カテゴリ:ウィザード&ブレイド( 10 )

Net8 知るも知らぬも

現実とネット、とても近いようでとても遠いものだ
俊二と啓子は優衣やキューブの店長の事を心配していた

「大分、大事にはなってるよね・・・」
「そうだね・・・」

迷惑がかかるといけないからと、知り合いであると言う事は伏せている
さらに、ここ数日は優衣とは会っていない

「大丈夫なのかな、優衣さん」
「店長さんがついてるから大丈夫だとは思うけど・・・」

俊二と啓子はそんな話ばっかりしている
連日、キューブに押し寄せる人は後を断たない何人も何人もやってくる
もちろん、目当ては優衣がほとんどであった

「でも、ラミュカを操ってるのは店長でレジルが優衣さんなんだよね」
「うん」

何度か大型の掲示板でラミュカは男だと言う事は言われてはいた
だが、優衣の姿が公の場に出た事でラミュカ=優衣と思う人が圧倒的に多かった

「店長さんも大変だな、いくら言っても聞いてくれないって言ってるし」
「そう考えると怖いよね」

不特定多数の力と言うのは恐ろしいもので嘘でも現実のように思い込ませてしまう
実際にラミュカはキューブの店長が扱うキャラクターであるが、
今ここに来ている人間たちは優衣が目当てで来ているのだ

「俊二君、啓子ちゃん」

小声で二人を呼ぶのは優衣だった、周りに見つからないようにそっと呼んでいる
二人も周りに気を使って、優衣の方へと向かった

優衣が居たのはキューブの事務所だった、店には来ては居たが
この状況で店には出さないほうが良いと店長が判断した結果だった

「優衣さん、今回の事は大変ですね・・・」
「まあねぇ、一応、警察にも言ってはあるけどさ・・・」
「表に出たものは無くせないってことですね」
「そういうこと」

今は出回っていないとはいえ、表に出た事は変わりは無い
更に言えばそれが今回の騒動に火をつけているのである

「心配かけてごめんね」
「いや、優衣さんこそ大変じゃないですか」

俊二は優衣に答える

「僕達に手伝える事があったら、何でも言ってくださいね」
「ありがと、でも、治まるまで耐えるしかないからさ」

優衣はあははと力無く笑う、相当に参っているみたいだ

ネットの力を恐ろしいと感じながらも何も手伝えない自分達が少し悲しかった
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by meruchan0214 | 2007-05-02 22:07 | ウィザード&ブレイド

Net7 仮想と現実

シュンとテリアはいつものようにレベル上げをしていた
まだまだラミュカやレジルには追いつかないが大分強くなってきていた

「あ、ラミュカさん」

街の向こうからやってくるラミュカ、だがシュンとテリアに挨拶することも無く通り過ぎる
その姿は何かに追われているみたいだった

「どうしたんだろ」
「さぁ・・・」

その直ぐ後だった、何人もの人達がラミュカの後を追っていった
何故、追いかけているのかは分からなかったがほとんど男達が追いかけていたのは分かった

「何かあったのかな・・・」

気になったシュンとテリアは今度キューブに行ってみる事にした

現実の世界に戻って、俊二と啓子はキューブへと向かった
ラミュカやレジルの正体を知ってからというもの、割と頻繁に行くようにはなっていた

カランカラーン

二人が中に入って驚いた、いつもと客層が全く違う
ここの客はある人が目当てでやってきていた

「・・・」

何も言葉がでない俊二と啓子、ちらっとある男のPCを覗く

「優衣さんの写真だ・・・」
「え、うそ」

しかし、店の中には優衣の姿はどこにも見えない
居るのはラミュカをやっている人間、キューブの店長の他のアルバイトだけだ

「店長さん」
「お、どうしたんだ?」

いつもと変わらず接する店長、そこは慣れというものだろうか
店長は二人に目配せをする、俊二と啓子はそれをなんとなく理解はした

「また、後でね」

ボソボソと二人にだけ聞こえるように耳打ちをする
それに俊二と啓子は軽く頷いた

そして、他の人間たち恐らく優衣さん目当てで来た人達が帰ったあとやっと平和な時がキューブに訪れていた

「一体どうしたんですか?」
「誰かが優衣がウィザード&ブレイドの事話していたのを聞いてそれをアップしたらしい」
「でも、それっていけないことなんじゃ・・・」
「そう、だから今アップした人を探してもらってる」

店長はやれやれと言った顔つきで話している

「ラミュカを優衣が使ってるキャラクターだと思っているらしくてね」
「それで昨日はあんなに逃げていたんだ・・・」
「まあね、君達を巻き込む訳にはいかなかったからさ」

優衣は傍からみてもかなり綺麗な人だ
それがウィザード&ブレイドのトップランカーだと分かれば、黙っていても男達が寄ってくる
もっとも、本当はラミュカはこの店長であり、その相方が優衣であるわけだが

「いくら否定してもね・・・」
「ああ、分かります、それ」

過ぎてしまった事はしょうがないとは言え、これでは優衣が店に来れない

「優衣さんはどうしてるんですか?」
「居るにはいるけど、店には当分出せないな」
「ですね・・・」

俊二と啓子は出してもらったコーヒーを飲んで家へと帰った

「あの二人も大変だな・・・」
「でも、笑い事じゃないよね」
「そうだね・・・」

インターネットの怖さを知った二人、そうではなくても影響を与えるには大きすぎるものだということを認識させられた
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by meruchan0214 | 2007-04-24 22:14 | ウィザード&ブレイド

NET6 本気の本気

シュンとテリアはいつも通り二人で狩りをしていた
レベルもラミュカとレジルの助けもあって、大分高くなっていた

「俺たちも強くなったよなあ」
「ほんとほんと」

ついこの間までは、初期職業の最初の方だったが
今ではついに上級職転職直前までやってきている

「シュンは何になるの?」
「ん~、俺はセイントナイトかな、攻撃力も上がるし」
「そっかあ、攻撃系かあ、じゃあ私もこのまま予定通りでいいや」
「テリアは?」
「私はイリュージョナリー、補助職だよ」

セイントナイトはもっともポピュラーで最も前衛系で人気がある職業
攻防共にバランスが良く特に攻撃面での評価が高い
一方、イリュージョナリーは魔法系の上級職で幻想魔術という一風変わった魔法を使う
回復能力こそ専門職である神官系上級職に劣るものの、変わった特殊能力は周りからも珍しがられる

「それって確か、幻影とかでこうげきできるんだよな」
「そそ、攻撃よりも補助がメインだけどね、実際効果高いらしいよ」

幻想魔術は視界に作用するもので、最も効果を発揮するのは対人戦であった
もちろん、その能力は普通の狩りに使っても十分実用範囲である

二人は上級職に転職するべく脚を進めた

「あ、二人ともこんばんわ」

不意に声をかけられて振り向くと、そこには見知らぬ女性が居た

「・・・どなたですか?」
「レジルよ、レジル、今サブキャラのこの子のレベル上げてるの」
「あ、なるほど・・・、普段のレジルさん見てるとすっごい違和感ありますね」
「あはは、こっちの方が素だけどね」

普段ネット内でレジル=男として見ているせいか何かおかしく感じる
本来ならこれが普通なのだろうが、いつもと違うというのはやっぱり違和感として感じる

「そのサブキャラのレベルいくつなんですか?」
「ん~・・・この子はちょっと低くて81かな」
「81・・・」

確かにメインよりは低いがなかなか到達できるレベルではない
一体どうすればそんなにレベルが上がるのか教えてもらいたかった

「一番は慣れね、強い敵をどうやって効率良く狩れるようになるか」
「ふむふむ」
「後、私達は装備揃ってるからね~、大分楽だよ」

ラミュカやレジルの二人のコレクションは見せてもらった事があるが、凄かった
俗にレアアイテムと言われているものを大量に持っていた
ラミュカやレジルのレベルになればすぐとは言っていたが、シュンとテリアに取って見れば凄いものであった

「そういえば、今日はラミュカさんは?」
「ラミュカは今仕事中、そろそろ来るんじゃあないかしら」
「ラミュカさんもサブキャラっているんですか?」
「もちろん、微妙職なのも当然だし」

こういったゲームには少なからず、作り手に恵まれていない職業や技が存在する
ラミュカはそれを好き好んで使用していた

「ラミュカが使うとそういうのが強く見えるから不思議なんだよね」

他の人にやれといってもなかなか難しい事をラミュカはやってのけてしまう

「そういえば、二人はどうしてここに?」
「上級職になろうかとおもって」
「お、そうなんだ~、おめでと~」

レジルは素直に二人を祝福する

「ありがとうございます」
「じゃあ、上級職になったら、一緒に上級ダンジョン行こうか」
「いいですよ」

仲間との会話が楽しい人時
いつまでもこれが続けばいいなあとシュンは思っていた

これからも頑張らないと
目標はラミュカとレジルみたいになることだった
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by meruchan0214 | 2007-03-10 22:18 | ウィザード&ブレイド

Net 5 知り合う仲間

いつも通りウィザード&ブレイドの中で楽しむシュンとテリア
レジルとラミュカの両名もたまに一緒に遊んでくれた

「ラミュカさんって、高レベルですけど変な噂はあんまり聞かないですよね」
「ん~・・・そうかなぁ・・・?」
「でも、ストーカー紛いの事は何回かあったな」

ラミュカの正体を知っている側に取ってみれば、傍から見て面白いだけだったが本人は気が気ではなかったらしい

「あの時は本当に参ったよ、でも、大きくなったのはそれくらいかなあ・・・」
「そういえば、ラミュカさんのファンクラブってあるんですね」
「私自身は色々と迷惑なんだけどね」

ネカマと言う訳ではないが女のように立ち振る舞っているように見える
一緒にいる本当の女のテリアですらラミュカが本当の女と思えてしまう

「私もシュン君みたいに振舞えたら楽なんだけどね」
「僕ですか?」

シュンの事をうらやましそうに言うラミュカ
レジルはその横で笑いながらそれを見ていた

「レジルみたく演技できるのがうらやましいよ」

ラミュカはハァとため息をついて歩いている
本人はかなり気にしているみたいだった

「でも、やっぱり違和感ってありますよね」
「あ~、そうかもね、お互い知っちゃうとどうしてもそうなるよ」

シュンの言葉に頷くテリア達

「シュン君やテリアちゃんも大分レベル上がったから、少し上級ダンジョンに行く?」
「お、いいねぇ」

ネットの中がとかリアルがとか関係ない
一緒に居て楽しい仲間であればそれでシュン達は良かったのだ
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by meruchan0214 | 2007-02-18 23:45 | ウィザード&ブレイド

Net 4 時間

たった四人のOFF会も順調に時間が過ぎていく
俊二や啓子はゲームの分からない部分を二人に聞く

「優衣さんは何で男を?」
「使うならカッコいい男のほうがいいしね」

気持ちは良く分かる気がする
ラミュカのキャラクター、キューブの店長はどんな気持ちでラミュカを使っているのだろうか
少し気になったがなんとなく聞けなかった

「そういえば、キューブの店長さんと優衣さんは仲がいいんですね」
「まあね、お互いがウィザード&ブレイドやってたときはびっくりしたけど」
「え、一緒にやり始めたんじゃないんですか?」

啓子は驚きの声をあげる、それを優衣はアハハと笑いながら話している

「元々キューブの常連だったんだけどね、きっかけは・・・なんだっけ?」
「着メロだよ」

店長に言われて、ああと思い出したようで携帯を取り出した
その着メロにはウィザード&ブレイドに使われている曲が流れていた

「俺が気がついて、話してみたら実は知り合いだったってオチだったんだけどね」
「それ以来だよね、こうやってるのは」

店長と優衣は懐かしそうに話している
俊二と啓子はこういう関係も面白くていいなあと思っていた

「でも、店長さんって女キャラ使ってても素なんですよね?」
「一度ね、男でやってたら気持ち悪い言われたから、それ以来女しか使わない事にしてるんだ」
「男なのにね~」

優衣がからかうように言うと、店長は少し落ち込んだような表情になる
こうして実際に会ってみるとそこまで女っぽくは無いような気がしないでもない
けれど、どこか行動に女っぽさがあるにはあった

その後しばらく4人の会話は弾んでいた
楽しい時間はあっというまに過ぎていく
でも、今度は分かれても時間は共有できる
今度は皆仲間になったのだから
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by meruchan0214 | 2007-02-14 08:52 | ウィザード&ブレイド

Net 3 素顔

「テリア達は俺の家の近所なんだ」

そんな言葉が最初だった、現実の話になるのは珍しくない
偶然出会ったラミュカとレジルの二人が近所に居るというのはびっくりした

「今度、会ってみるか」
「はい、是非!!」

レジルの言葉に二つ返事で了承するテリア、シュンもどんな人か興味はあった

「ラミュカ、いいだろ?」
「私は構わないけど」
「それじゃあ、キューブっていう喫茶店知ってるか?」

キューブ、シュンやテリアの住んでいる地域の小さな喫茶店
小さいながらも味は雑誌にも何度も載るほどで人気は高い

「ラミュカもいいよな」
「・・・別にいいけど」

キューブという話が出て何となく態度がおかしくなるラミュカ
レジルは何となく楽しそうだ

「それじゃ、当日は分かりやすくしておくよ」

シュン、テリア、ラミュカ、レジルの4人は今度会うことを約束して別れた
そして、現実で出会う日がやってきた

「おはよう~、俊二君」
「啓子、おはよう」

二人は家の前で待ち合わせをして二人で向かうことにした
喫茶店、キューブは歩いて10分ほどの所にある
近くまで行くと張り紙が張ってあるのに気がついた

『本日、貸切』

俊二と啓子は自分達の目を疑った、今日確かにキューブで会う約束をしているが貸切とは聞いていない

「ど、どうする?」
「でも、キューブって言ったし・・・、一応聞いてみようよ」
「そうだな、違ったら出ればいいだけだし」

二人はとりあえず話だけでも聞こうとキューブの中に入った

カランカラーン

中では女の人がなにやら装飾をしている

「あの~・・・、今日、ここで待ち合わせしてるんですけど・・・」

俊二が声をかけると、女の人はこちらに気がついた

「あ、ごめんなさい、誰と待ち合わせですか?」
「えっとその・・・」
「もしかして、ウィザード&ブレイドをやっている人とか?」

なかなか答えられなかった俊二に女の人がささっと喋ってしまう

「は、はい」
「いらっしゃい、待ってましたよ」

どうやら、この貸切は自分達の為だけに貸切になっているらしい

「ごめんね、まだ準備が終わってなくて、すぐ用意するから待ってて」
「あ、手伝います」
「いいのよ、二人はお客さんなんだから」

女の人は手馴れた手つきで準備を進めている

「あの人がラミュカさんかな?」
「そうかもね」

二人はボソボソと話している

「店長~、早く持ってきてよ~」
「もうすぐだから、もうちょっと待ってて」

奥から男の人の声が聞こえる、キューブの店長が何かを作っているらしい
少しすると、綺麗に盛り付けられた料理が山のように運んできた

「はいはい、二人の席はここね」

女の人に進められるがままに二人は動いてしまう

「改めて、どっちがシュン君でどっちがテリアちゃん?」
「えと、性別通りなので、僕がシュンでこっちがテリアです」
「よろしくね」

女の人はニコリと笑う

「えっと、ラミュカさんですか?」
「私?私は違うわよ」

女の人に違うと言われて驚く二人

「私はね、レジルって言うのよ」
「えっ!?」

二人は同時に驚きの声をあげた
自分達が性別通りだから相手も当然性別通りだと思った
しかも、二人が知っているレジルはとにかく男っぽかった

「男だってずっと思ってた」
「私も」
「一応、演劇志望だから、男役もできないとね」

ウィザード&ブレイド内ではレジルの女の人が笑いながら話す

「あ、そうそう私の名前は佐渡優衣(さどゆい)って言うの、今、大学2年よ」
「俺は宮島 俊二です」
「私は緒川 啓子です」
「よろしく、俊二君、啓子ちゃん」

三人は顔を見合わせて笑う

「そういえば、ラミュカさんは来ないのですか?」
「ラミュカはねえ~」

優衣はにこにこしながら、店のキッチンの方を見ている

「ラミュカ~、シュン君とテリアちゃんが会いたいって」

優衣の言葉でキッチンからやってきたのは背の高い男だった
男と言ってもどこか線が細くどことなく女性っぽい雰囲気はあるものの、どう見ても男だった

「あの人がラミュカ、ね、店長」
「うっさいなぁ、別にいいでしょ」

二人は何となくそんな気はしていたが、それでもやっぱり少し信じられなかった
照れている店長にそれをからかうようにしている優衣

「女キャラ使っている以外はほとんど素なのにねえ」
「お前だって男使ってるだろ」

二人の会話がまるで漫才みたいである
それを聞いているだけでも俊二と啓子は少し面白かった

「それじゃ、始めましょうか」

優衣の言葉でウィザード&ブレイドのOFF会が始まった
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by meruchan0214 | 2007-02-08 12:31 | ウィザード&ブレイド

Net2 経験の違い

俊二がウィザード&ブレイドをやり始めてから1週間が経った
操作にも大分慣れてきてレベルも上がってきた
啓子とは既に同じくらいのレベルで良く一緒に色々な場所へと出掛けた

「今日はどこに行く?」
「ん~、ちょっと遠出してみるか~」
「うん、私はそれでいいよ、それじゃまた後でね」

学校の帰りこんな会話が日常になってきていた
普通に遊ぶ事も楽しいが、ネットゲームにはまた違った面白さがあった

「よし、入るか」

俊二はウィザード&ブレイドの世界へと入っていった



「お待たせ」
「お、きたきた」

シュンとテリアはいつもの場所で待ち合わせをする、二人でどこかに行くときは必ずここで待ち合わせをしている

「どこ行こうか?」
「ここから一番近い街はと・・・」

二人はどこに向かうか相談している

トントン

シュンは急に肩を叩かれびっくりする

「こんにちわ」

振り向いた先には以前助けてもらったラミュカとレジルが居た
どこかに行っていたらしく、たくさんの荷物を抱えていた

「こんな所で会うなんて偶然ね、元気だった?」
「は、はい、元気です!!」

ただ喋るだけなのに緊張してしまう、シュンとテリア
しかし、この前一度会っただけなのに覚えてくれていた事が嬉しかった

「二人でどこか行くの?」
「はい、これから少し遠出しようかと思って」
「そう、もしお邪魔じゃなければ私も一緒に行ってもいいかな?」

ラミュカからの意外な一言に余計に緊張してしまう

「い、いや僕らまだレベル低いし・・・」
「大丈夫、基本的には見るだけ、レジル、いいでしょ?」
「これから暇だから、俺は構わないぞ」

断るにも断りづらい気持ちはあった、でも一緒に行ってみたいという気持ちも強かった

「そ、それじゃあ、お願いします」
「オーケー、ちょっと要らないもの売ってくるから待ってて」

ラミュカとレジルは道具屋へと向かい、こちらに帰ってくるときは何か別の物を持っていた

「はい、あげる」

それは大量の回復アイテムだった、シュンがいつも使っている何倍の量を持ってきていた

「危なくなったらすぐに飲んでね、死にそうになったら助けるけれども、基本は二人で頑張ってね」

本当に自分達は手を出さないつもりらしい
こうして、4人はヴェルードから一番近い街、ベルドバへと向かった

「ラミュカさんとレジルさんって、今レベルはいくつなんですか?ランキングだと順位しか乗ってないし・・・」
「私が94で、レジルは95だっけ?」

レベルが高いと聞いていたが、このレベルの上げにくいゲームで90台は非常に珍しいといわれている
100以上あるという噂ではあるが、まだ誰も100には到達はしていないらしい

「スペルファイターって凄く扱いづらいって聞きましたけど、どうなんですか?」
「ん~、まあ、確かに専門職に比べたら弱いかな、どの職からの劣化でしかないし」
「範囲強化は助かるけどな」

スペルファイターはその名前の通り、魔法と白兵戦を同時にこなすクラスである
前衛系の攻撃力より低くダメージはでない、後衛系の魔法より使い勝手が悪いなどゲーム全体として敬遠されがちだ
唯一の取り柄は単体魔法を広範囲に拡散、あるいは仲間パーティに広げることだった
基本的に一人ずつしか強化魔法がかけれないこのゲームでは一気に仲間へかけれるスペルファイターの能力は魅力的ではあったが、それだけでレベル上げの辛いスペルファイターを選ぶ人間は少なかった

「まあ、どんなに頑張っても器用貧乏の域をでないんだけどね」

ラミュカは笑いながら話している、自分にはそれがいいんだと言わんばかりだった
道中、色々な敵が出てくるが宣言していた通りラミュカとレジルは全く手を出さなかった
それでも十分戦えるという判断をしたんだろう、ニコニコしながらラミュカは見ていた

「ご苦労様」

ラミュカは二人に声をかける、しかしその時目の前に一人のキャラクターが現れた

「勝負だ!!ラミュカ!!」

目の前に現れたキャラクターはラミュカやレジルに負けず劣らず高レベルに見える
人間のファイターっぽいが恐らく上級クラスだろう

「そんな正々堂々こなくていいっていつも言ってるのに・・・」

ラミュカはやれやれといった表情で戦いの構えを取る

「ちょっと待っててね、すぐ終わるから」

このシステムの一つである決闘が行われる、プレイヤー対プレイヤーの1対1、周りからは一切手が出せないシステムだ
やはり、ラミュカやレジルほどの高レベルになるとこういう戦いも多いのだろう

「いつでもどうぞ」

ラミュカはニコリと笑う、それを合図に相手の人間はラミュカに攻撃を始める
お互いの動きは凄かった、慣れているせいもあるだろうが、攻撃をスレスレで避けている

「ラミュカが有名なのは動き方もあるからな」
「凄い、丁寧ですよね・・・」

お互いの動きを見ていると確かに凄いがラミュカは本当に洗練されていた
それに比べると相手のほうは少し粗が目立つ

「あんまり、動きすぎると怪我するわよ」

ラミュカが呟くと、炎の柱が人間のファイターを襲った
基本職の魔法ではあるが、スペルファイターの特性で範囲が広い
設置型の攻撃魔法がこんな形で生きるのが凄かった

「あれって、基本だと死にスキルって言われてるやつですよね」
「確かにね、でもラミュカは使い方次第だっていつも言っているな」

確かにそうだった、使いづらいから弱いのではなく、どう使えば強いのかを考える人は多くは無い
スペルファイターも範囲強化に目がいっている人も多いだろうが、こんな使い方を見たのは初めてだった

「これで終わり」

最後はラミュカの白兵の攻撃で相手は倒れた

「また、いつでもきなさい」

それだけ言うと、決闘を挑んできた人間は戻っていってしまった

「さ、行きましょうか」

凄まじい戦いを見た後、シュンとテリアは後をついていくしかなかった
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by meruchan0214 | 2007-02-07 12:32 | ウィザード&ブレイド

Net 1 初心者

「これが、ウィザード&ブレイドかあ」
「私もやってるけれど、面白いよ」

啓子に進められて、俊二が始めようとしているオンラインRPGウィザード&ブレイド
最近はテレビのCMなどでもやっていて、かなり有名になってきていた

「まずはね、種族を決めて」
「ふんふん」

啓子に言われたとおりキャラクターを作成する、種族やクラスなどはまだ良く分からない自分は基本的なものを選んだ

「これでOKと、後はここを押してみて」

俊二はボタンを押すと、パソコンの画面にとても綺麗なグラフィックが現れ、自分のキャラクターがそこに立っていた
自分で思い通りに動くキャラクター、初めての経験だけに見ているだけでも面白い

「まずは色々と準備しないとね」

啓子が喋る通りに装備や戦い方などを教わる、啓子もまだ始めたばかりらしいが、俊二よりは知っている
一緒にやろうということで今日は俊二にキャラクターを作成させたのだ

「基本的な動きはこんなところね、チャットとかも大丈夫?」
「うん、まあ、遅いけど」
「遅いのは自然に早くなっていくよ、それじゃ私は家に戻って入るから待ってて、テリアっていうキャラクターだから」

啓子はそういうと、俊二の部屋から出て行く、俊二は言われたとおり啓子が来るのを待っていた



「シュン君!!」

言われたとおりテリアに話しかけられる、見た目からも回復魔法を使うキャラクターだと分かる

「それじゃあ、どこ行こうか?」
「どこでもいいよ、まだ右も左も分からないし」

まだ、始めたばかりのシュンにとってはどこに行っても良かった、とにかく色々な場所を見てみたかったのだ

「それじゃ、比較的簡単なダンジョンでレベル上げようか」
「分かった」

テリアの後についていくシュン、行き交う人々これが全部シュンと同じように誰かが操作しているのだ

「ここが、初心者用のダンジョンだけど、洞窟の奥は結構強い敵がでるから気をつけてね」
「うん」

二人は洞窟の中へと足を踏み入れる、中は薄暗く視界が通りにくい

「来たよ」

中からコウモリがシュンとテリアを狙って襲い掛かってきた

「てい!!」

シュンの攻撃はとにかく武器を振り回すだけだ、それでもコウモリ程度ならば倒す事はできる
しかし、本当にただ殴るだけなので少なからずコウモリからもダメージを受けてしまう

「ちゃんと動かないと敵の攻撃は避けれないよ」
「そんな事、言われても・・・」

剣を振り回すのが精一杯で避けることはできない
ダメージ自体は少ないものの少しずつ体力が少なくなってきた

「ヒーリング!!」

淡い光がシュンを包み込んで体力が回復する
元気になったらこっちのもので殴り合っても前衛のシュンが勝てる

「まあ、最初だしね、体力が少なくなったら、私が回復するよ」
「お願いします・・・」

しばらくシュンとテリアは洞窟の近くで戦いを続けていた
やはり何度もやっていると慣れてくるようで、コウモリくらいなら攻撃を避けれて無傷で倒せるようになってきた

「ちょっと、奥行ってみようよ」

シュンの口から出る言葉、入り口近くのコウモリ相手では物足りなくなってきたのだろう

「ん~、私もちょっときついよ?」
「見るだけなら大丈夫だって」

少し慣れてきたことによって、好奇心が一気に膨らんできた
先へ進むと今度はゾンビ達が襲ってくる

「ゾンビか、コウモリよりも動きは遅い!!」

だが、ゾンビはコウモリよりもずっとずっと硬くシュンの攻撃がほとんどダメージが当たらない

「うわ・・・、なんだこいつ」
「私の魔法で倒すから、下がって!!」

クレリック・メイジであるテリアが火の魔法でゾンビを燃やす
ゾンビはやはり火に弱いらしくバタバタと倒れていく

「戻りましょう、このままだと精神力が持たない」
「わ、分かった」

テリアの魔法で少しずつ後退していく

「あれはなんだ?」

シュンが見つけたでかいゾンビ、色も他のゾンビとは違う

「あれは、コープス、ここのボスだわ・・・なんで出口の近くに沸いてるのよ・・・」

ジロリとコープスの目がこちらを見た気がした

「やばい、気づかれた!!」

シュンとテリアは急いで逃げる、ゾンビもぞくぞくと集まってきて大変な事になってきている

「どうすればいい!?」
「どうすればといわれても・・・死ぬしかないかも」

敵の攻撃を突っ切っている為に徐々に体力は減っている、テリアの回復魔法があるのですぐには死にはしないが、それも時間の問題だった

「もう、精神力がのこってない!!」

万事休すと思ったとき、二つの影がシュンとテリアの前に現れ次々とゾンビを打ち払う

「こんなところに居たか」
「レジル、壁よろしく!!」

二人の装備は見た目からしてかなりの高レベルに見える、一人はハーフエルフ、もう一人は人間だった

「すご・・・」

一人でコープスとゾンビ相手に立ち回ることもさることながら、援護する人も的確なタイミングで援護する
物凄い勢いでコープスの体力を削っていく二人をただ眺める事しかできなかった

「これで終わり!!」

最後の一撃がコープスに突き刺さるとコープスの体は地面へと崩れ落ちていった

「ふぅ、大丈夫だった二人とも?」
「あ、だ、大丈夫です」

ハーフエルフの女性がシュンとテリアに話しかけてきた

「追われていたみたいだから、助けちゃったけど迷惑じゃあなかった?」
「いえ、助かりました」

シュンが言うと、ハーフエルフの女性がにこりと笑った

「ラミュカー、レアでたぞ」
「ほんと?わざわざここまで来た甲斐があったってことね」

人間の男、屈強の戦士という感じの男がラミュカと呼んだハーフエルフに喋る

「もしかして、ラミュカさんてスペルファイターのラミュカさんですか?」
「ええ、そうだけど」

それを聞いた途端テリアの目が輝いた

「こんなところで有名人に会えるなんてすごい!!」

目をうるうるさせながら喋るテリアだが、さっき始めたシュンにはどんなことなのかが良く分からない

「そんなに、有名・・・かなあ」
「スペルファイターをメインで使ってるのがお前くらいだからな」

ラミュカは少し困ったような顔で話しているが少し嬉しそうだった

「お二人は第一層が簡単になったから、下に来たのかしら?」
「はい・・・」

図星を付かれて素直に答えるしかなかったが、ラミュカはニコニコしながら聞いていた

「最初は大変だと思うけど、二人とも頑張ってね」
「は、はい!!」

ラミュカは二人に支援魔法をかけてレジルと共に去っていった

「いい人だなあ」
「そうね」

二人はしばらくボーッとしていた、その後、ゾンビに殺されたのは言うまでもなかった
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by meruchan0214 | 2007-02-06 14:18 | ウィザード&ブレイド

ウィザード&ブレイドの簡単な説明

ウィザード&ブレイド とは
*このMMOは勝手に考えた創作物です、実際にはこんなゲームは存在しません

ウィザード&ブレイドとはお話内で有名なMMORPGの一つである
一人一人のキャラクターにプレイヤーがおり、様々な仲間と遊べる
ゲームシステムはパーティーを組んで、ダンジョン探検やシナリオをクリアしていくものであるが
ミニゲームやコミュニティなど比較的自由度は高い

マルチクラスシステムと呼ばれるものを搭載しており、メインクラスの他にサブクラスというものがありこれにより、同じメインクラスでも多種多様のキャラクターが存在する

メインクラスには基本職業、中級職、上級職の三段階に分かれており、一定のレベル以上でないと上のクラスになる事ができない

メインクラスは一度決めたら変更する事はできないが、サブクラスは条件さえ満たせばいつでも変更できる
また、いくつかのサブクラスの条件を満たさないとつけない、中級職や上級職も存在する

戦闘はかなり軽快で一人でのコンボ攻撃や仲間でのコンボ攻撃が存在する
うまく戦えば低レベルでも格上の敵に勝つ事もできるが、非常に大変である
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by meruchan0214 | 2007-02-06 12:51 | ウィザード&ブレイド

ウィザード&ブレイド登場人物

「ウィザード&ブレイド」登場人物

宮島 俊二/シュン (みやじま しゅんじ) 16歳 ♂/♂
クラス:ファイター・ファイター

ウィザード&ブレイドをはじめたばかりの初心者、クラスは初心者向けのファイターでサブクラスもファイター
これが初めてのMMOで右も左も分からない、性格は素直の一言である
このゲームは幼馴染の女の子に誘われてやり始めた

緒川 啓子/テリア (おがわ けいこ) 16歳 ♀/♀
クラス:クレリック・メイジ

ウィザード&ブレイドで宮島俊二を誘った人間、クラスはメインがクレリックのサブはメイジ
まだまだやり始めであり、シュンとは大したレベル差はない、性格は明るいがちょっとオタク系である
実は結構なゲーマーでもある

????/ラミュカ (????) 20歳より上 ?/♀
クラス:スペルナイト(上級職)・クレリック

ウィザード&ブレイド内で有名なキャラクター、レベルはゲーム内でもトップクラスである
苦難の道が好きなのか、微妙なキャラクターばかり育てる傾向があり、メインのラミュカもゲーム内では一般的に弱いクラスと言われている職業を選んでいる
社会人で働いているらしいが、それを知る人は少ない上に男か女かも分からないが、ゲーム上では頼れるお姉さんである

佐田 優衣/レジル (さだ ゆい) 19歳 ♀/♂
クラス:ウェポンマスター(上級職)/シーフ

ラミュカと大体一緒に居る有名キャラクター、レベルもラミュカと同じくらい
前衛系が好きで作れるキャラクターは全て前衛系という変わった趣向をしている、重装備よりは軽装備を好む
俊二や啓子の近所に住んでいるが、二人は優衣=レジルとは知らない
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by meruchan0214 | 2007-02-06 12:41 | ウィザード&ブレイド