misson9 信じえぬ

アリシアはザムレイズ軍の戦艦へと連れてこられた。
当然、優遇されているわけではなく、捕虜としてであった。

「殺されないだけ、マシか・・・、それとも殺されたほうがマシか・・・」

自分自身に余裕があったのだろう、それが油断を生んでしまったのかもしれない。
その結果が今の結果である。

周りがアリシアに銃を向けられ、アリシアは歩かせられる。
空気がピリピリとしており、少し息苦しい感じがする。

「ウロボロスとはやっぱ違うよね」

ウロボロスは軍が存在しているといっても、もっと全体的に温和であった。
さすがに戦闘の時は気を引き締めてはいたが、やはり雰囲気が違う。

銃を突き付けられたまま司令室と思わしき場所へと連れてこられる。

「司令、連れてきました」
「御苦労」

何故かアリシアにも言葉が分かった、確か以前ステイルが来た時は翻訳機を使っていたはずだった。

「何故、君達の言葉を知っているか驚いているようだね」
「どういうつもりなの?貴方地球圏の人間よね」

勘の良いアリシアはすぐに司令官が地球圏の人間だと感づいた。
しかし、指揮していたのは明らかに地球圏の人間ではない、外から来た人間達だ。

「同志に協力するのは当たり前だろう?」
「なっ・・・」

アリシアは言葉が出なかった。
そう、この地球圏にもザムレイズに繋がっている人間達がいたのだ。

「じゃあ、今回の侵攻も・・・」
「流石にハイシェントを任されていただけあって、なかなか聡明な娘さんだ。おそらく君の想像している通りだろう」

偶然でも何でもない、ザムレイズがやってきたのは地球圏の人間の仕業だったのだ。

「一体、何の為に・・・!!」
「私達が地球を、この地球圏を支配する為だよ。だが、世の中は平和だのなんだの、話し合いで・・・。おかしいと思わないかね、力ある者が支配するべきなのだよ」

アリシアは心の底から怒りが湧き上がるのを感じていた。
自分達の私利私欲の為に同じ人々を簡単に戦火に巻き込むことが。

「どうかね、我々と一緒に来ないか?君ほどの実力があれば、直ぐに出世できるぞ?」
「絶対に嫌よ!!」

アリシアは目の前の人間に今すぐにでも殴りに行きたかった。
しかし、捕虜となって動けない体がそうはさせてくれなかった。

「ふふ、あれだけの実力差を見せつけられても、まだ分からないか。まぁいい、連れて行け」
「絶対に貴方達は許さない・・・」

アリシアは独房へと連れて行かれる。
部屋の中は粗末な造りになっており、本当に最低限の生活する空間しかない。

無理やり押し込められるように部屋に入れられたアリシア。
何もできない自分が悲しくなってきた。

「・・・、まさか地球圏の人間が・・・」

少し落ち込んでいたアリシアだったが、すぐに次の問題に気がついた。

「という事は、内部にザムレイズと通じている人間が・・・」

誰にも伝えることはできない。
相手もそれがわかっていて、自分の目の前に姿を現したのだろう。
ウロボロスにそういう人間がいないと信じたいがそれでも不安になってしまう。

「みんな・・・」

自分が捕まっているということよりも、残った両親や仲間たちが気になる。
ハイシェントも敵に接収されてしまった。
ただ、今のアリシアには祈ることしかできなかった。

一方、ザムレイズの格納庫ではハイシェントが収められていた。

「これが、地球軍、いやウロボロスのハイシェントか」
「やはりレフィン様のハイシェントと似ているな」
「基本的に技術が応用できるからな、これからは我々の兵として動いてもらおう」

ハイシェントのスペックは今もなお高水準を誇っていた。
敵からしてみれば、強力な武器を手に入れたようなものだった。

「まずぃなぁ・・・、とりあえずデータはバックアップしておいてと・・・」

ルピナは自分ができうる限りの事はやっている。
いくらAIとはいっても、直接稼働できるわけではない。
あくまでもサポートとしてのAIなのである。

ルピナがサポートしなければ、パワーダウンするとはいえやはりルピナ的にはいい気はしない。

「アリシアちゃんは無事かなぁ・・・、変なことされてなければいいけど・・・」

同じ立場であるアリシアを心配するルピナ。
整備されながらも何もできない自分に歯がゆさを感じる。

きっと、アリシアは自分を責めているだろうと、ルピナは考えた。
弾が無数に飛び交う戦場だ。
絶対なんてことはありえないし、それはハイシェントといえども例外ではない。
だから、アリシアが責任を感じることはないとルピナは思っていた。

「あ・・・」

ルピナは何かを思いついたようであった。
もしかしたら、アリシアを救い出して自分も脱出できる。
可能性はあまり高くはないが、やらないよりはマシであった。

「やってみるかぁ・・・」

ルピナの思いついたこととは、このザムレイズ艦のハッキングであった。
ルピナ自身が既にAIであり、無線でもある程度の距離なら侵入できるためであった。
だが、根本的に性質が違う可能性が高い。
そうだった場合、ハッキングは意味無いものになってしまう。

一途の望みを託しながら、ルピナはハッキングを開始した。
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by meruchan0214 | 2007-11-28 21:34 | 守護機兵 ハイシェント2


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