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タキルの章 1輪 蠢く陰謀

グラディアでの生活に慣れてきたタキル達
今では、グラディア国内でも有数の冒険者たちの集まる場所へとなっていた
料理、酒、宿、全てにおいて手を抜かない彼等だからこそなしえたのかもしれない
そのお陰もあってか、様々な情報がタキル達に入り込んでくる

「タキル、例の件だけど」
「姉さん、何か分かったのか?」

タキル達の目標はあくまでも村の仇を取ると言うこと、その為に努力は惜しまない
どんな小さな情報でも貪欲に集めていた

「北の廃棄された灯台に魔族を見かけたと言う話だけど」
「分かったよ、姉さん」

何度かこういう話はやってくるが全てハズレであった
とにかく数をこなすしかない、そうするうちに実力もついてくるはずだった

「お兄ちゃん」
「どうした、ティリカ?」
「私も一緒についていってもいい?」
「ダメって言ってもついてくるんだろ、分かったから無理はするなよ」
「うん!!ケル、オル、良かったね」

この数ヶ月で以前拾った魔獣の子供たちもかなり大きくなった
体の大きさだけで言うならば、既に人間を超えている
ただ、まだ甘えん坊の年頃なので、タキルやティリカ、ルティ達にはよく甘えている
元々、人懐っこい性格なのか、店の看板としても有名だった

「ケル、オル、ティリカを頼むぞ」
「ガウ!!」

ケルベロスとオルトロスはそれに頷くように返事をする
言葉こそ喋れないものの、人間の言葉は理解していた

「気をつけてね、何か嫌な予感がするわ」
「大丈夫だって、気にしすぎだよ」

いつもと違い不安がるルティ、タキルはわざと明るく振舞った
しかし、ルティがこういうことを言うときは大体予想が当たる
そういう予知能力があるわけではない、いわゆる女の勘というやつだ

「気を引き締めていかないと危険だな」

言葉ではルティを心配させまいと言ったが、タキルは楽にできそうなことではないと直感した
いざとなったら、ケルベロスとオルトロスにティリカを連れて逃げるように言わなければならないかもしれない

「行くぞ、ティリカ、ケル、オル」

タキルはティリカたちを連れて、古びた灯台へと向かった
そこに待ちうける魔族の存在を確かめるために
by meruchan0214 | 2007-01-03 00:16 | 架空世界[フリトアネイス]


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