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34夜 復活

夕子が慌てて外に出て行って束の間、すぐにお店に戻ってきた

「おかえりなさい、どうしたんですか?」
「ちょっと、義妹の事でね・・・」

夕子は義妹の事をとても大事に思っている
きっと彼女の身に何かがあったのだろう

「慌てて行ったから何があったのかと思いましたよ」
「ごめんね、急ぎだったから」
「別に分かればOKですよ」

もしかしたら隆泰が帰ってきたのかもしれない、一瞬期待した真であったが、
違うことが分かると、少し意気消沈する

「あ、夕子さん今日はもうあがってください」
「もうそんな時間ですか、それじゃあ失礼しますね」

夕子は仕事をあがり、帰る支度を始めた

「それじゃあ、お疲れ様です」

夕子は店を出ると、家とは違う方向に歩き始めた
そこは街の郊外にある、小さなお店
リトルガーデンとはまた違った雰囲気を持つ店である

「お待たせしました」

夕子が席に着くと先に一人の男性がそこに座っていた

「すまないな、夕子」
「いえ、でもすぐに顔を出せば良かったのに」

彼女の前に座っていたのは隆泰であった
本当は義妹の身に何かがあったのではなく、隆泰が居ることが分かったから外に出たのだった

「まあ、三ヶ月も経ってるからな~ちょっと顔を出しづらくてな・・・」
「みなさん、待ってますよ」
「そうか、ま、明日にはきちんと帰るよ」

隆泰は頭を掻きながら話す、どこか照れているように見受けられる

「恵さんと楓ちゃんには伝えておきますか?」
「あ~そうだな・・・、いや、いいや、自宅には今日戻るよ」
「そうですか、お二人とも喜びますよ」

夕子はにっこりと笑いながら話す
その顔は隆泰が無事だったことを本当に嬉しそうな顔だった

「それにしても、良くご無事で・・・」
「自分でも良く無事だったと思うよ、帰ってくるのに3ヶ月かかったけどな」
「やはり、別世界に?」
「ああ、まったく言葉は通じないわ、札は手に入らないわで大変だったよ」

無事だったから笑い話になっているが、話し方を見る限りでは本当に大変だったということを伺える

「それじゃ、店長私はそろそろ帰りますね、朝子も待ってるので」
「済まなかったな、助かったよ」
「いえ、あ、それと皆をあまり驚かせないでくださいね」
「ははは、分かってるよ」

夕子は伝票を持って、金を払い店を出る
気持ちが高揚している、店長が帰ってきたのが嬉しいのだ
家に帰れば恵と楓が、明日店に来れば店員全員が同じ気持ちになるだろう

「無事でよかったですよ、店長」

夕子は店長が無事に帰ってきたことを神に感謝した
by meruchan0214 | 2006-08-08 23:26 | LittleGarden


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