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22夜 脱力

真達が帰ってきたときには既に全てが終わった後だった

「大丈夫か!?」

隆泰は急いで恵達に駆け寄る

「ん、大丈夫だよ、危なかったけど」

にこやかに笑う恵の顔に隆泰はホッとした表情である

「まさか、メルに助けられるとは思わなかったけどね」
「あいつにか?」

意外そうな言葉、何度も戦ったことのある相手
ライバルなんて関係ではない、ただ向こうは遊んでいるだけだ

「でも、みんな無事でよかったですよ」

真も安心した声をだす
何があった云々よりも、みんな無事だったことが嬉しかった

「そうね~、少し店がボロボロだし、この辺りも大変なことになってるけど・・・」

恵の言う言葉にあたりを見回すと確かに大変なことになっていた
被害が少ない場所を選んでいるとはいえ、住人がいないわけではない
妖との戦闘は普通の人にはただの災害にしか見えない
それ故に人目につくことはほぼないが、危険でもあるのだ

「みんな無事で本当に良かったよ」

隆泰は安心したせいかどっと腰を落ち着かせる
今まで気を張り詰めていたせいか、いつものような感じではない
安堵感で一杯と言う感じだった

「一応、恵さん体を診せてください」
「え、私大丈夫だよ?」
「お腹の赤ん坊ですよ」

こういうときの千夏は実に頼もしく感じる
両親が医者で本人も医者志望
本人自身、医者としての勉強は既に終了しており、後は年齢制限と実習のみ

「ふむふむ」

慣れた手付きで診察をする
流石に天才と言ったところであろうか

「特に問題はなさそうですね」

5分くらいで簡単な診察は終わった

「だけど、一応病院で精密検査も受けた方がいいと思いますよ」
「分かったわ、今度そっちの病院にでも行くね」

戦闘が終わって和やかな雰囲気が流れる

だがそれを遠くから見ている影があった

「これで本当に良かったの?」
「ええ、ありがとうねメル」

一人は恵達を助けた少女、メル・クローバー
もう一人は女性にしては背が高く170cmくらいで顔には目隠しを巻いている

「私達の目的の邪魔になるかもしれないのに、リーシェもお人好しだね」
「ふふ、彼とは切っても切れない関係だからね」

目が隠れている為に表情を深くは読み取れないがそれはどこか笑っているようであった

「同一存在ってやつだっけ?同じ魂の共有とかなんとか?」
「そうよ、彼は分かっていないみたいだけどね」

メルとリーシェと呼ばれた女性はしばらく彼らを見つめていた
by meruchan0214 | 2006-07-02 22:42 | LittleGarden


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