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小さな村の御伽話1

ここはフリトアネイス
我々の住む世界とは異なる世界

緑豊かなこの世界には様々な種族が存在する
人間、エルフ、ドワーフ・・・
我々が想像した種族たちがこの世界で暮らしていた
そう、天使や悪魔、竜までもが存在していた・・・



グラディア王国の山奥の名も無き小さな村
争いとは無縁なこの場所で物語は始まった

村は少数ながらも平和に暮らしていた
決して豪華とは言えないが、それでも村の者が幸せであった

「川にお水汲みに行ってきますね」

村に住む少女、アイナ・ヒュリス
気立てが良く、心優しい性格で村の皆から慕われていた

彼女はいつもの様に川へと水を汲みにやってきていた

「さて、お水汲み終わったら、掃除して・・・」

アイナが川に着くと、すぐに異変に気が付いた

「川が・・・、紅い!?」

いつもの澄んだ水色ではなく、真っ赤に染まった川
何事かと思ったアイナは川の上流へと向かう

「何か悪いことの前触れじゃないといいけれど」

アイナは上流へと歩く
しばらくすると、人影のようなものが川に倒れているのが見える

「人が倒れてる?」

慌てて近寄るアイナであるが、人影がはっきりと目に映ったとき彼女は自分の目を疑った

「魔族・・・」

そう、そこに倒れていたのは紛れも無く魔族であった
息はあるようだが見た感じかなり傷は深い
治療しなければ命にも関わりそうであった

アイナ自身、魔族を見るのは初めてだった
そもそも自分は空想上の生物とでもしか思っていなかった
けれど今その空想上の生物が自分の目の前に居るのだ

「う・・・」

苦しそうなうめきをあげる魔族
治療をするならば急がなければならない

アイナは迷った、魔族といえば邪悪であると聞いていた
しかし彼女には今目の前で倒れている者を見捨ててはおけない

「仕方がない・・・」

彼女は魔族を水の中から引き上げる
そして、森に生えている薬草をかき集めた

「私達が使っているものが効くかどうか分からないけど・・・」

傷口を洗い、薬草をすり潰して塗り、服を破き包帯代わりにする
民間療法ではあるが、今までずっと使ってきた生活の知恵である

「く・・・」

治療が終わると、息使いがさっきよりも落ち着いた

「大丈夫みたいね」

しばらくすると、魔族はゆっくりと目を開ける

「私は・・・助かったのか・・・?」
「目が覚めました?」

魔族は驚いた、傷ついた自分が眼を覚ますと人間がすぐ横に居るのだ

「すでにここまで追ってきていたか!!」
「わっわっ、手当てしてあげたのにそれはないでしょ!!」

構える魔族に対して慌てて手当てしたことを説明するアイナ
治療した後を見た魔族は構えた腕を下ろす

「何故、私を助けた」
「何故って、命を助けることに理由なんてものは必要なの?」

魔族には理解できなかった
自分はこの人間の世界を支配する為に地上へとやってきた
人間との争いを繰り返し、深手を負いここまで逃げて倒れた

今まで自分がやってきたことを考えれば、人間が自分を生かすことはしないはず
だが、現実に今目の前にいる人間は自分を助けたのだ

「私は既に何百とも言える人間を殺してきたのだぞ?」
「だからって、目の前で死に掛けてるのに見捨ててはおけないよ」

聞けば聞くほど理解不能だった
自分達の感性からすれば、おおよそ仲間を殺した種族など助けようとも思わない

「礼は言わんぞ・・・」
「別に礼を言われたくてやったわけじゃないし、命は一つしかないんだから大事にしないとね」

命は一つしかない、これを聞いたとき魔族は何かが心に響いた
そう、今まで死んだ仲間達や殺した人間達は生き返ることはもうない
これっぽっちも考えたことのない事であった

「とにかく、手当てしたのは応急手当だから、村でちゃんとした手当てするよ」
「お前を殺すかもしれないのにか?」
「そんなことするつもりは少なくとも今はないでしょ、とりあえず私は貴方を助けると決めたから助けるの、ちゃんと言うことを聞きなさい」

力も魔力も圧倒的に自分の方があるのは分かっている
ずっと殺してきた人間であると言うことも分かっている
だが、口では殺すかもとは言ったが、彼女を殺す気分にはならなかった
何故か素直にアイナの言葉に従ってしまう自分があった

「ま、村の人たちも少し驚くかもしれないけど」
「・・・少し驚くだけで済めばいいがな」

自分が行けば多分今までと同じように恐れられるのだろう
それを望んできたしこれからもそうするつもりだった

「それじゃ、行きましょうか」

自分で何を考えているのか分からない
だが、少し自分の中で変化があるのだけは感じた
魔族は今はただアイナの言葉に付き従っていた
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by meruchan0214 | 2006-07-31 22:54 | 架空世界[フリトアネイス]

29夜 真剣

地下へと続く階段
瘴気がだんだんと濃くなっていく

息苦しい、居るという存在だけでここまで辛いモノなのか

「大丈夫か、二人とも?」

隆泰が真と千夏に声をかける

「大丈夫です」
「これくらい平気ですよ」

今まで出会ったことのないほどの強さ
圧倒的な威圧感、本当は居るだけでも辛かった

「無理はするなよ」

隆泰は二人の心配をしながら先へと進む

そして、最下層に三人は到達した
そこは地上とはかけ離れた場所

異界と呼ぶに相応しい世界であった

「いつの間にこんなものを」

現代においてありえない造形、禍々しい妖気
この世のものではない何かがそこにはあった

「デュアラウズ、出て来い!!」

隆泰が叫ぶ、ここには瘴気の元が存在していた
真にもその存在をはっきりと感じ取ることができた

「グハハハハハ、相変わらずのようだな」

暗闇から現れる一つの妖
その姿は巨大にして邪悪であり、悪魔と言って過言ではなかった

「あいつのお陰で再生するのい手間取ったわ、だが、そのお陰で我は新しい力を手に入れたがな」
「デュアラウズ、まさか・・・」

デュアラウズは邪悪な笑みを浮かべる

「そうだ、あいつの力はこの我が取り込んだ」

隆泰の顔がみるみるうちに怒りに変わっていくのが分かる

「店長、あいつってまさか・・・」

真も誰のことが察したようであった

「お前の尊敬する茂の力は我が頂いた」

真はショックを隠せなかった
父親の力を取り込んだ妖、それが信じられなかった

「くくく、お前は息子らしいな、分かるぞ全て分かるぞ!!」
「こいつ・・・!!」

自分の体が熱くなっていくのを感じた
怒りが自分を支配していくのがはっきりと分かった

「真!!抑えろ!!」

隆泰の怒声が真を止める
隆泰も怒ってはいる、怒ってはいるが真とは何かが違った

「怒っても自分を見失わないか・・・、お前も腕を上げたようだな」
「ああ、お前だけじゃないさ・・・強くなったのは・・・!!」

戦いの前兆とも言うべきなのであろうか
空気がざわついている

少しでも動けばこの戦いが始まるであろう
今、まさに全てをかけた一戦が始まろうとしている・・・
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by meruchan0214 | 2006-07-30 22:40 | LittleGarden

自分

信じていた あの頃に

全てができると信じていた

自分達は特別だと思っていた

だけど 自分達は 普通の人間だった

何も変わらない ただの人だった

何が特別なのだろう

どれが特別だったのだろう

あの時 全てができると信じていた

自分にできないことは無いと思っていた

だけど 自分は何も出来ない

無力で弱い人間だった

月日が流れ 現実が全てを壊した

夢は壊れ 崩れ去った

でも たった一つ 残っていたモノ

あきらめない 絶対にあきらめない

必ず掴もうと決めたから

自分は弱い それは変わらない

でも 求めるものは 見失わない

だって それが自分の夢見た世界だから

いつか 掴んでやる

どんなに弱い自分でも 諦めない心があるから

弱ければ強くなればいい

思うだけではなく 行動すればいい

だから 諦めない また 信じよう

きっと きっと 特別な自分になれるから

全ては自分 己の力だから
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by meruchan0214 | 2006-07-29 22:56 |

28夜 強襲

Guardian'sとの協力体制をとった真達はディアラウズの居る廃墟までやってきた

「まさかまたアイツと戦うことになるとはな・・・」
「妖だからね、いつかは復活する運命だったのかもしれないよ」

隆泰にとっては憎むべき敵
そして、真にとっては父親がやった最後の仕事である

「父さんがやったこと・・・僕にも出来るかな・・・」
「真君なら大丈夫だって、私達も一緒だし」

千夏に言われるとなんだか本当にそんな気がしてくる
彼女の雰囲気と言うのだろうか、微かに千夏から漂ってくる良い匂いが真の鼻をくすぐった

「私達が他の妖達を抑えますので、貴方達はデュアラウズをやってください」

菊子から説明を受ける

「よろしく頼みますよ」

こうしてデュアラウズを討伐する為の作戦が開始されようとしていた

「父さん、僕も父さんみたいに強くなるから・・・」

形見でもある剣に向かって言葉をかける真
自分の心にそう言い聞かせている、自分は父親のように強くなりたいと

「時間だ、始めるぞ」

隆泰の声を皮切りに皆が一斉に行動を始める

「隆泰、ちゃんと帰ってきてよ」
「分かってるよ」

隆泰は恵に不安にさせないようにしているのは誰もがわかった
だが、恵にとってはあの時の事が頭に焼き付いて離れていなかった

「あいつのやり方は分かってる、心配するな」

隆泰はそれだけ言い廃墟へと入っていく

「僕達が必ず店長を守りますよ」

真は恵に一声かけ、隆泰の後を追った

廃墟まではGuardian'sのメンバーが足止めしているお陰かあっさりと侵入できた

「さて、ここからは別行動ね」

廃墟まで一緒にきたのはGuardian'sではメルとダリアのみだった
この中には外に居る時よりも数段強い妖の力を感じる

「本当に二人で大丈夫なのですか?」

真が心配そうに尋ねる

「二人だから大丈夫ってのものあるけど」
「そうそう、ま、大船に乗った気でいなさい」

自信満々に言う彼女達、何故か本当に大船に乗ったような気分にさせてくれる

「それよりも、負けたら承知しないからね」

厳しい念を込められるが、何とも気合の入る一言でもあった

「うし、じゃあまた後で」
「うん、またね」

メルとダリアは二人で散り散りに散っていった
そして真達はいよいよデュアラウズの元へと向かい始める

「いくら彼女達でも全部の敵を引きつけることはできないから、覚悟しておけよ」
「大丈夫ですよ、その為に今までやってきたんですから」
「うん、私も真君も問題ないよ」

真達はデュアラウズの待つ地下へと足を踏み入れていった
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by meruchan0214 | 2006-07-28 22:30 | LittleGarden

ルールや更新など

この世界は私が皆で一つの世界を創造できたらと思って考えてみた模索的世界です
私一人でもやっていきますが、もしも、この世界を題材にしたいと言う方がいらっしゃいましたら
どんどん使ってくださいまし、基本的にファンタジーであること以外は何もないので
自分の作りたいものが作れます

更に他の方々が書かれた作品を題材にしそれを発展し繋げていくというのが
これの最終目標ですが、一人でも何とか頑張ります(´ω`)

私が作った国や街にこういったものがあるとか、ないとか一切私は言いません
矛盾しなければどんなことも許される世界なのです

もし、この世界でこういうの作るよ~とか言ってくださる方がいらっしゃいましたら
一声かけていただければこちらからもリンクさせて頂きます

とりあえず模索的なものなので一人で開始です
上手く出来るかどうかもわかりませんが・・・
この世界をつかって作る場合にはタグに「フリトアネイス」と言うものをつけます

まったり更新ですがよろしくお願いしたします(´ω`)
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by meruchan0214 | 2006-07-28 21:56 | 架空世界[フリトアネイス]

架空世界[フリトアネイス] について

これは私が用意した一つの世界です
といってもはっきりとした世界観は存在しません

これを形をつけていくのはこの世界を題材にし
小説を書いていく事で肉付けをしていくということです
なので、完全な矛盾が発生しない限りは特にこれと言った原則はありません

ただし、いくつかの基本的なルールは用意してみました

基本的にファンタジーであること
文明程度は中世から現代まで問わないが、必要以上の他の文明には干渉しない
魔法が存在する世界なので、その辺を考える
死者蘇生は世界全体で禁じ手とされています(存在はします)

こんな感じかな・・・
後は空間移動とかですが、この辺は適当に・・・
これは私が描くときのルールであって
現実にこの世界で生活している人間達がこの様な事を考えているわけではないです

世界を用意してこれに肉付けしていく創造というものですが
これを一つの拠点として広がっていったらなあと言うのもちょっと考えてたり
リトルガーデンが終わったらこれについてやっていきたいと思います
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by meruchan0214 | 2006-07-28 21:46 | 架空世界[フリトアネイス]

短編小説についての独り言

大分溜まってきた短編小説ですが
最初に書いた夢の続きに比べると随分長くなりました

特に意識はしないでいるとどうも長くなる傾向にあるらしいです・・・
その話ではまとまらないので次に持ち越しという部分が大半ですが
今少し読み返してみたら、結構誤字とかあって反省・・・

気が付き次第、直していきます
「護犬」とか終わりが打ち切り漫画ぽくなっちゃってる気がしないでもないです
私自身が上手くまとめてあると思うのが「ひと時の幸せ」かな・・・

最初考えた時とは大分違っていますが、上手くまとめれたとは思います
「愛故に」は世界観がよく分からないと思いますが
ようは現代に魔法が足されているモノと考えてくだされば大体あっています
最初は完全現代で行く予定でしたが、ちょっと予定変更でこうなりました
でも、変えなくてそのままの方が良かったかもしれないと今更ながらちょっと後悔

「夢の続き」はかなり簡略化して一話でまとめてありますが、
まとめ方としては私的にはまあまあの部類かな
分かりやすくまとめたと思います

赤い夕日は考えるのが好きな戦争物
ヒロインは最初から死ぬ予定でした
ファンタジー版とかもあるのですが、二番煎じになるだけなので書くことはないでしょう

あの日の思い出はタイトルと内容があまりあってないかも?だけど
主人公があの日の思い出をきっかけに運命が変わっていくというお話です
カースアイズはここの小説を全部読んでくださった方は分かると思います
何回も出てくるあの人なのですが、今回は主人公の呼び方でずっと通してあります

近いうちに彼女のお話を書こうかなと思っていますが
まず、リトルガーデンを終わらせないといけませんね・・・

彼女については私が高校時代からのずっとずっと暖め続けているキャラクターなので
お話の量は多分小説に書ききれるか謎なくらい溜まってます
それに伴いちょっとした計画を考え中なのでお楽しみに?していてください

それでは今回はこの辺で終わりにさせていただきます
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by meruchan0214 | 2006-07-28 01:53 | 独り言

あの日の思い出 7

グラディアでの事はあっという間だった
カースアイズやその娘達との語り合い
私達と全く変わらない夢や希望に満ちていた

「何とかしてやめさせないとね」
「そうだね」

私達はグラディアの国を後にし、フェイルト王国へと戻った

王国に戻った私達はグラディアがどういう国か姉さん達に分かってもらうべく
記録石に記録した全てを見てもらうことにした

「魔族全部が悪いわけじゃないんだよ、姉さん」

姉さんの顔は信じたくなさそうな顔をしている
多分、私もあの時の出来事がなく、カースアイズと再会していなければ
姉さんと同じような反応をしただろう

「こんなの嘘よ!!」
「嘘じゃないよ、私達がちゃんとこの目で確かめたんだから!!」

私達の村を滅ぼした魔族、グラディアで平和そうに暮らす魔族
どちらも本当のことだ、私も村を滅ぼした魔族は許すつもりはない
だけれども、少なくともグラディアの魔族達は違うと私は信じていた

「だからね、姉さんもグラディアの事考えて」
「・・・少し時間を頂戴」

姉さんは部屋から出て行く、少なくとも効果はあったとは思う
グラディアとの戦闘はこれ以上は無意味だと、国全体に広める為には姉さんの協力も必要なのだ

「ラスフィーナさんも分かってくれますよ」
「そうだね、ヴェルダ」

そして数日後、私達は国王へグラディアの現状を伝えるべく城へと向かった

「おお、エルターナとヴェルダか今回の件はご苦労であった」
「いえ、それで王様提出した記録石の件ですが・・・」
「うむ、少し信じがたいがお主達が嘘をついているとは思えん」

やはりグラディアを記録石で完全に記録してきたのは正解であった
元々この国の王は温和な方、魔族が倒すべき敵ではないと分かればきっと戦争をやめてくれる

「だがしかし、国境付近の村を襲って略奪しているのも事実・・・」
「それはグラディアとは関係ないと再三申し上げているはずです!!」

私は声を大にあげて王様にほえてしまう

「じゃが、確証が無いいじょう、裏でやっているともいいきれんじゃろ」
「確かに・・・そうですが・・・」
「ワシも必要の無い争いはしとうない、無関係だと証明できたのならばすぐにでもやめよう」

証明するには私達には難しいことであった
そう、現在魔族が暮らしているとはっきりしているのはグラディアしか存在しない
それに魔族がグラディア方面からやってきているというのは事実
私達にはかなり不利な状況であった

「私が証明しますよ」

不意に後ろから聞き覚えのある声
私達が後ろを振り向くとそこにはカースアイズの姿があった

「カースアイズ・・・、どうしてここに?」
「ある人に頼まれてね、よくたったの数日でグラディアまできたと思うよ」
「お主があのカースアイズか・・・」
「お初にお目にかかります、フェイルト王国国王」

カースアイズは丁寧にお辞儀をする

「話は元に戻しますが、私達の国の魔族は決して無抵抗な人たちを殺せる者達ではないです」
「それはエルターナから聞いておる」
「ですので、エルターナの居た村を襲った魔族は私が責任を持って捕まえました」

するとカースアイズは呪文を詠唱する

フワ・・・

一個の球体の中に、幾人もの魔族が入っている
カースアイズにも似たような雰囲気はあるものの
こいつらは発するオーラ全てが邪気に満ちていたのが分かる

「この者達の処罰はあなた方に一任します」

カースアイズがトンッと軽く球体を押すと地面をすべるように球体が移動する

「本当にこいつらが私達の・・・?」
「ええ、体に聞いたから間違いないわ」

この魔族に対して怒りがふつふつと湧き上がってくるのが感じる

「ふむ、それが本当であればエルターナやお主の言うことは正しいと言うことになるな」
「今回ここに来たのは、グラディアの女王の命により代表として王と謁見することにあります」
「どういうことなんですか?」
「和平を結びたいということです、書状もこちらにお持ちしてあります」

カースアイズは王の側近に書状を渡し、王がそれに目を通す

「ふむ・・・、確かに直筆の書状らしいの」
「グラディアの魔族達は人間達と共存を望んでいます、しかしそれを快く思っていない魔族も居るのも確かです」

カースアイズは言葉を続ける

「ですが、私達はそれを最小限に抑えたい、だけど私達を認知してくれているところは少ないのが現状です」
「おぬしの言いたい事はよく分かった」
「エルターナのような事を繰り返さない為にも他の国々の協力が必要なのです、どうかお願いします」

カースアイズが深々と頭を下げる
それだけ真剣だということである表れであろう

「・・・近々、グラディアへこちらから向かうと女王に伝えておいてくだされ」

それはグラディアとの和平を結ぶと遠まわしにいった言葉であった

「ありがとうございます!!」

再び王に向かって頭を下げるカースアイズ
そして、私に向かってそっと話しかけてきた

「お姉さんに感謝しなさい、あの人がグラディアに来なければまだ戦争は続いてたのよ」
「姉さんが?」
「では、私は女王に伝えてきますのでこれで失礼します」

カースアイズは礼儀良く王室から出て行く

「さて、エルターナよ」
「はい」
「お主達の言うことは確かであった、グラディアの事は安心するがよい」
「はい!!」

私は嬉しかった、これであの人と戦う必要がなくなる
それだけで嬉しかった

「後、この魔族達の処罰はどうする、死刑は免れぬが」
「・・・私にやらせてください」

一種のけじめであった
正直、この球体に閉じ込められている魔族達は憎くてしょうがない
でも私は知ってしまった魔族全てが憎むべき存在ではないと
だけれど、家族を殺した者達だけは私の手でやりたかった
憎しみの刃はこれだけにしようと心に誓いながら私は彼らを処刑した



数ヵ月後・・・

フェイルト王国とグラディア王国は無事に和平を結ぶことができた
フェイルト王国は始めは反対していたものが大多数だったが
グラディアの魔族や王の働きもあって少しずつ受け入れられつつあった

「まさか姉さんがグラディア王国まで直訴しに行っていたとは思わなかったよ」
「別に私は貴方がそこまでいうから、信じてあげたくなっただけよ」
「ほんと、感謝してますよ姉さん」

私達はグラディアの人達と一緒に国境の警備をしている
もちろん魔族も一緒だ

「エルターナさん、サンゲル村の方に山賊が現れたそうです」
「OK,みんなよろしくね」

私達の共存への道は始まったばかりなのだ
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by meruchan0214 | 2006-07-26 21:24 | 短編小説

27夜 勝機

ダリアと戦いは圧倒的に真たちの不利であった

ガキィィィィン

隆泰が何とか攻撃を防いでいるものの
こちらからの攻撃はほとんどできないに等しい

「ほらほら、どうしたの!?」

猛攻を続けるダリア、防戦一方の真達

「このままじゃ・・・」
「3対1だと思ってたら、ほんとに辛いよね・・・」

正直に言って、真はリトルガーデンの全員でかかっても勝てるか分からなかった
ましてや、相手は本気を出してはいないだろうと思われる

「とにかく、やるしかないんだよな・・・」

真は剣を握りダリアへと向かう

「ダアアアァァァ!!」

ガキィィィィン!!

やはり障壁によってすれすれのところで攻撃を阻まれる

「今のは少し惜しかったね」

ダリアは真に微笑みを浮かべ、手をかざす

ゴワァ!!

物凄い突風が真の体を突き飛ばした

「ウワァァァァ!!」
「危ない、真君!!」

ガシィ!!

千夏が壁になってくれたお陰で壁への激突は免れる

「こっちの攻撃が一切効かないなんて、反則よね・・・」
「いや、そうでもないかもしれない」

真はさっきの攻撃を仕掛けた時、いつもよりも障壁の出が遅いことに気付いた
ダリアの障壁も完璧ではない、打ち破る方法はあるのだ

「千夏さん、少しだけでいいのであの子の注意を引いてもらえます?」
「ん、何か考えがあるのね?」
「はい」

真と千夏は両端に別れ、駆け始める

「二人とも、どうしようというのかしら?」
「余所見は危険だぞ、ダリア!!」

隆泰の槍はダリアの体スレスレを掠めた

「やっぱり狙いどころが分かってるね、流石だよ」
「ち、これも避けるのか・・・」

一瞬の隆泰の攻撃を見て、自分の考えが間違っていないことを確信する
ダリアは全方位に出しているのではなく、攻撃が来る場所に障壁を展開しているのだ
一歩間違えれば危険であるが、防げば相手の懐はがら空きである
天性の才能とも言うべきなのであろうか

「これでも、喰らいなさい!!」

千夏の二丁拳銃がダリアを襲う
それと同時に真もダリアに飛びかかる

「バレバレだよ、貴方もね」

ダリアは障壁で千夏の弾丸を防ぎ
手をかざし真を迎撃しようとする

フッ

突然、目の前の真が消える

「えっ!?」
「こっちです!!」

ダリアの下の死角から近づいてきていた

ブン!!

ズバッ!!

手ごたえはあったが、それほど深くはなさそうだ

「つぅ・・・、思ったよりもやるじゃない・・・」

完全に隙を捉えたと思っていたが、ダリアのケガは腕から多少血を流している程度だった

「咄嗟に地面に風を叩きつけて避けたのか・・・」

攻撃手段を防御に変える一瞬の判断は凄いものであった
だが、決して攻撃が全く効かないなんてことはない
少しではあるが勝機が見えた気がした

「本気を出さないとあなた達には勝てなさそうね・・・」

ダリアの雰囲気が一瞬で変わる
今まで抑えられていた魔力が辺りに噴出しているかのように充満していく

「こっからが本番かもな・・・」
「かもなって、店長・・・」

激しい魔力の波動が辺りに満ちている
あまりにも凄まじい魔力でダリアの体が宙に浮いていた

「さあ、本気でいくよ・・・!!」

来る!!
三人がそう思った瞬間

「ダリア、もうやめなさい!!」

スピーカーから菊子の声がする
その声を聞いてか、ダリアからの魔力が一気に消え去る

「貴方達の力は十分見させていただきました、それだけあれば十分です」

スピーカーから終了を告げる声
お互いに必要以上のケガをさせない為もあるのだろう

「ちぇ、久しぶりに本気で戦えると思ったのにな」

真は戦いたくないと心の中で強く思った
あれほどの魔力のうねりは今まで仕事をしてきていても見たことがなかった
リトルガーデンの中で一番魔力の高い夕子ですら、見た目で見えるほどの魔力はないのだ

「まあ、本気でやられたら俺達の負けだったけどな」

隆泰が真にぼそっと言った

「ま、元々私の攻撃をある程度耐えればOKだったんだけどね、まさか攻撃受けるとは思わなかったよ」

褒めているのか、皮肉なのかよく分からないが多分褒めているのだろう

「とりあえず、今回の仕事はよろしくね」
「あ、よろしくお願いします」

それだけ言うと、ダリアは外に出て行ってしまう
そして、再びスピーカーから菊子の声が聞こえてきた

「それでは改めて仕事のお話をいたしましょう、ご案内させます」

こうしてやっと、真達は完全にGuardian'sの協力を得ることができたのだ
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by meruchan0214 | 2006-07-25 23:30 | LittleGarden

外伝3夜 失敗

「全然駄目だあ・・・」

初仕事が散々な結果に終わったことだった

「うん、私達まだまだだよね・・・」

才能があると浮かれていたのかもしれない
しかし、実戦はそうは甘くはなかった

「店長とかいなかったら、どうしようもなかったよな」
「そうだね・・・」

お互いがお互いに声を掛け合うがその言葉に元気はない

「二人ともお疲れ様」

美也子が二人に話しかけてくる

「どうでした、初めてのお仕事は?」
「店長がいたから事なきをえたけど、いなかったらどうなってたことか・・・」

美也子がそれを聞くとフフフと笑う

「初めてでそんなに上手くいく人なんていませんよ、茂さんも私も最初はそうだったのよ」
「店長にもそんなことがあったんですか?」
「ええ、茂さんに聞いたけど、あなた達の方が昔の私達に比べてずっと上だったそうよ」

確かに最初は誰もが上手くいかないかもしれない
慰めてくれている美也子の言葉はとても優しかった

「とにかく、今日は私がケーキ焼いておいたから、食べていきなさい」
「あ、ありがとうございます」

二人は美也子の心遣いがとても嬉しかった
今回の失敗も次へと繋がることへと考えれば少し気が晴れてきた

「今度は上手くやろうね」
「ああ、だけど恵には負けないからな」
「それはこっちのセリフよ」

そんな姿を美也子は微笑みを浮かべながら眺めていた

「頑張りなさい、二人ともいつか私達を凌ぐほどに」

美也子は聞こえないような声で二人を応援した
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by meruchan0214 | 2006-07-24 19:50 | リトルガーデン外伝