落ちてるので気長におまちくださいませ。
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# by meruchan0214 | 2008-02-03 21:10 | 独り言

misson12 どんなに……

「ここが地球……」
「あの時以来か……」

アリシア、フリス、アコナの三人は地球の軍に迎えられて、地球に降りていた。
アリシアは初めての地球に少し興奮している。
今までウロボロスの中しか知らなかったが、ウロボロスの外はこんなに広い世界なのだと、アリシアは感激していた。

「お父さん、モイライってコンピュータの場所、分かってるの?」
「まぁな、こっちだ」

フリスの先導でモイライの場所へと向かう。
ウロボロスや宇宙にはない違った爽快感がこの地球にはあった。

「でも、何となくウロボロスに似ているよね」
「そうね、でも、正確に言うと、ウロボロスに似ているんじゃなくてウロボロスが似ているなんだけどね」
「そういえば、ウロボロスは地球の環境をベースにしているって授業でやったっけ」

戦争中でなければもっと楽しめるのに、そう思いながらもアリシアは進んでいく。
青い海岸線も緑の山も今はゆっくりと楽しむことが出来ない。

「ここだ」

フリスに案内されてついた先は大きな研究施設だった。
機兵ごと中に入ることができるようになっており、ハイシェントとエルブラストはそれぞれ格納庫へと収納される。

「お待ちしていました」

アリシア達が中に入ると、一人の女性が出迎える。

「アンドロイド……?」

外見こそ人間にそっくりではあるが、虚ろな目と抑揚のない声。
機械的な動きがアンドロイドだと分からせた。

「モイライが待っています、こちらへどうぞ」

アンドロイドはそのままアリシア達を奥へとつれていく。
中は奇麗に掃除がされており、過去の物とは思えない。

大きな広間にでると、無数のコンピューターが辺りに敷き詰められていた。

「お久しぶりですね、フリスさん、アコナさん。そして、初めまして、アリシアさん」
「これがモイライ……」

ひときわ大きなスクリーンに女性の顔が映し出される。
それと同時にスピーカーから女性の声が聞こえてきた。

「リシェルさんが、貴方の所に向かえと……」
「はい、話は聞いています。私達は貴方達に伝えなければならないことがあります」

すると、先ほどのアンドロイドが大きな機械を持ってきた。

「これは一体?」
「電磁シールドを中和する装置です。これをハイシェントとエルブラストに取り付ければ、電磁シールドは全て中和することができます」
「電磁シールドを中和……」
「ですが、逆を言ってしまうと、ウロボロス、ハイシェント、エルブラストの電磁シールドが効果を失う事になります」

確かに電磁シールドが使えなくなるのは痛手ではある。
特にウロボロスは戦闘する手段がない。
電磁シールドが使えなくなったら唯の的になってしまう。

「なるほど……」
「ウロボロスの電磁シールドまでも中和するのか」
「はい、まさに両刃の剣です」

しかし、現状では相手の電磁シールドを何とかしない限りは勝ち目がない。
だが、これを使用するのは自分達が倒せても旗艦が落とされる可能性が高くなるのだ。

「あと、アリシアさん」
「はい」
「貴方に渡す物があります」
「私に?」

モイライは隣の部屋の扉を開けた。

「この奥に、私とノルンからのプレゼントです」

アリシアはその言葉にただ黙って歩いていく。
そこは大きな格納庫になっていた。

「これは……、ハイシェント?」

もう一機のハイシェント、細部を見ると元のハイシェントとはやや違うみたいである。

「以前造られたハイシェントを元に私とノルンが改良を加えたものです」
「でも、これだけあってもAIは彼女じゃないんだよね?」
「それは彼女の意思次第ですが…、代わりのAIは作ってはありますよ」
「それじゃ、ルピナちゃんに聞いてくる」
「分かりました」

アリシアはルピナの元、ハイシェントへと向かった。

「あれ……」

アリシアはハイシェントに近づくといつもと雰囲気が違う事に気がついた。

「ルピナちゃん?」

返事がない、いつもならば呼べば必ず返事が来るはずだ。
おかしいと思ったアリシアはハイシェントの中に入る。

ザ…ザザザ……ザ…

モニターが雑音を立てている。
アリシアは直ぐにコクピットに座り、データを見る。

「これは…!!」

データ内にウィルスが侵食している、データを徐々に書き換えている。

「確か通信は隔離されていたよね…、モイライさん、聞こえますか!?」
「はい、なんでしょうか?」
「ハイシェントのデータにウィルスが…、このままじゃルピナちゃんが!!」

一分一秒でも時間がもったいない、モイライは即座にハイシェントへの接続を試みた。

「……駄目です、接続できません」
「そんな…」
「このままいくと、AIが書き換えられますね。地球に対して敵対するように…」
「じゃあ、あの時には……」

アリシアは捕まった時のことを思い出していた。

「どうにかできないんですか?」
「接続できれば何とかなるかもしれませんが…」
「接続……、そういえば以前マニュアルに」

アリシアは以前読んだマニュアルを思い出していた。

「確かここを……」

思い出しながら先へと進めていく。
焦りで手が震えているが何とか先へと進んでいく。

『パスワードを入力してください』

「パスワード…、一体何だというの」

アリシアは考える。
恐らく設定したのは、リシェルかルピナである。
アリシアはとにかくリシェルとルピナの名前を入力してみる。

『パスワードが違います、正しいパスワードを入力してください』

当然の如くパスワードは弾かれた。
残された時間はあまりにも短い、ゆっくり考えることもできない。

「何か、二人の共通すること……、親子……、違う、じゃあ、ほかには…?」

アリシアは残り少ない時間で考える。

「まさか…でも……ね…」

思いついたのは一つ。
でも、それは今アリシア達と敵対している。
しかし、それしかアリシアは考えられなかった。

『認証しました』

「やった!!」

アリシアは直ぐにモイライに接続できるようになったことを伝える。

「ありがとうございます、これなら何とかなりそうです」

モイライは間髪を入れずにハイシェントへアクセスした。
データが徐々に復旧されていく様を見て、アリシアはホッと安心した。
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# by meruchan0214 | 2007-12-20 23:07 | 守護機兵 ハイシェント2