陽子ちゃんの家族のために芝居をうつことになった私達は夜、リトルガーデンの店で打ち合わせをしている
「というのはどうだろう?」 「ん~、いいかもしれないけど、後々大変じゃない?」 色々な論議が交わされている中、なかなか良い案が思いつかない 結局、誰が敵役をやるのかとか、陽子ちゃんが助ける事となって、演技だと思われないか そういったことが色々問題になっている 「ん~・・・、とにかくだ、襲われないと話しにならないとして」 「うん、そこは賛成」 そう、陽子ちゃんの印象を少しでも良くするためには、 陽子ちゃんが助ける場面を演出しないといけないのだ だが、隆泰君や恵ちゃんは人間だし、私がやると後々で困る 夕子ちゃんは襲うって柄でもないし、立場的にもおかしい気がする 「肝心の仇役をどうするかかあ・・・」 「うし、しょうがない」 隆康君が思い立ったように立ち上がる 「今回の件、俺に任せてもらえます?」 「え?芝居はどうするの?」 「こういう展開はどうでしょう?」 ゴショゴショゴショ 「あ、それいいかも、陽子ちゃんは本気になるだろうから、演技に見えないと」 「内緒ですよ?」 隆康君の案を採用することにした 後はそれを決行する日を決めるだけだが・・・ 「それじゃ、次に陽子ちゃんが家族と遭う日を設定しなくちゃね」 「そうですね、手配しておきましょう」 いよいよ、私達の芝居を打つことを始めることとなる 今回の試みは正直いって成功するかは分からない ただ、芝居を打つにしても打たないにしても、 お互いが大切だと思っていたときに、種族と言う壁を乗り越えれるのは何回か見てきた 芝居を打つのは初めてだけれども、それをやるしかないのだ 「じゃあ、私は見てるだけでいい?」 「構いませんよ、全部俺の方でやるので」 かなり自信ありげな態度をとる隆康君 こういうことに関して言えば、頭が良くまわるから大丈夫だとは思うが・・・ 「それじゃ、準備してきますね」 「了解、私はこのことを陽子ちゃんに伝えておくわ」 私と隆康君はそれぞれの準備に取り掛かる 「陽子ちゃん、例の件の事だけど」 私は事のあらましを説明する 筋書きは陽子ちゃんと家族が一緒に居る時に式神を襲わせる もちろん、実害はないのだが、あくまでも怖がらせるのが目的だ それを陽子ちゃんが妖の力を使って倒すということだ 正直、隆康君がどのくらいの式神を用意するのか分からないが、 多分、相当怖いモノを使ってくると思う 「分かりました、頑張ります」 陽子ちゃんはやる気を全身で表している それだけ今回の事は彼女にとって大事なのだろう 「家族か・・・」 陽子ちゃんの為にも失敗は許されない 後は陽子ちゃん次第なのだ 私はこれが無事に成功するように、ただ祈っていた
by meruchan0214
| 2006-05-01 11:16
| 妖の調べ
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