misson7 変わりゆく

アリシアは正式に軍人としてウロボロスに居ることになった。
階級は低いものの、その先立っての戦いでの活躍は既に有名になっていた。
もちろん、両親が前戦争の英雄であるということも、加味してのことではあった。

「ん~・・・、今日は休みだ!!」

久しぶりの休暇、ここのところ暇さえあればシュミレートや軍部関係の処理など忙しい毎日だった。
リシェルの見立てでは暫くはあちらから攻めてこないだろうということでの休暇だった。

「学校はどうかな・・・?」

なし崩し的に軍人になったアリシアは急に学校に行かないように思われても仕方がなかった。
ジョニカから話はいっている為、休学扱いでまだ学校には在籍している。

アリシアはそっと学校を覗いてみると、いつもと変わらない風景がそこにはあった。
当たり前の事、それがとても羨ましく思えてきた。
今まで居た場所ではない、それが今の自分の居場所。

だからこそ、当たり前だった場所を守りたい。
皆がいつものように生活できる場所を守りたかった。

「うん・・・、頑張れそう」

アリシアは戦いをする意義を見出し始めていた。
ブラブラとのんびりしていると、以前の女の子、ハイシェント自身が遊んでいた。

「あ、アリシアちゃん。こんにちわ~」
「こんにちわ、えっとそういえば、名前教えてもらってないよね・・・?」
「あれ、言ってなかったっけ??まあ、いいや、私の名前はルピナだよ」
「ルピナちゃん、この前一緒に居た子は?」
「ナミアはお母さんと一緒に居るって言ってたけど」
「ふ~ん」

こうやって話してみると、普通の女の子とまったく変わらない。
それが戦闘になると、ハイシェントの頭脳として動いているのだ。

「ねぇ、ルピナちゃんって170年も前からハイシェントに居るの?」
「うん、そうだよ」
「作ったのはお母さん?」
「作った・・・っていうよりは~、お母さんが助けてくれたんだ」
「助けてくれた?」

アリシアはルピナの話に興味が沸いた。
ただのプログラムだったら、助けてくれたなんていう表現はしないだろう。

「お母さん、死に掛けた私とナミアの意識をデータ化して保存したんだ」
「データ化して・・・保存・・・?」

今では考えられないことだ、確かに歴史にはそういったことを実験していたという事実は残ってはいる。
だが、リシェルなどを見ていると確かにそれしか考えられないことではあった。

「一番辛いのはお母さんだから、私達が助けてあげないといけないの。ずっとずっと悩んでるから」

今までリシェルを見てきていてそんなそぶりはほとんどなかった、
悩んでいるといっても、作戦の事などをいつも考えているようだったのだ。

「ルピナちゃんはお母さんのこと、大好きなんだね」
「うん!!もちろん!!」

アリシアはこれ以上突っ込んだことは今は言わないほうがいいと思った。
彼女の話は本当だと思う、ということはお父さんといったあのプロトタイプハイシェントは確実に実の父親だ。
両親がお互いに敵として戦い、娘達は母親と共に戦う。
どう思っているのか興味はあったが、聞く気にはなれなかった。

「そういえば、ルピナちゃんってその姿はどうなってるの?」
「触ってみる?」

アリシアは触ろうとするが、ルピナの体をすり抜ける。
今目の前に居る、ルピナの姿は立体映像なのだ。

「それで、この前目の前で消えたんだ」
「うん、ウロボロスの電気系統を伝って帰るだけだから」
「ん~でも、実際にはここに居ないってことだよね?」
「感覚的には意識だけ居るって感じだよ、実際のデータはハイシェントの中だし」
「ふ~ん」

予想以上にしっかりしている、ルピナ。
子供と言っても170年も前の話だ、学習機能が当たり前だとしたら当然とも言えるだろう。
しかし、子供っぽさは抜けてはいないようだ、それはAIとしての設定なのか、彼女自身がそうなのかはわからない。

「これからもよろしくね」
「あ、うん。よろしくね」

ルピナはにこやかに笑った。
それにつられてアリシアも笑ってしまう。

「アリシアちゃん、凄かったけど。それに慢心しちゃ駄目だからね」
「分かってるわよ」

ルピナに釘を刺されるが、実際そのとおりだとアリシアは思う。
アリシア自身、自分の才能を感じていた。
でも、それに溺れてしまったら駄目になりそうな自分が居た。

「ん、じゃあ約束」

ルピナは小指を出して指切りを示した。
アリシアは指を出すが、当然ルピナは映像の為すり抜けてしまう。
だけど、やることに意義があった。

「それじゃあ、そろそろ私、戻るね」
「うん」
「今日は楽しかったよ~、バイバイ」

ルピナの姿が消えていった。
ある意味ここに居る限りは便利な姿だとアリシアは思った。
しかし、自分は人であり続けたいと思ってしまった。

きっと、リシェルもそれを望んでいるんだろう。
人が人でなくなってしまわないようにと。
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by meruchan0214 | 2007-11-11 00:12 | 守護機兵 ハイシェント2


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