misson8 驚愕

あれから、何度か小競り合い程度での戦闘があった。
お互いに様子見という程度で、被害もほとんどなかった。

何度かそういった出撃を繰り返すうちにアリシアも戦うことになれてきていた。

「サポートはできるけど操縦するのは、アリシアちゃんなんだからね」
「わかってるよ、ルピナちゃん」

ハイシェントに居る、ルピナとも息が合ってきていた。

「リシェルさん、戻りました」
「御苦労さま」

リシェルは書類の束に向かって仕事をしていた。
大きな戦闘が無い今のうちというところだろうか。
本当ならば、ずっとこの仕事だったらいいのにとリシェルは漏らす。

「事務だけならどんなにいいことか・・・」
「そうも言っていられませんからね」
「ただ、あの人もこのまま黙っているとは思えないしね」

あえて名前を言わないのがアリシアは少し気になった。
けれども、相手の侵略が終わったわけではない。
ザムレイズ軍がこのまま終わるわけではないと確信していた。

どれだけステイルが周りを止めてくれるかにも期待はしていた。

「必ずまた戦わないといけない時が来るからね・・・」
「そう・・・ですね」

戦いに慣れたといっても、好きになったわけではない。
いつでも、人殺しが大義になってしまう戦いが怖いと思っている。

ビーッ!!ビーッ!!

ウロボロスの警報が鳴り響く。

「アリシア!!」
「はい!!」

アリシアは急いで格納庫へと向かった。
リシェルも仕事をやめ、ブリッジへと向かった。

「ジョニカ、相手は?」
「はい、ザムレイズ軍の中隊です。先行部隊かと思われます」
「なるほどね、フリス隊とアコナ隊は出撃して。アリシアもハイシェントで出てもらって」
「了解!!」
「他の部隊も直ぐに出れるように準備をしておいてね」

ウロボロス内に緊張が走る。
今までの小競り合いとは違う状況に新しい戦乱の予感を感じていた。

アリシアはハイシェントに乗り込み出撃する。
次いで、リシェル、そしてフリス、アコナ達も出撃した。

「さて、どうでてくるか・・・」
「相手も前回と同じような轍は踏まないだろうからな」

お互いが様子を窺いながら徐々に距離を詰めていく。
そして、ザムレイズ軍からもパワードールの出撃が確認できた。

射撃距離に入って、ウロボロスの機兵とザムレイズのパワードールが戦いを開始する。

「いけ!!」

ハイシェントの弾がパワードールに放たれるが、電磁シールドで攻撃が阻まれた。

「な・・・」

驚きを隠せなかったのはアリシアだけではなかった。
パワードール全てに電磁シールドが搭載されているのだ。

「皆、退いて!!」

リシェルの声に皆が後退戦を始める。
電磁シールドがある以上実弾兵器のダメージは薄い。
遠距離で電磁シールドを打ち破れるのは、現状ではハイシェントとエルブラスト位であった。

「アリシア、ウロボロスが退くまで時間を稼ぐわよ」
「分かりました」
「いい、絶対に無理しちゃだめよ」
「はい」

ハイシェントとエルブラストはウロボロスや部隊全体を守るように少しずつ後退する。
しかし、敵の攻撃は激しくウロボロス軍を攻めたてる。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「レムド!!」

逃げ切れなかったウロボロス軍の機兵が破壊される。
防御に徹しているからまだ何とかなっているが、このままでは敗戦は必至だった。

「リシェル様!!全機格納終わりました!!」
「わかったわ、アリシア!!」
「はい!!」

ハイシェントとエルブラストもその場から撤退しようとする。

「アリシアちゃん!!危ない!!」
「しまっ・・・」

一瞬判断が遅れたアリシアは電磁シールドが間に合わず、被弾する。

「く・・・」

アリシアはハイシェントを動かそうとするが、何も反応がない。

「駆動系に損傷・・・。動けないや」

当たり所が悪かったとしか言えなかった。
動きを停止したハイシェントにパワードールが近づいてくる。

「アリシア!!」
「ハイシェントはもう、動けないみたいです」

リシェルの通信にアリシアは諦めたように喋る。
思った以上にアリシアは自分の事を認めることができた。
これで終わりなんだと、素直に受け入れてしまった。

「ちっ・・・!!」

リシェルは何とかハイシェントを回収しようとするが、パワードールに阻まれて近づくことができない。
ハイシェントは動けないまま、敵のパワードールに接収される。

「すいません、リシェルさん・・・。私のせいで」

それを最後に通信が終わった。

「アリシア、ルピナ、ごめんね・・・」

ハイシェントが敵に接収され、これ以上は無理と判断したリシェルはウロボロスへと後退する。
何とか取り戻したかったが、1機ではどうしようもなかった。

一方、ハイシェントのコクピットの中ではアリシアがルピナに話しかけていた。

「ごめんね、私のせいで」
「ううん、大丈夫。アリシアこそ・・・」

敵に捕まるということ、それから先どうなるかは誰もわからない。
ただ、アリシアはウロボロスの皆、リシェル、そして両親であるフリスとアコナに申し訳ない気持で一杯だった。
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by meruchan0214 | 2007-11-14 19:00 | 守護機兵 ハイシェント2


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