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b3、海だ、空だ、海水浴だ!! 2

「わあ~」

陽子と林は二人そろって海岸へと走り出る
そこには見渡す限りの海岸線が広がっている

辺りを見回すと、妖が本当の姿をさらけだしているのもいた

「本当にこの辺り一体貸しきってるんだ・・・」

陽子は改めて隆泰の凄さに感服した

「ま、そうならそうで思いっきり楽しめるからいいんじゃない?」
「それもそうですね」

とにかく、今回は遊ぶことに決めた陽子と林は海の中へと潜りこむ

ザバーン

「水に入る感触なんて何年振りかしら・・・」

林は海水を手のひらですくいとる

「林さ~ん、あそこのポールまで競争しませんか?」
「いいわよ、じゃあ、よ~いドンで始めましょ」

二人はそれぞれ泳ぐ準備をする

「それじゃ、よ~いドン!!」

二人は同時にスタートする
スピードはやや林の方が優勢だ

『このままじゃ、林さんに勝てない・・・』

陽子は勝つにはどうすればいいか考える

だが、そうこうしているうちにポールまで到着してしまう

「私の勝ち、だね」
「うう~、林さん早いですよ~、私これでも水泳得意なんですよ」

陽子は少し気付いたことがあった
普通、海水で浮くとなると手足をばたつかせたり
何かに捕まらなければならないが、
林は何かに捕まっている様子やばたつかせている様子がまったくない

「もしかして、林さん浮いてるんじゃ?」
「ぴんぽ~ん、その通り。私は樹の精霊だからね、水には浮いちゃうんだ」

しかし、陽子は疑問に思うことがあった
樹が水に浮くことは知っているが、半身は沈んでいる
それが少し納得いかなかった

「んふふ、まあ、その辺が妖の力ってね、実際には今は少し質量を重くしているんだ」
「あ・・・」

そこまで言われてやっと納得した
ようするに、林は自分の力を使って、重りをつけている状態なのだ
といっても、重すぎても沈むだけなので調節が難しいわけであるが

「なんか、ずるいなあ」
「ふふ、気にしない気にしない」

一通り泳いだ後、二人は海岸へと戻る
すると、隆泰がボーっと海を見つめているのに気がついた

「隆泰さん、どうしたのですか?」

陽子が話しかけると、陽子たちに気がついたのか、笑いながら話し始める

「ああ、いやちょっと海見てただけ」
「隆泰さんは泳がないのですか?」
「ん、泳がないよ」

きっぱりと隆泰は答える
確かに、泳ぐという格好をしていない
ただ、散歩に来ただけそういう感じだ

「隆泰さんって、実は泳げないんじゃ?」

陽子は直球で聞くが隆泰はその問いに笑うだけだった

「泳げるよ、ただ泳ぎたくないから泳がないだけ」

もっともらしい理由だが、本当に泳げるのか疑問になっていた

「じゃあ、泳いでみてくださいよ~、隆泰さんの泳いでるところ見てみたいです」

甘えた声で聞いてみる陽子だが、隆泰の返事はNOだった

「だ~め、泳ぐのはいいけど、日に焼けるからね」
「隆泰さんって、凄く女々しいこというんですね・・・」
「い、いいじゃないか、別に、泳げないわけじゃあないんだから」

女々しいといわれて少しショックだったのか、少し言葉使いが変になる

「まあ、そういうことにしておきますね」
「そういうことにしておいてくれ」

隆泰は少しいじけた感じで陽子に答える

「じゃあ、私達は一旦旅館に戻りますね~」

陽子と林は旅館へと戻っていった
by meruchan0214 | 2006-04-11 20:55 | 妖の調べ ~番外編~


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