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ハクガの章 4輪 疑い

ユミルに手を引かれ森の中の道なき道を歩いていくハクガ
森は薄暗いが不思議と不気味さはなく、優しさをも感じる

「もう少しで村だよ」

ユミルが案内した先は森が開けており、木で作られた家が並んでいる
しかし、不思議と人の気配はするものの誰一人として家の外には出ていない

「相変わらず用心深すぎるのよね・・・」

ユミルは構わず村の中を突き進む、そして一番大きな家までやってくるとドアのノックもせずに急に開く
そこにはユミルより少し年上に見えるエルフが三人固まっていた
一瞬、驚いた表情をした三人のエルフだが、ユミルの姿を確認すると嬉しそうな表情をする

「ユミル、今まで何処に行っていたんだ!!」
「ユミルが人間達に捕まって見世物にされていないか心配したのよ」
「私は大丈夫だって、ハクガに助けてもらったから」

ユミルがそういうと、他のエルフ達はハクガの存在に今気がついたようだ
ハクガを見るやいなや、疑惑の念がハクガを襲う

「お前がユミルを誘拐したんだな」
「いい人に見せかけて我々の居場所を奪おうというのか」

ハクガもこれにはムッとした、自分はそんなつもりはないのに勝手に疑われる

「ハクガはそんな人じゃないよ、だって、ハクガは私達と同じだもん」
「同じ?人間が我々ハイ・エルフと一緒なものか」

珍しい種族だからこそ閉鎖的な環境になってしまったのだろうか
ハイ・エルフという上位種族と呼ばれる者の驕りなのだろうか

「ユミル、こんな所に何しに来たんだ、俺は帰るぞ」
「ハクガ!!本当は違うんだよ、皆良い人達で・・・」

ユミルが全てを言う前にハクガは家の外に出ていた

「待ってハクガ!!」

ユミルは歩いているハクガを呼び止めるがハクガはそれに足を止めず歩き続ける

「ごめんね、こんな風に言われるなんて・・・」
「ユミルのせいじゃないが、まあ、今までの行いか・・・」

きっと彼らがこうなるのにも色々な理由があるのだろう、それを責める事はできないとハクガは思った
だが、その場の感情にハクガが流されたのも事実であった

「いいさ、ここは綺麗な場所だそっとしておこう」
「うん!!」

ユミルはハクガの後をついていく、ハクガが悪い人ではないと分かっているから
きっと、仲間達もそれに気づいてくれると信じているから
by meruchan0214 | 2007-02-14 12:32 | 架空世界[フリトアネイス]


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