皐月の病気は重い、小さい頃からほとんど病院で過ごしている
学校へは年に数回行けたのならばいいほうだ だけど、皐月はその事で文句を言った事は無い、本当は行きたくて行きたくてしょうがないはずなのだが、何も言わなかった 「本当に、私って何もできないよね・・・」 家に帰った弥生、皐月を見るといつも思う 病気を代わってあげられたらと、妹に元気になってほしいと 「あ~、考えてもしょうがないって分かってるんだけどなあ・・・」 皐月の体は既に心臓移植をしなければ助からないほどになっている ドナーを待ってはいる、海外へ行く事も考えている だが、肝心の適合するドナーがいないのだ 「皐月・・・」 皐月にの事を考えると悲しくなる、まだあんなにも幼いのに、やりたい事が一杯あるのにそれができないのだ 健康がどれだけすばらしいと言う事か、当たり前だがつくづく思ってしまう 「皐月の前じゃ見せられないよね、こんな姿」 皐月のことを思うと、いつも心が苦しくなって涙が出てくる まだまだ皐月とは一緒に居たい、もっと人生を楽しんでほしい 時間は確実に迫ってきている、あまり残されてはいない 自分が心配しても治るわけではない、自分ができることは少しでも皐月に会う時間を増やすだけである 弥生はフゥと溜息をつき、家の家事を始めた 「お姉ちゃん、いつも私の為に・・・」 皐月は自分の為に世話をしてくれている姉が心配だった 自分の体の事を心配してくれてる、それはとても嬉しいけれど、自分のことで姉に迷惑をかけたくはなかった 「外かあ・・・」 一度でいいから外で遊びまわりたい 街を巡って、買い物して、食事をして、普通の生活をしてみたい 自分の体が徐々に蝕まれていくのは良く分かる、自分の体は自分が一番良く分かる 「後、どのくらい持つのかな、死ぬのは怖いけど・・・」 死を受け入れるには皐月は幼すぎた 本当は死ぬのが怖くて怖くてたまらない、けれどそれが自分の運命であった 「お姉ちゃんにこんな姿見られたら笑われちゃうな」 皐月は自分の目から流れた涙を拭いて窓の外を眺めた 怖い、けれどそれに耐えれていたのは姉の存在のお陰だった もっと、姉と一緒に居たい、それだけが皐月の望みだった
by meruchan0214
| 2006-12-15 00:46
| 短編小説
|
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