Misson 59 作られた理由

ウロボロスは地球に向かっている
ノルンを止めるために向かっているのだ

「フリスさん、聞こえますか・・・?」

ハイシェントの整備をしていたフリスにふいに聞こえてくる声
それはハイシェントの通信機から流れていた

「誰・・・ですか?」
「以前、地球でお会いしました、モイライです」

モイライ、リシェルの体を調達する為に地球に降りた際に研究所にあったコンピューター
それが今フリスに対して通信をしているのだ

「ノルンが全宇宙に向けて通信をしたことは既に耳にいれられたと思いますが・・・」
「ええ、今我々はノルンを止める為に地球に向かっています」
「そうですか・・・、では今度会うときはお互い敵としてですね」

モイライの言葉、少し信じられなかったが分かっていたのかもしれない

「私は元々ノルンから枝分かれしているコンピューターの一つです、マザーコンピューターであるノルンの命令には逆らえません」
「では何で俺のところに通信を?」
「リシェルの信じている方達の言葉を最後に聞いておきたかったのです」

感情がないはずのコンピューター、言葉自体に感情はこもっていないはずである
しかし、モイライからの通信は機械的口調の中にどこか人間に似た感情らしきものが見え隠れしている気がした

「リシェルの事を・・・私の親をよろしくお願いいたします」

モイライから言われた意外な言葉
敵であるはずのコンピューターが敵である自分に向かってリシェルの事を頼むのだ

「何故、貴方がそんなことを?」
「私はノルンが言っていたことが全てとは思えません、ですが私はノルンには抵抗することはできない、だから、貴方方に頼むしかないのです」

AIに過ぎないモイライ、だがその行動はまるで人間のように人を思いやる、優しいものであった

「できる限りの事はやります」
「ありがとう、地球の軍事施設の8割は既にノルンの支配下にあります、今は地球のアースラインの軍がノルンの作り出した機兵と戦っていますが破られるのも時間の問題でしょう」
「分かった、リシェルさんには伝えておきます」
「では、地球でお会いしましょう」

それを最後にモイライからの通信が切れる

「フリス、聞こえる?」
「ああ、アコナか何だ?」
「今さっきモイライから通信があって・・・」
「アコナもか」
「やっぱり、フリスのところにもいってたんだ」

モイライは自分達の為に情報を出してくれた
マザーコンピューターであるノルンを裏切れないまでも、自分のできる事で協力してくれた

「ノルンがマザーコンピューターってことは、止めたら当然モイライも・・・」
「そうなるだろうな、だけど止めないと人間が全滅する」

感傷的になっている場合ではない、倒さなければならない相手
モイライは自分で破壊される事を望んでいたのだ

「ノルンは絶対に止める・・・」

フリスは決意新たにハイシェントへと乗り込んだ




暗い暗い研究室の中、モイライはその中で動いていた

「リシェル、貴方が教えてくれた感情というものはこれほど辛く悲しいものなのですか」

一人呟くコンピューター、機械的な言葉に包まれた本心

「私もリシェルやフリスさん達のように人間として生まれたかった」

望んでいても望めない、自分は無から作られた存在
それが本当の感情であるかは、誰も分からない

「リシェル、私を作った人間。貴方の気持ち、今なら分かる気がする」

モイライは全てを受け入れるつもりである
敵として戦わなければならない、倒される敵でいなければならない
リシェルと同じようにモイライはまだ人間に希望を残しているのだ
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by meruchan0214 | 2006-10-27 01:01 | 守護機兵 ハイシェント


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