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15陣 感じる 運命

「反応が消えた・・・か」

暗い一室でリーシェがこぼれるように呟いた

「リーシェ様」

暗闇の中に突如現れる、黒い気配
その気配は人間のものではなかった

「例の件、確認してきました」
「そう、こっちも消えたのは確認したわ」
「やはりリーシェ様が仰られた通り、別の存在が関与している模様です」

黒い影は女性の声で丁寧にリーシェへと伝える
心から彼女を慕っている、そのようにも感じ取れる

「そう、もう一件はどうなの?」
「それは・・・もうしわけありません、未だに手がかりすら・・・」
「しょうがないわ、貴方達はよくやってくれているわ、ありがとう」

リーシェの言葉に黒い影は自分にはもったいないとも思えるような素振りを見せる

「時に、レドンは大丈夫でしょうか?」
「後2,3日もすれば傷は塞がるけれど、ナイーズも無理しないでね」
「もったいないお言葉です、我々はリーシェ様に命を救っていただきました、その恩は一生忘れません」

ナイーズと呼ばれた黒い影は丁寧にリーシェにお辞儀をする

「引き続き、調査をお願いできる?」
「かしこまりました」

ナイーズは闇に包まれその姿を消す
リーシェはそれを見送った後に大きな溜息をついた

「私やメルだけじゃない、誰か・・・、でも何故あんな不完全に・・・」

自分が知る限りではあんな不完全にはならないはずだ
全く知らない人間がやったならまだしも、自分達に関係する人間が失敗するとは考えにくい

「しかし、今は表立って余り動くわけにはいかないから・・・、メル達に期待するとしますか」

リーシェはフーッと息を吐き、資料をまとめ部屋を出て行く
その部屋には様々な動物が安らかな顔で眠っていた
リーシェは優しそうな顔で眺め、移動を始めた
by meruchan0214 | 2006-11-25 23:14 | 竜の翼 ハイシェント


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