カテゴリ:妖の調べ( 63 )

最終話 妖の調べ

深い闇が訪れた時、私達の時間がやってくる

「陽子ちゃん、あっちお願いね」
「了解、任せて」

私達は夜の闇に溶け込んでいく

ザザザザザッ

深い暗闇を疾風の如く走り抜ける

「林さん、いつでもOKです」
「分かったわ、一斉にいくわよ」

もう、私は迷ったりはしていない、思えば色々あったけれど
なんだかんだ言いつつも、今の生活に満足している

シュバッ!!

ドサッ

「ふぅ、これで終わりだね」
「そうね、じゃあ、戻りましょうか」

人とは違う妖・・・

「陽子ちゃん、おはよ~」
「おはよう~、加奈ちゃん」

人と共存を望む妖、人を支配しようとする妖
様々な妖が居る

「今日、夕子さんも誘ってどこか行かない?」
「うん、いいですよ」

人々は知らないだけで妖はみんなの傍に住んでいる

「じゃあ、また放課後ね」
「うん」

私は元々人間だった、こんな世界も知らなかった
あの日から私の全てが変わった

殺され、生き返り、自分が怖くなったこともあった
だけど、心を通わせれる人と出会った
私は一人じゃない

「お、今日は三人で買い物か?」
「あ、隆泰さん、今日は何してるんですか?」
「新しい料理でも考えようかとね、これから恵と相談」

今は仲間がいる、家族がいる、何よりも消えない絆がある

「新作ができたら、食べにおいでよ」
「は~い」

人と妖は何も変わりはしない、お互いの領分を侵してはいけない

「陽子お姉ちゃ~ん!!」
「牧子、今学校の帰り?」
「うん、そうだよ」

私達は生きている、体が死んでいるとか関係ない
今、このときを生きているのだ

「また、一緒に遊びに行こうね!!」
「ん、明日辺りに連絡するね」
「うん!!」

人々は知らない世界、妖の世界
それは人とは切れない関係、でもほとんどの人が知らない

「ただいま~」
「おかえりなさい、陽子ちゃん」

でも、私達は確かに存在している

「さっき隆泰君から連絡があったんだけど」
「今日もなにかあるの?」
「そうみたい、人手が足りないんだって」

妖という、今を生きる者達が

「じゃあ、さっさとやっちゃおう!!」

人を影知らず守る妖、人を襲う妖
私達はこれからも戦い続けることだろう

例え、人間の誰もが知らないことであっても
私達は人が好きだから、守りたいから
これからも守り続けるだろう

妖の調べは今も続いているのだから・・・
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by meruchan0214 | 2006-05-20 20:33 | 妖の調べ

60、信頼とは

今日は仕事に身が入らない、どうしてかは分かっている
隆泰君に聞きたいことがあるからだ

「はぁ・・・」

お陰で何回もお金の数え間違いなどミスをしてしまう
常連さんには体調でも悪いのかと心配される始末

カランカラーン

「いらっしゃいませー」

入ってきたのは都合がいいというか、向こうが察してくれたのかは分からないが
恵ちゃんだった

「こんにちは、林さん」
「あ、恵ちゃん、どうしたの?」
「ん~、ちょっと花束を見繕ってほしくて」
「花束を?」

恵ちゃんが花束を見繕いに来るのは珍しいことだった
店の観葉植物の為に買いに来ることは何回もあったが
花束を頼むのは久しぶりだった

「それに、林さんは私達に聞きたいことがあるんじゃ?」

図星だった、やはり恵ちゃん達も理由は分かっているみたいだった

「うん、陽子ちゃんに自分を納得させる為に言ったけど・・・」
「はいはい」
「やっぱり、あれって予定調和ってやつなの?」

恵ちゃんは少し考える

「確かにそうですけどね~、完全に信頼するしかないですし」
「怪我をさせたのも?」
「仕方ないですけど、ばれない為ですから・・・」

そういうものだろうか、妙に納得してしまう私がいるわけだけど

「正直、私達も心苦しいのですよ、仲間を傷つけることですから」

少し暗い顔で喋る恵ちゃん、彼女の言葉には本心がある気がする

「絶対に全部上手くいくなんてないですから、本当は誰も傷つけたくないのに・・・難しいですよね・・・」

恵ちゃんの言いたいことは分かる、だけれどそれをしなくてはいけない
その心境を考えると恵ちゃんや隆泰君の立場も分かる気がする

「ん、分かったわ、楓ちゃんを人質に取られてたんだもん、当然よね・・・」

養子とはいえ、本当の娘のように面倒を見ている隆泰君を見ているとよく分かる
それだけ、楓ちゃんが大切ということを
もちろん、仲間も大切なんだろう、だから、どちらも失わない為の最良の方法を取ったのだ

夕子ちゃんもそれが分かっているから隆泰君に何も言わない
彼女なら逆に隆泰さんにお礼を言うのかもしれない

「何かあなた達が羨ましい」
「そうですか?私達から見て、林さんと陽子ちゃんも十分羨ましいと思いますけど」

そうなのだろうか、私達はそういう信頼があるのだろうか
言わなくても分かる、分かってくれるのだろうか

別にそれを期待しているわけではない、だが気になる

「そういうものなのかなあ?」
「そういうものですよ」

二人で軽く笑う

「あ、そうそうお花どういったのがお望み?」
「そうですね、じゃあ~、これとこれと」

恵ちゃんは花を選んでいく

私達はちゃんとできているのだろうか
表面だけではないのだろうか

今になって、再び考えさせられることになるとは思わなかった
だけど、あの時陽子ちゃんが本当に大事だと思ったのは本当だ

だから私はこの気持ちを信じるしかないのだ

一輪の花が風に舞い空へと飛んだ
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by meruchan0214 | 2006-05-18 23:35 | 妖の調べ

59、分からない事

「ん~・・・納得いかないなあ・・・」
「どうしたの陽子ちゃん?」

無事に済んだからいいようなものの、隆泰さんとか恵さんは本当に洗脳されていなかったのか
夕子さんに手傷を負わせたのは事実だし、あんな風にトントンいくのが気に食わない

「隆泰さん達って酷いじゃないですか」

正直、洗脳を受けないのならばもっと別の手段もあったと思う
だけどわざわざ洗脳した振りをしてまで私達と戦う意味があったのだろうか

「まあ、夕子ちゃんの事も、今回のこともそれなりに隆泰君達の考えがあってのことでしょう」

林さんの言うことももっともだが、それでも納得いかない

「夕子さんだって、怪我したのに」
「それだけしなくてはいけなかったのじゃあ、あいつの居場所を教えてくれたのだって、隆泰君でしょ?」
「そうですけど・・・」

そうあの時入っていた紙は隆泰さんが気付かないように私に渡したもの
それのお陰で私達はあの男の場所へと行けたのである

「もしかしたら、夕子ちゃんは初めからわかってたのかもね」
「え?」
「隆泰君達が操られて無いこと、それを知った上で自ら怪我をしたとも考えられるわ」
「どうしてそんなことを?」
「夕子ちゃんはね、献身的すぎるのよ、だからお互いの為を思っての事、隆泰君もそれには気付いてたのかもしれないよ」

確かに夕子さんの他人思いのところは行き過ぎな気もしないでもないが、
他人のためにそこまで自分を傷つけられるものだろうか

「ま、予定調和ってやつ?隆泰君達にしても、夕子ちゃんにしてみても」

林さんに言われてもやっぱり納得がいかない

「むう、そんなものなのかなあ・・・」

だが、確かにそう言われてしまうとそう思える節もある

「明日、夕子さんに聞いてみよう」

そう思い寝床につく

そして、次の日・・・

私は学校が終わった後、夕子さんに会いにいった

「あら、陽子さん、どういたしました?」
「ちょっと、お話したいなと思いまして・・・」
「昨日の事、ですか?」
「どうして、それを?」

夕子さんはフフッっと笑う

「顔に書いてありますよ」
「えっ?」
「とりあえず、どこか寄っていきましょうか」

私達は近くの喫茶店へと入る、もちろんリトルガーデンではない

「林さんが言ってたのですけど、隆泰さんが本当は洗脳されて無いって知ってました?」
「知ってましたよ」

ケロッとした表情で返答する夕子さん

「じゃあ、あの怪我は・・・?」
「あれは確かに隆泰さんに受けたものですけど、命には別状ありませんでしたし」

何と言うか、お人好しもここまで来ると怖いものがある

「じゃあ、私達の所に来た時のあれは?」
「半分嘘で半分本当の事ですね、隆泰さんが演技してるのかしてないのか、見てれば分かりますから」

信頼しているとはこういうことを言うのだろうか?
何かが違うような気がしないでも無い

「陽子さんにはまだ分からないかもしれないですが、私達はこれで今までやってきたんですよ」
「でも、いいんですか、本当に?」
「私も似たようなこと、隆泰さん相手にやったことありますし、お互い様ですよ」

夕子さんは笑いながら話す
笑い事じゃあ無い気がするけど、この人たちにとっては当たり前なのかもしれない

「まあ、真面目にいうと、言わなくても分かるんです、もう何年も一緒にやらせていただいてますから」

お互いを信頼しているから、自分の身を犠牲にできる
心が通じ合ってでもいるのだろうか・・・

少し隆泰さん達がうらやましかった

「昨日のことなら隆泰さんからちゃんと謝っていただきましたし、平気ですよ」

再び、夕子さんに笑いが見える
私や林さんも同じ状況に陥った時、こんなことができるのだろうか

夕子さんや隆泰さん達のつながりの深さを改めて知った気がした
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by meruchan0214 | 2006-05-17 13:16 | 妖の調べ

58、真実は変わらない

ガキィィィィィン!!

部屋の中で武器と武器が交錯する音がする
今、私と陽子ちゃん、隆泰君と恵ちゃんの戦いが始まった

「ちっ!!」

ドガァァァァァァァァ!!

流石に手ごわい、お互いの手の内を知っていることもあるが、
やはりこの二人の実力は相当にある

「わわっ!!」

バン!!

「きゃっ!!」

陽子ちゃんが私の方に吹っ飛んできた
私はそれを避けきれず、受け止める形になってしまった

「あいたたたた・・・」
「ご、ごめんなさい、林さん」
「大丈夫、それよりも今は耐えなさい」
「はいっ」

私が夕子ちゃんに頼んだ事、それは当然、楓ちゃんの捜索である
私でも良かったのだが、室内なら圧倒的に夕子ちゃんの方が有利だ

それに、彼女の力には面白いものが存在する

「もう少し耐えれば、夕子ちゃんが楓ちゃんを見つけてくれるから」
「その自信は一体なんでです?」
「ふふ、まあ、とりあえず今は守る事に集中しましょ」

ヒュン!!

ガキィィィィン!!

私達と隆泰君達との戦いは続く

「流石に、なかなかやるな!!」
「そっちこそね!!」

ドカァ!!

ドオオオォォォォン!!

戦況は五分五分といったところだろうか、
だが、少し不可思議な点がいくつか見え始めた

本気じゃない?

隆泰君や恵ちゃんの本気はまだまだこんなものではないはず
当然、こちらも本気を出していないが、操られてるとはいえ少しおかしい

あの男が操っているとしても、妖をこれほどまでに憎んでいるなら
もっと全力で私達に攻撃させるはず

いや、多分あの男にはこの戦いが全力に見えるのだ
だけど一体何故、隆泰君達は本気ではないのか

バァン!!

「林さん!!見つけました!!」

扉を開け、夕子ちゃんが入ってきた
その両腕には眠っている楓ちゃんがいた

「なんだと!?」

男は動揺を隠せないようだ
夕子ちゃんの特殊能力には本当に助けられる

「ええぃ、だが洗脳は既に済んでいる、やってしまえ!!」
「分かりました・・・」

ヒュン

「え?」

次の瞬間、隆泰君達の取った行動は男の背後に武器をつきつけていた

「まったく、大変だったぞ。普段使わないようなことさせて」
「ほんと、やりたくない仕事までしちゃって、倒す相手がまだ倒すべき妖だったからよかったものの」

やはり、洗脳なんかされていなかった
隆泰君達は洗脳されていた振りをしていたのだ

「な、なぜ、お前達は!?」
「残念だけど、俺達に洗脳って効かないんだよね、特殊な術を施してあるから」
「みんなごめんね、楓ちゃんを人質に取られてて・・・」

あっという間に形成逆転、男が囲まれる立場となった

「くそっ、何故だ、何故お前達ばかり!!」
「あんたの気持ちは分かるよ、だけれどそれは妖だって同じことさ」

隆泰君が男相手に話し始める

「確かに家族を殺された恨みは分かる、だけど、妖全てが悪いわけじゃあないんだ」
「うるさい!!お前に何が分かる・・・家族を失った悲しみが分かるのか!?」
「分かるよ、俺の両親も妖に殺されたからね、だけど助けてくれたのも妖だった、それはあんただって分かってるんじゃないのか?」
「・・・・・・」

男は黙ってしまった、良く考えればこの人も被害者なのかもしれない
妖に家族を殺された無念、それが妖に対する復讐の刃となっていたのだ

「ま、今回は楓に手を出さなかったから見逃してやるよ、あんただって心の奥じゃあ、完全には恨んではいないんだろ」

それだけ言うと隆泰君は夕子ちゃんから楓ちゃんを受け取り部屋から出て行く

「恵、夕子、行くぞ」

隆泰君に呼ばれると、二人も後を追うように出て行く

「林さん、どうします?」
「私達も戻りましょ、あの人は一人にした方がいいと思う」

私達はただ呆然としている男達を尻目に外へとでた

「そういえば、夕子さんの力って何だったんです?」
「ん~、知り合いを見つける能力があるのよ、夕子ちゃんには」

そう、彼女の面白い能力の一つ、知り合いの居場所が分かる能力だ
顔見知り程度じゃあ、分からないらしいが
私などの居場所とか、分かろうと思えばどんなに離れてても分かるらしい

「何か変な能力ですね」
「でも、便利よ、今回みたいな事には特にね」

それにしても、夕子ちゃんに怪我を負わしたのも演技だったのだろうか?
それとも夕子ちゃんも演技だということに気付いていたのか、少し疑問になった

ただ、今は疲れた体を休ませたい気持ちで一杯であった
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by meruchan0214 | 2006-05-16 19:55 | 妖の調べ

57、見極める瞳

「はぁ・・・、はぁ・・・」

何とか隆泰さんから逃げおおせることができた

これからやることは隆泰さんの娘を助け出すことだが、
いかんせん場所が分からない

「場所さえ分かればすぐにでも助けに行くのに・・・」

カサッ

私のズボンのポケットに変な紙切れが入っている

「これは・・・?」

どこかの地図のようだ
地形的にここからそう遠くは無い

「林さん、こんなものが」
「これって、地図みたいだけど?」
「私のズボンの中にあったんですけど・・・」

さっきまでは入っていなかった、それは確認済みだ
だからもし入れる人が居るとするならば、隆泰さん以外に考えられなかった

「完全には洗脳されていないって事なのかな?」
「さあ、とにかく行動あるのみ、行ってみましょ」
「了解しました」

私達は地図の場所へと向かった

昼間であったら、人通りがかなり激しい道も
深夜となると通る車や人はほとんど見えない

「地図の場所だとここだけど・・・」

最近の高層ビルというものだ、外見も真新しい

「無理やり突入って言うわけにもいかないか」

正面きって突撃するだけなら簡単だ
だが、人通りが少ないといっても街中だ
騒ぎになれば後々面倒なことになる

「私に任せてください」

夕子さんがすぃっと前にでる

「門よ開け・・・、私の道を照らせ・・・」

術を唱えると、ドアが勝手に開いた

「あれ、夕子ちゃんこんなの使えたんだ?」
「少しだけですけどね、隆泰さんに教わりました」
「なるほどね」

私達はビルの中に静かに入る

中に入るとかすかではあるが、妖の気配とそれ以外に人の気配がする
居場所までは特定することは無理だが、ここで間違いはなさそうだ

「上か・・・」

林さんがボソリとつぶやく

「夕子ちゃんちょっといい?」

林さんは夕子さんになにやら耳打ちをしている

「はい、分かりました」

夕子さんはそれにうなずいている

「よろしくね」
「はい、林さんも陽子さんも気をつけて」

それだけ言うと夕子さんは姿を消してしまった

「夕子さんに何を?」
「秘密、とにかく私達は上を目指しましょ」

私達は上へと昇る
一歩、また一歩と進むたびに人の気配と妖の気配が強くなっていく

「隆泰さん達もここにいるのでしょうか?」
「多分ね、私の予想が合ってればおそらく・・・」

そして、最上階の部屋へとたどり着いた
気配が固体を識別できるくらいに強くなっている
この感じは隆泰さんと恵さんだ

「あけるわよ」

ギィィィィィィ

大きな扉を開けると、そこには隆泰さんと恵さん、それに見知らぬ男が一人中央に座っていた

「まさか、君達の方から来るとはね、予想外だった」
「生憎、待っているっていうのは性分じゃなくてね」
「ふん、たかが妖風情がいい気になって」

男はこちらを見下すような喋り方をする
感じからして男は妖ではなさそうであるが、明らかにこちらに、いや妖に敵愾心を抱いている

「一体何が目的なの?」
「目的?決まっている、お前達妖を全員抹殺するためだ!!」

男は怒りを面にあらわし喋る
多分、この人は妖による事件の被害者なのだろう
恨む気持ちは分からないわけではない、だが、人間にも様々な人間がいるように
妖にも様々な妖がいるのだ、それを全て同じにするのは間違っている

「それで、隆泰君達を脅して、手駒にしたわけか」
「そうだ、こいつらは人間だが非常に強力な力を持っているからな」

確かに、霊媒師など妖を相手にする人間は少なくは無い
だが、これほどの力を持つ人間はそうそう居ない
そこにあの男は目をつけたのだ

「自分の目的の為なら、子供を人質にとっても構わないと?」
「あの娘だって妖だろうが、人間の血が混じっていようが妖は妖だ」

それほどまでに妖に深い恨みを抱いている
何がそこまでこの男にさせているかが分からないが、
子供をさらうような真似までするのは、普通では考えられない

「妖と話すのも嫌になってくる、二人ともあいつらをやってしまえ!!」
「仰せのままに・・・」

隆泰さんと恵さんが一歩前にでて武器を構える

「どうしよう、林さん・・・」
「どうしようといわれても、しょうがない、戦うしかないわね」
「戦うって、どうやって?」
「殺さないように、殺されないように頑張って」

無茶なことをさらっと言われた
確かに今逃げるわけにもいかない
見えなくなった夕子さんが少し気になるが
きっと林さんなら、策を投じているのだろう

とにかく、戦うしかないのだ

「くるよ、気を引き締めてね」

隆泰さんと恵さんが襲い掛かってくる

戦いたくない、だが戦いは避けられないのだ・・・
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by meruchan0214 | 2006-05-15 19:53 | 妖の調べ

56、予期せぬ事象

ザザザザザザッ

私達は樹海の中を走り抜ける
ここなら、周りは私の仲間だからそうそうに見つかることはない

だけれど、隆泰君や恵ちゃんが相手となるといつくるかも分からない

「一体どうして・・・」

私達は理由も分からないままどこか休めるところへと逃げ込む

「ここなら、大丈夫でしょ」

周りは木々に囲まれて、樹齢の多い樹が多い
能力を使うにはやはり樹齢が多い方が使いやすいし能力も高いのだ

「ん・・・」

気絶していた夕子ちゃんが目を覚ました

「あ、林さん、陽子さん・・・、つぅ・・・」
「無理しちゃダメよ、まだ応急処置しかしていないんだから」
「すいません・・・」

夕子ちゃんは本当に申し訳なさそうに頭を下げる

「一体、何がどうなってるの?」
「私も詳しくは分からないんです、でも、全ては4日前からのことなんです」

夕子ちゃんはことの顛末を話し始めた

4日前、隆泰君が仕事で店を開けたのがそもそもの始まり
帰ってきた隆泰君の様子がおかしかったらしく、
その2日後には恵ちゃんの様子もおかしくなったらしい

夕子ちゃんは他人が化けていて隆泰君達が捕まったのではないかとも考えたが、
どうやらそうではないらしい

妖に対する態度が急に悪くなったのだ
人間に対してはいつもと変わらない態度という話だった

「妖を殺す・・・か・・・」
「はい、隆泰さんからとは思えない言葉です」
「確かに、あの隆泰君がそんなことは言わないはずよね」

なにやら理由が全く分からない状況である
だが、現実に隆泰君達は私達に牙をむいているのである

「これからどうします?」
「そうね・・・、まだ無事なら隆泰君の娘に会ってみたいな」

そう、隆泰君の娘、といっても実の娘ではないが、
彼女は人間と妖の間に生まれたハーフの妖である

ある事件の時に、その子の母親から頼まれたらしい

「そうですね、楓ちゃんなら何か知ってるかも・・・」
「それじゃ、隆泰さんの家に?」
「危険だけど、しょうがないわね」

このままここに隠れ続けているわけにもいかない
こんなことをすることには何か事情があるはずだ

「夕子ちゃん、体は大丈夫?」
「はい、大分良くなりました」
「よし、それじゃ行きましょう」

私達は隆泰君の家へと向かった

「隆泰君達の気配はしないと・・・」

とりあえず、家の前までやってきた
夜遅いということもあり、家の電気はついていない

隆泰君は両親を事故でなくしていて、現在は娘の楓ちゃんと二人暮しらしい
流石に娘の楓ちゃんにも手をだすとは考えづらい

「戻ってくる前に家に入ってみましょう」

私達は静かに家へと忍び込む

キィ・・・キィ・・・

床を歩く音がいやに大きく聞こえる
もしかしたらこの音が隆泰君達に聞こえていて、すぐにでもやってくるんじゃないかとも思う

「楓ちゃんはどこだろう・・・」

私達はまとまって楓ちゃんを探す
別々に分かれて探すほうが本当はいいのだが、
個別に戦って勝てる保障はない、
だったら、最悪勝てるように3人で行動する方がいいのだ

「いないわね・・・」

最悪の考えが頭によぎる、
義理とはいえ、自分の娘に手をかけたとあったらと思うと
どうしようもない気持ちになる

「林さん!!」

陽子ちゃんが何かを見つけたようだ

「これ、見てください」

何枚かの写真、これを見て私達は目を見開いた

「楓ちゃんじゃない!!」

捕まって、牢に入れられている楓ちゃんの姿
その姿は痛々しいものがあった

「人質に取られているのね・・・」
「でも、いくら人質を取られているからとはいえ、あんなに非情になれるものなのでしょうか?」
「多分、倒せというのが脅しじゃなかったのよ」

そう、単純に倒すだけなら私情が絶対に絡んでくるはずだ
だが恵ちゃんに遭った時はそんなこと一切感じられなかった

ここで考えられるのは
楓ちゃんを人質に取られて洗脳をされたか、
精神と肉体を引き離されて、精神に別のものが入っているかのと予想できる

どちらにしても、楓ちゃんを人質にとった奴らは
妖の事を強く憎んでいる存在であるということが分かる

「人の家に勝手に忍びこむなんて、林さんもやっぱり妖なんですね」

不意に現れた気配、隆泰君が後ろに立っていた

「3人一緒か、丁度いい、まとめて殺してやる!!」

隆泰君はハルバードを取り出す

「逃げるわよ!!事情が分かったなら、無理に戦うことはないわ」

私達は逃げる選択肢を選んだ

洗脳されているのならば、それを解いてもいいが
解くことによって人質になっている楓ちゃんの命の危険を晒す事になる
それだけは絶対にすることはできなかった

「まて!!」

隆泰君の槍の一閃

ヒュオ!!

ぎりぎりのところで頭をかすめる

隆泰君の動き自体はそこまで早いわけではない
だが、彼には絶対空間という特異能力がある
一定範囲の存在の動きを全て予測した上で行動できるのだ

その的中率は95%以上、これが動きが遅くても強い理由なのだ

「さ、早く!!」

私達は思いっきり逃げる

だけど、楓ちゃんは一体どこに捕らわれているのか

隆泰君たちを元に戻すには、私達が彼女を取り戻すしかないのだ
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by meruchan0214 | 2006-05-14 23:44 | 妖の調べ

55、すれ違う夜

私自身の仇を取って、元の生活へと戻った
ここ何週間は特に仕事も無く平和な日々が続いていた

「ただいま~」

私が家に帰ってくると、林さんが何かを見て難しい顔をしている

「どうしたの、林さん?」
「あ、陽子ちゃん、いやね、最近隆泰君達を見かけないからさ」
「そういえば、今日も夕子さんと会わなかったなあ・・・」

ここ数日間、リトルガーデンの人たち・・・
隆泰さんや恵さん達を見かけていない

お店の方にも何度か行ってみたが、臨時休業になっていた

「とりあえず、何か変なことに巻き込まれていなければいいけど」
「そうですね」

やっと平和な日々になったというのに、一体どうしたというのだろうか
まあ、隆泰さん達ほどの実力があるのならば、そうそうに負けるということは無いと思うけど

「さっ、とりあえず御飯にしましょ」
「はい」

・・・・・・・・

食事も終わり、のんびりと過ごしているときだった

ガシャーン!!

窓から何かが飛び込んできた

「夕子ちゃん!!」

入ってきたのは夕子さんであった
全身傷だらけで、人間の姿をとることもままならないようだ

「大丈夫ですか!?」
「逃げて・・・、早く・・・」

弱々しい口調で喋る夕子さん

「一体どうしたの!?」
「隆泰さん達が・・・、妖達を・・・」

途中までいいかけて倒れる夕子さん

「夕子ちゃん!?・・・気絶しただけか」
「隆泰さんがどうとかって言ってましたね」
「ええ、一体どうしたのかしら・・・」

ピンポーン

玄関の呼び鈴が私達を呼ぶ

「あ、私行ってきます」

ガチャ

私が扉を開けるとそこには恵さんが居た

「あ、恵さんどうしたんですか?」
「こんばんわ、夕子ちゃん居る?」

いつもと変わらない口調、きっと怪我を負った夕子さんを助けにきたのだろう

「いますけど・・・」
「そう、丁度よかったわ・・・」

すると、恵さんは2メートルはあろうかという、大きな剣を取り出す

「陽子ちゃん!!離れて!!」
「えっ!?」

ブンッ!!

恵さんがその大きな剣を急に振り回した

「うわっ!!」

ぎりぎりのところでかわす、林さんの声がなかったら確実に斬られていた

「妖は全て・・・殺す!!」

恵さんから恐ろしいまでの殺気が放たれる
どうやら本気で私達を殺す気でいるらしい

「ちょっと、恵さん!?」

ヒュオ!!

再び恵さんの大剣が振り回される

ズバァ!!

一振りで鉄でできた扉が真っ二つになる

「とりあえず、逃げるわよ!!」
「は、はいっ!!」

私達は訳の分からないまま、逃げることにする

「逃がすか!!」

後を追ってくる恵さん、陰陽術を使っているせいかグングンと私達に追いついてくる

「みんな・・・力を貸して・・・」

林さんが木々に話しかけると、木々は意思をもったかのように恵さんを遮る

「今のうちに!!」
「はいっ!!」

私達は夕子さんを連れて樹海へと逃げ込んだ

「一体どうして・・・」

理由の分からぬまま私達を殺そうとした恵さん
別段変わったところは見れなかったのに、私達を殺す理由が分からなかった

『妖全てを殺す』

という言葉だけが私の耳の残っていた
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by meruchan0214 | 2006-05-13 21:19 | 妖の調べ

54、揺らぎなき時

戦いが終わり、私達はその場にヘ腰を下ろす

「あ~、きっつ・・・」

最初に口を開いたのは隆泰君だった

「そういえば、さっきの術は一体なんだったの?」

そう、隆泰君達が使った術、あいつは転送力符術と言っていたけれど
私達の何倍にも膨れ上がらせたほどの術は始めてみる

「ああ、あれは禁呪の一つで、膨大な魔力を送り込むことによって、対象を絶大な力をもたらす術なんですけどね」
「そんな術があったのなら、なんですぐに使わなかったの?」
「ん~・・・、準備に時間がかかったのが一つ、後は失敗したら俺、死んでいたかもしれないんで」

死と危険合わせの術、なるほど、リスクが大きいほど術の効果が強いというわけだ

「そんなの良く使う気になったわね」
「まあ、色々とね・・・」

隆康君は含み笑いを見せる

「なんなのよ?」
「隆泰はね、林さんや陽子ちゃん達を助ける為に最初から使う気だったんだ」

恵ちゃんが横から口を挟んできた

「この中のみんなが自分の命を失ってでもみんなを守ろうと思ってたんですよ」

そういわれると、嬉しくもあり、それが面白かった
みんなが自分の命を捨ててでも守ろうとしていた
それだけ、お互いが大事だということである証拠でもある

「あ、そういえば、陽子ちゃんは大丈夫?」
「う・・・うぅ・・・」

何か苦しがっている陽子ちゃん
もしかしたら、術をかけた本人を倒したからその効果が切れようとしているのだろうか

「大丈夫!?ねぇ」
「はい、大丈夫ですよ」

ケロッと顔で大丈夫だと言われて、私は豆鉄砲を食らった気分だ

「ちょっと、本気で心配したじゃないの!!」
「ごめんなさい、だって折角みんな無事だったから、少しジョークでもと・・・」
「隆泰の悪い癖が移ったわね・・・」
「そうですね・・・」
「悪い癖って、ジョークをするくらいの余裕は大切なんだぞ」

森の中で笑い声がこだまする

「本当に体は大丈夫なの?」
「はい、大丈夫です、折れた部分ももう繋がってますし」

そういうと陽子ちゃんは腕をぶるんぶるん回してみせる

「まあ、何にせよ全員無事で万々歳ってところか」

隆泰君の言うとおりだ、過程はどうであれ、結果的には誰一人欠けることがなかった
それは私達にとって非常に喜ばしい結果であった

「隆泰~、私お腹すいちゃった」
「あ~、俺も減ったな、そうだな、どこか食べにでも行くか?」
「さんせ~、戦いの後は御飯がおいしいよね」
「私も構いませんよ」
「この時間だったらどこがやってるかな?」

みんなで和気藹々と談笑する
無事でよかった、死ななくてよかった

命を捨てる覚悟だった私にとって、生きていると言うことはとても嬉しく思う
きっと、今後こんなことがあっても乗り越えられるだろう

絆というものは揺らぐことなく、私達を支えてくれる
これからもどんなことがあっても乗り越えられるはずだ
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by meruchan0214 | 2006-05-12 19:15 | 妖の調べ

53、違う強さ

「はぁ!!」
「やあああああぁ!!」

ドガッ!! バキッ!!

私と林さんは目の前の敵と戦っている

「まさか、ここまでやるとはね・・・」

相手が本気を出してきてるのは分かっているが、
林さんと一緒、今なら勝てる気がする

「陽子ちゃん!!」
「はいっ」

ドガァ!!

私の攻撃があいつの腹に直撃する

「ゴバァ!!]

男は血を吐き出しながら、後ろに下がる
だんだんと表情が変わり、余裕そうな笑みが顔から消えている

「ゆるさんぞ!!」

男の妖気が膨れ上がっていく、予想以上の抵抗にいらついているようだ

「思ったよりも戦えるものね・・・」

林さんがつぶやくように話す、私もこれほどまでに戦えるとは思っていなかった

「グオオオオオォォォォォ!!」

男の顔が少しずつ変わっていく、人から妖の姿へとなっていく
その姿はジェイソンやゾンビを想像させるような、グロテスクな姿である
だが、男の放っていた妖気の質が変わり、強くなっているのも感じる

「この姿は醜いからなりたくなかったのだがな」

ヒュン!!

一瞬、今までのスピードとは比較にならない速度

「陽子ちゃん、後ろ!!」

ドガアアァァ!!

林さんの声に咄嗟に反応し、防御をする
だが、予想以上の威力に私の体は吹き飛ばされる

バキバキバキィ!!

木々をなぎ倒しながら体中から鈍い音がする
防御した腕とアバラ、肋骨が何本かやられたらしい

「く・・・」

妖の姿を取るとこれほどまでに強さが上がるものだろだろうか
さっきまで、善戦していたのが嘘のようであった

「きゃああああ!!」

林さんの声がする、私は急いで林さんの元へと走る
私がたどり着くと、林さんは左腕にかけて大きな怪我をしていた

「強い・・・」

林さんもこの重傷で、私もまだ肉体が回復していない
戦況はかなり劣勢になってきている

「そろそろ、終わりにしますよ」

ヒュン!!

妖はまた目にも止まらぬ速さで近づいてくる

ガキィィィィィィィン!!

だが、妖の振り下ろした腕は何かによって防がれている

「流石にこれ以上の様子見は無理だな」
「私達も手伝うよ」
「回復は私に任せてください」

3人の声、隆泰さん達だ

「遅い、一緒に居たでしょ」
「悪いな、もしかしたら二人で勝てそうだと思ってはいたんだが・・・」

あの姿のままだったら、私達でも勝てていただろう
だが、今のあいつは人の姿の時よりもずっと強い

「林さんの傷は私が治します」

夕子さんが林さんの傷を手当てし始める
どうやら、振り下ろされた腕を止めたのは障壁みたいなものであった

「勝ち目の無い戦いはしない主義ではなかったのかね?」
「悪いけど、事情が事情なんでね、それに今ならお前に勝てる気がするよ」

隆泰さんと妖が対面し話す
だけど、何故今ならこいつに勝てるのかが少し分からない
だが、少しでも勝機があるのならば、それをやらなくてはいけない

「ただ、俺達が黙って見ていたとは思うなよ」

隆泰さんが合図を出すと、恵さんと隆泰さんがあいつとの距離を取る

「いくぞ、恵!!」
「オーケー、準備はいつでもいいよ」

「円!!」

二人はなにやら呪文を唱える

ウォォォォォォン

すると隆泰さんと恵さんを両端とする、魔法陣が描かれる

「ふ、魔法陣が私に通用するとでも?」
「お前に使うんじゃない、こうするんだよ!!」

その魔法陣は私と林さんを包み込む
暖かい光、優しさが詰め込まれているようだ

「想!!」

カッ!!

まぶしい光と共にその光が私達の中に入っていくのを感じる

力が満ちてくる、今までとは違う力が溢れてくる
まるで、自分と誰かが一緒になったようなそんな感じである

「はぁ、はぁ・・・・、成功したみたいだな・・・」
「そうね・・・」

隆康君と恵さんはその場で倒れこんで肩で息をしている

「もう、傷は塞がりましたよ、林さん」
「ありがとう、夕子ちゃん」

林さんはゆっくりと立ち上がる、
感じれるのは私と同じような雰囲気を持っている

「その術は・・・、まさか・・・!!」

妖が驚愕の声をあげている

「転送力符陣、この時代に使える人間がいるとは・・・」

妖は信じられないと言うような言い方である
何が凄いのかが分からないが、とにかく前の何倍も強くなったのは分かる

「陽子ちゃん、林さん、今の二人ならあいつに勝てるはずだ」

私は妖を見る、さっきまでの脅威さはどこかに消えていた
勝てる、私の心の中で思っていた

「認めない!!私よりも強いものなぞ!!」

ヒュン!!

さっきよりも動きが遅い、いや、私達が見えるようになっている

ガシイ!!

私は動く妖を捕まえると、そのまま拳で殴りつけた

ドガァ!!

「げひぃ」

妖は変な声を出して吹っ飛んでいく
さっきと同じ奴なはずなのに、強さが全く違うように感じた

「逃がさない!!」

林さんの蔦が妖を捕らえ絡めとる

「ぐえぇ」

妖は必死にもがくが力の上昇している私達に適わない

「陽子ちゃん」

林さんは私を見て声をかける

「今まで人を殺してきた罪、私を殺した事・・・絶対に許さない!!」

私はありったけの拳に力を込め、妖に殴りつけた

ドガガガガァァァァァァァ!!

激しい炸裂音と共に一撃で粉々になる妖

今ここに私の戦いは一先ず終わりを告げたのだ
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by meruchan0214 | 2006-05-11 23:12 | 妖の調べ

52、あわせる力

「陽子ちゃんはあっちに行ったのね、ありがと!!」

私たちは樹木に話を聞きながら、樹海を駆け抜ける
大体、聞いた話では今から30分前にここにやってきていたらしい

妖同士の戦いでは10分以上戦うということは、極めて稀である
妖というのは言うなれば、人間で例えるとお互いに重火器を持っているようなものだ

その力の応酬ゆえに時間がかかる戦いなど滅多に無い
あるといえば、お互いの力が拮抗しているときくらいだろうか
とはいえ、決着がつくときはやはり一瞬というのが多いわけだけど

「急がないと・・・」

私は陽子ちゃんの無事を祈りながら走る
その時、大きな二つの力の塊がぶつかりあっているのを感じた

「この感じ・・・、陽子ちゃん?」

私は念入りに妖の力を探ってみるが紛れもなく、陽子ちゃんの力だ
だが、陽子ちゃんの力はこんなにも強かったであろうか、
私たちと比べてもなんら遜色のない強さである

「とにかく、向かいましょう」

私たちは力のぶつかりあうすぐ傍までやってきた

「てやああああああ!!」
「ふふふ」

陽子ちゃんとあいつ、死霊使いが戦っている
勝負の方は死霊使いの方がまだ本気を出してない感じだ

だが、それはこちらにとって好都合であった
本気を出していないからこそ、陽子ちゃんは生きている
更に相手は油断しているということだ

闇討ちというのは少し言い方は悪いが、
だが、敵を倒す手段としては有効な手段ではある

「さて、どうしますか?」
「どうするといっても、陽子ちゃんを助けないと」
「それはそうですけど、一撃で仕留めないと辛いですよ?」

確かに隆泰君の言うとおりだ、あいつの強さは私達の強さを遥かに超えている
倒すなら油断している今しかない

「でも、早くしないと、陽子ちゃんが・・・」
「ですから、確実に助ける為にもこうして」

バキィ!!

「あっ!!」

陽子ちゃんが死霊使いの攻撃に吹っ飛ばされる

ガバッ

だが、陽子ちゃんはすぐに起き上がると、まだ抵抗し続けている

「陽子ちゃん!!」

いてもたってもいられなくなった私は陽子ちゃんの前に躍り出る
私を見て陽子ちゃんの表情が驚きの表情に変わる

「林さん・・・?どうしてここが?」
「陽子ちゃんを一人で戦わせるわけにはいかないからね、それにここは樹海の中、私は樹の精霊よ?」

陽子ちゃんの顔に笑いがこぼれる、今まさに死ぬかもしれないという戦いの中で笑っている

「美しい友情ですね、だけどこの私には勝てませんよ」
「やってみなくちゃ、分からないでしょ!!」

私は普段使わない力を解放する、
いつもなら、人間の姿を取ったまま戦うのが、こいつと戦うにはこの姿だと力不足、
ならば、私の本来の姿になるしかない

キュイィィィィィン

私の体が緑色の光に包まれ、体の体組織が変わっていく
体はより樹に近くなり、髪の毛は葉に近いものとなる

「さすが、樹齢300年を超える精霊だ、こんな力を隠していたとは」

この姿になれば、私の能力は飛躍的に上昇する
こいつに対抗するにはこの姿を取るしかないのだ

「林さん・・・」
「いい?バラバラにいっても勝てないから、コンビで攻めるわよ?」
「はいっ!!」

私と陽子ちゃんは死霊使いとの距離をじりじりと詰める

負けるわけにはいかない、絶対に陽子ちゃんを守ってみせる
もしものときは、隆泰君たちもそこにいる
隙さえ作ることができれば、私の身はどうなっても構わないと思っていた
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by meruchan0214 | 2006-05-10 11:22 | 妖の調べ