Misson14 邂逅

ルピナのAIは無事に新たなハイシェントへと移された。

「どう、ルピナちゃん?」
「うん、前よりずっと調子いいよ」

ウィルスに侵食された事も特に問題はなく、今までと同じように振舞うルピナ。
ソレを見るだけでアリシアは少しうれしかった。

「よし、それじゃあ試運転しよっか」

アリシアはハイシェントに乗り込み何時もと同じように起動する。

今までと同じ感覚だったが、まだ新品のにおいがする。
ロールアウトしたばかりの新しい機兵だ。

「全体的に性能は向上してると…」

触って直ぐ分かる範囲ではあるが、以前のハイシェントよりも動かしやすい。
まるで、自分自身に合わせられているみたいだった。

手足のように機兵を操るアリシア。
フリスとアコナはそれをただ見ていた。

「これが戦いの為じゃなければいいのだけど…」
「しょうがないさ…、でもやらないといけないからな」

二人は昔を思い出していた。
過去にあったこと、戦わなければいけない。
戦争はしたくないがしなければ、何も残らない。

アリシアもそれは分かっていることだろう。
だからこそ、今機兵に乗っている。
表にこそ出さないがフリスもアコナも分かっていた。

「ただいま!!」
「おかえり、アリシア。どう新しいハイシェントは?」
「うん、絶好調だよ!!」

アリシアは楽しそうに返事をした。
ルピナと一緒に空を駆けたのが楽しかったのだろう。
ほんのひと時の休みではあるが、それを心底楽しんでいるみたいだった。

「皆さん、リシェルからの通信です」

モイライからの呼びかけ、アリシア達はすぐさま通信施設へと集まった。

「ご苦労様、何とか無事に終わったみたいね」
「ええ、お蔭様で。ちょっと大変でしたけど」

画面の向こうにはリシェルが移っている。
特に変わった様子もなく、何時もと同じ笑顔を浮かべていた。

「あの…」
「何かしら?」

アリシアはリシェルに聞きたい事があった。
ハイシェントに使われていたパスワードの事。

「リシェルさんがハイシェントのパスワードを?」
「ええ、それがどうかしたの?」

リシェルはアリシアが聞きたいことを察してはいたみたいだったが、あえて聞き返してきた。
それはアリシア本人への問いかけだったのかもしれない。

「どうして、夫の名前をいれたんですか?」
「どうしてって、いけないのかしら?」

アリシアは半分は予想していたであろう返答に返す言葉がなかった。
本心を言いたがらないリシェルだからこその返答。
こう言う時のリシェルは絶対に本心を話さない。
だからこそ、未だに夫のことを忘れられないという事も何となくは理解できた。

「いえ、別に」
「そう、出来るだけ早く戻ってきてね。モイライから装置は受け取ったでしょ?」
「はい」

リシェルはいつもと変わらない口調で会話を続けた。
アリシアはそれをただ黙って聞くしかなかった。

「それじゃお願いね」

通信が切れた。

アリシアはフゥっとため息をつき、顔を上にあげる。
忘れられない夫が今敵としているというのはどんな気持ちなのだろうか。
自分にはとても想像がつかなかったのだ。

「明日にはシャトルの準備が終わります」
「モイライさん、ありがとう」

アリシアはモイライにお礼の言葉を言う。

「今はゆっくり休んでください、また直ぐに戦いが始まりますから」

モイライの言葉、そう戦いはまだ続いているのだから。
[PR]
by meruchan0214 | 2008-04-07 21:51 | 守護機兵 ハイシェント2


<< Misson15 策略と misson13 見せられない気持ち >>