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18輪 神速を超える

毎日の修行、村の仇を討つために強くならなくてはいけない

「まだだ、まだこの程度では・・・」

元々の実力の高さもあってか、騎士団内でハクガとまともに戦えるのはごく少数だった
人間離れしたそのスピードに追いつける人間はなかなかいない

「ハクガも毎日毎日よく頑張るね」
「ユミルか、村の仇を取るにはまだまだ力が必要だからな」
「そんなにその村を滅ぼした奴って強いの?」
「強い、今の俺ではまだ勝てないだろう」

本当は言いたくない言葉ではあるが、今のままではあの村であったあいつには勝てない
自分の実力は村一番の戦士だったケイナには遠く及んでいないのだ
一日でも早く強くなりたい、そう思う気持ちがハクガを少し焦らせている

「それにしても根入れすぎだと思うよ、体調壊したら元も子もないよ」
「無理をしなければダメなんだ」

ユミルの言葉に耳を貸そうともしない、元々ハクガは人の事を聞くタイプではないが、村の事になると一層聞かなくなる

「でも、それだけ村の事が好きだったんだね・・・」

ハクガの気持ちが何となく理解できるユミル
ユミルは自分の居た村から外に出たくて仕方がなかった
滅ぼされたらまた何か違うのかもしれないが、そこまで村に執着があるわけではない

「ちょっと、うらやましいな」

ポロリと漏らす言葉はハクガには聞こえてはいなかった

「ねぇ、ハクガ」
「何だ」
「私も手伝おうか?」
「何をだ」
「修行だよ、私は魔法使いだから直接ってのは難しいけど、効率を上げることくらいならできるよ」

少しでもハクガを手伝ってあげたい、そうユミルは思っていた

「礼はできないぞ」
「いいよ、私が好きでやってるから」

ユミルは魔法でハクガの修行がより効果的になるようにセッティングする
ハクガに少しずつだけど惹かれている自分、悪い気はしない
だけど、村の事を考えているハクガは振り向いてくれそうも無い

「まだ、時間はあるよね」

いつか振り向いてくれるまで傍にいよう
できる限りハクガの力になってあげよう、そう思っていた

「ユミル、すまないな」
「大丈夫だって、ガンガンいこう~」

ハクガの修行はまだまだ続く、村の仇を取れる日が来るまで
by meruchan0214 | 2006-12-07 23:32 | 架空世界[フリトアネイス]


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