Misson 58 代弁者

ウロボロスの中核、リシェルは一人ここに来ていた
ノルンがいつかこうなる事を知っていた、止められなかった、約束を守れなかった
しかし、ノルンに人間達を滅ぼさせるわけにはいかないのだ

「結局、人間は変われないもの・・・なのかな・・・」

リシェルはいつものようにただ何もない空間に向かって話しかけている

「そんなことはない、ウロボロスの人間やジョニカのような人間達、少なくとも彼等は我々の意思を分かってくれたはずだ」
「でも、結局ノルンは裁定を下してしまった・・・」
「ノルンは地球を守る事しか考えないからな、それは創造した我々がやってしまったことだ」

元々は地球の破壊された自然を復活し守る為に作られたコンピューター
確かにその力のお陰で地球はある程度は復活したが、それも人間はいつか忘れ去る
再び地球は破滅へと向かっていた、それは他の星でも同じ事がいえる

「他の人から見れば、私達の尻拭いにしか見えないよね」

どこかもの悲しそうな言葉、いつもの毅然とした態度ではなく彼女の本心なのかもしれない

「あの時はノルンは必要だった、そうだろう?」
「確かにそうだけど、私が招いたということには変わりないから」

自分達が開発したものが人間を滅ぼそうとしているのだ
わが子に反抗されるのと同じようなものだ

「今は後悔しているときではないだろう、リシェル」
「そうだけど、私だってこういうこと、いいたくなる時があるのよ」

150年という年月を生きているとはいえ、彼女も元々は人間だ
どれだけ自分を押し殺してきたのかは分からない
泣き言もずっと言いたかった、この場から逃げ出したくなったこともあった
だけれど、彼女には人間を捨てる事などできなかった

「な~んてね、らしくないねこんな私」
「愚痴だったら、いつでも聞いてやる、それにお前を心配してくれる人は他にもたくさんいるだろう」
「そうね、心配してくれるのはいいんだけど、それを楯に私の後をつけてくるっていうのも考え物だと思うけどね」

リシェルが言うと、ドタドタドタと何人かがいなくなる足音がする
それを聞いたリシェルの顔には微笑が浮かんでいた

「ありがとね、クイルス」
「その名前はウロボロスになったときから、捨てた名前さ」

彼女は中核から外へと出て行く
その表情には迷いはない
自ら作り出したものを壊さなければいけない事は彼女が一番分かっていたからだ
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by meruchan0214 | 2006-10-26 00:54 | 守護機兵 ハイシェント


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