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1輪 襲撃の報

カン!!カン!!

ここはグラディア王国の騎士団の詰所
騎士団達による訓練が行われていた

カキィィィィン!!

二人の内一人の模擬刀が宙を舞い、地面に転がる

「腕を上げたな、アーツ」
「へへ、まあね」

グラディア王国近衛騎士団の一人アーツ
父親が近衛騎士団の団長と言うこともあり、将来は有望視されていた
その実力は若いながらも、実績を上げていた

「流石団長の息子だけあるよな」
「父上に負けないようにしないといけないから」

一通り訓練が終わるとアーツは自分の屋敷へと戻る

「アーツ!!」

前の方からアーツを呼ぶ若い女性の声

「マヤ、どうしたんだい?」
「そろそろ訓練が終わる頃だと思って」

二人は親が決めた婚約者同士でもあった、
幼馴染であったアーツとマヤはお互いに惹かれおり、お似合いのカップルである

「はい、これ差し入れです」
「いつもいつも悪いね」

アーツとマヤの二人は一緒に歩く
このグラディアの街はとても大きく人で賑わっていた

「何時来ても大通りは人が多いな」
「そうですね」

活気のある街並み、行き交う人々全てに生気と言うものが宿っている

「こういうときが続くといいよな」
「ええ、ずっとこの時が続けばいいと思います」

だが、平穏なときはいつも突如として崩れ去るものである

「近隣の村に魔族が出没したようです!!」
「なんだって!?」

平和な国に突如として現れた魔族
グラディア王国は早急に騎士団を現地へと向かわせる

「アーツ、無理はしないでね」
「分かってるさ、マヤこそ危険だと思ったらすぐ逃げるんだ」

神官として高い能力を持つマヤも今回の遠征へと一緒に行く

そして、魔族が現れたと言う村に着いた

「これは、酷い・・・」

村には既に魔族の姿はなく、荒れ果てていた
抵抗した様子があり、いくつかの魔族の死体も転がっている

「生存者は・・・、生存者はいないのか?」

騎士団は生存者と魔族の捜索を開始した
1時間ほど探索するが魔族の気配や生存者は誰一人として見当たらなかった

「皆殺し・・・、でしょうか・・・」
「そうかもしれない・・・、そうだとしたら・・・酷すぎる!!」

やり場の無い怒りがこみ上げてくる
罪も無い人々を簡単に殺せる者がいると思うと許せなくなる

「こっちに隠し通路があります!!」

一人の団員が叫んだ言葉
もしかしたら、生き残った人々がいるかもしれない
そんな希望を芽生えさせる一言であった

「直ちに、この通路を捜索だ!!」

団長の指示に従って隠し通路を歩き始める
途中には魔族の死体がいくつも転がっているが、村人の姿はない

「どこに繋がっているんでしょうか?」
「さあ・・・、ただまるでこういうことを予測していたみたいだな」

ある程度まで進むと広い広間にでる
扉があったみたいだが、それは壊されボロボロになっていた

「うわ・・・」

そこには今までの通路にあった死体より遥かに多い量の魔族の死体があった
村人が抵抗した後か、あるいはここで他の援軍が着たのか分からない
だが、おびただしい魔族の死体が転がっているのだ

「人はいない・・・よな・・?」

死体の中を捜索するが人らしき存在は発見できない
一通り捜索した後は再び通路を進む

「ここは?」

村から大分離れた森の中、グラディアにかなり近い場所だった

「生き残った人たちはもしかしたらグラディアに?」
「そうかもしれませんね」
「一旦戻るしかないか・・・」

色々と不思議なことはあるが、今は生存者の確認をするのが先決であった

攻め込んできた魔族、平穏なときはいま崩れ去ろうとしていた
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by meruchan0214 | 2006-08-31 21:10 | 架空世界[フリトアネイス]

機兵の性能(アースライン)

アースライン

ムゲン 13m 人型
武装:巨大刀 大型銃 手榴弾

アースラインの初期型の主力機兵、機兵と同じくらいはあろうかという巨大な刀を持つ
なぜか銃は古典的な火縄銃の形をしているが、性能は最新式である
傘のようなものをかぶっており、センサーの役目と同時にシールドとしても機能する

イメージ:黒色の人型で、機械の侍をイメージさせる

テンブ 14m 人型
武装:巨大刀 大型拳銃

アースラインの新型の主力機兵、でかい刀を持つのはムゲンと変わらない
火縄銃の変わりに拳銃に代わっており小型化されている
ムゲンよりでかくなっているが、ブースターの増加などにより機動性は上がっている

イメージ:黒色の人型で、侍みたいだがどこかガンマンを彷彿させる
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by meruchan0214 | 2006-08-30 23:07 | 守護機兵 ハイシェント機兵設定

機兵性能(ヴェルゼ所属)

ヴェルゼ所属の機兵

バルディオン 13m 人型
武装:ライフル付ソード キャノン砲

ヴェルゼの一般機兵で隊長機はそれぞれカスタマイズされており、性能が向上している
汎用性が高く、性能も他の国に比べると高い為、常に戦場の優位を保っていた機兵
装甲も厚く信頼性が高い為パイロットの支持は高い

イメージ:黄色い人型で尖った頭部が特徴である、キャノン砲は背中についている

グラルディ 11m 人型
武装:ライフル付ソード キャノン砲 レールガン

バルディオンの発展系で性能も飛躍的に向上している
最初の試作機はラユが搭乗したもののそのままウロボロスへと寝返ってしまった
また、様々な換装により色々なタイプの装備も可能である

イメージ:青い人型で、重厚なイメージの装甲と肩のレールガンが印象的である

アルオルス 9m 人型
武装:ハイパーサーベル プラズマカノン レールガン

ヴェルゼの開発した超高機動型の機兵でその出力はハイシェントをも上回る
反面、防御力はさほど高くはなく、高い技量を必要とする
乗り手次第ではハイシェントに匹敵するほどの性能を持つ

イメージ:真紅の人型機兵、スタイリッシュなボディと重火器を併せ持つ
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by meruchan0214 | 2006-08-30 23:03 | 守護機兵 ハイシェント機兵設定

機兵の性能(ウロボロス所属)

ウロボロス所属 

パンツァード  12m 人型
武装:大型サーベル カノン ミサイルポッド 

換装により様々な場所で活動できる機兵で性能的可もなく不可もなくといったところ
扱いやすく生存機能の充実の為に死亡率はかなり低い
ウロボロスの一般的な量産機兵である

イメージ:緑色の人型、丸い頭部、肩のカノンと脇のミサイルポッドが特徴

ハイシェント 6m 竜型
武装:ソードカッター プラズマカノン2門 伝導線ミサイル 電磁シールド

小型ながらも科学の粋を集めて作られた機兵
その性能は文句のつけようがないくらい完成されており、非常に高い戦闘能力をもつ
だが、扱いは難しく、素質と訓練が必要である

イメージ:漆黒の竜型、何も武器をもってないようにみえる、金色に光る目がある

エルブラスト 7m 獣型
武装:クロウ スティング プラズマカノン四門 電磁シールド

ハイシェント兄弟機でハイシェントに近い性能を持つ
同じく扱いが難しく獣型で四足という独特のフォルムをもつ
ハイシェントより接近戦に特化されており、クロウの一撃は戦艦の装甲も軽く突き破る

イメージ:神話のキマイラに酷似、鋭い牙と爪が特徴である

グラルディ(ラユ専用機) 11m 人型
武装:ライフル付ソード キャノン砲 レールガン スナイパーライフル

ヴェルゼのグラルディをラユがウロボロスでカスタマイズしたもの
外見こそあまり変わってはいないものの、様々なチューンにより性能は飛躍的向上している
白兵戦武器とは別に大型のスナイパーライフルを持っており射撃戦を得意とする

イメージ:桃色の人型で、重厚なイメージの装甲と肩のレールガン、ライフルが印象的である
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by meruchan0214 | 2006-08-30 22:49 | 守護機兵 ハイシェント機兵設定

機兵の始まりについて

機兵の始まり

機兵とは未来の汎用重機械です
作業運搬用から戦闘用まで様々ですが
最近では機兵と呼ばれるものはほぼ戦闘用をさします

汎用性に優れ、機動力も高いのでほぼ全ての戦争に使われて居ます
また、装甲も厚く、生存確率も高い為パイロット評価は高いです

エネルギー

主なエネルギーはアルステロイトと呼ばれる、宇宙で発見された物質を使用しており
これによって、全てのエネルギー供給は飛躍的に上昇しました

武器など

武装などについては、実弾系が主になりますが
一部ではプラズマ、超振動、超高熱など特殊なものが使われています

ウロボロスのシールドの機能ですがこれは強力な電気と重力をウロボロス周辺に展開することにより、遠距離系武器をシャットダウンすることができます
ですが、機兵自身を止めるほどの出力はないので近接戦ではやられてしまいます
ちなみに他の戦艦が何故これを持っていないかというと
出力の問題で大型戦艦がこれほぼ全てにエネルギーを使わないとシールドの展開を維持できないからです
ウロボロスは普通の戦艦の何十倍とも言える出力が可能にしているのです

ハイシェントは小型ながらもウロボロスのシールドと同じモノをもっていますが、
その小ささ故に全方位はカバーしきれません
ハイシェントの兄弟機についても同様です

外見

機兵の外見は主に人型をしています
ほとんどのバリエーションは人型に何かを取ってつけたような感じですが
一部の機兵は人型でないものも存在しています

戦力分布

人が宇宙に出てからかなりの年数が過ぎています
宇宙には人が住むアルカディアと呼ばれる、居住区があり宇宙で暮らす人々はそこで暮らしています。
このアルカディアは宇宙空間に存在していたり、月などの空気が存在しない場所の表面に存在しています

ヴェルゼ

火星を拠点とする国で機兵の開発を真っ先に行っていたアルカディア
その技術は他よりも一歩先を進んでおり、戦争を仕掛けても常に優位を保っている

アースライン

地球で活動する国の連合体、ヴェルゼの侵略に対応するかのように機兵の開発をしている
宇宙に住む者は全て元である地球のモノと考えている人間も多く、宇宙に住む人々を見下す人間もいる

ウロボロス

宇宙を放浪する戦艦に搭乗する人々、最初に機兵を発明した人物がいると噂され技術力はかなり高いとされているがその真偽は一切不明、戦艦を護るためだけに機兵を生産している
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by meruchan0214 | 2006-08-30 22:09 | 守護機兵 ハイシェント機兵設定

最初に

知り合いから、世界観が分かりづらいとの指摘を受けたので
分かりやすいようにデータなどをここに纏めておきます

これからのお話はこれらを既に把握していると言うことを前提に書いていきますので
ご了承の程をお願いいたします

また、矛盾はできるだけないようにしてはおりますが、
万が一、矛盾が発生していたら指摘してくださると助かります

基本的に未来科学でわりと何でもありなので
その点をふまえていただくと幸いです
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by meruchan0214 | 2006-08-30 21:33 | 守護機兵 ハイシェント機兵設定

外伝10夜 時は過ぎて

※リトルガーデンの「過去の出来事1~3」が9と10の間にあります

あれから、時が過ぎ紅葉も店長もいなくなってしまった

「俺が店長って、どうすればいいんだ・・・」
「隆泰のやりたいようにするしかないんじゃ?」
「そんなことも言われてもさ」

店長の仕事が分からないわけではない
傍でずっと見ていたから、どうすればいいかは分かる
ただ急に店長と言われて、頭が混乱しているのだ

ピンポーン

店の開店前になるチャイムの音

「隆康君、恵ちゃん、居るかしら?」

やってきたのは美也子さんであった
なにやらいっぱい書類を抱えてやってきた

「はい、これあの人の使ってたもの」
「これ、全部ですか?」
「そうよ」

物凄く多いというわけではない、だがその一枚一枚にはレシピや店のことなど細かくメモがしてある

「貴方たちもこれどおりやるだけじゃなくて、これの発展させていかないとね」
「ありがとうございます、美也子さんはもうやらないんですか・・・?」
「ええ、子供のこともあるしね、お金はもう嫌というほど溜まってるし」
「それもそうかもしれませんね」

隆泰ですら既に何億と言う金額の貯金がある
店長と美也子の二人のお金は合わせたらかなりの金額になるだろう

「後は貴方達の時代なんだから、頑張ってね」
「すいません、美也子さん・・・」

隆泰は美也子に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになる
店長を殺してしまったのは自分の責任だと感じている

「いいのよ、それよりも頑張ってね」
「はいっ!!」

美也子はそれだけ言うと帰ってしまった
後に残ったのは隆泰と恵の二人

「とりあえず、やるだけやってみるか!!」
「そうだよ、私も手伝うからさ」

隆泰と恵は自分達のできることをやるしかない
二人を信じてくれた、店長や美也子の為にもやるしかない

「まずは新しい人員の確保からだな」
「うん、そうだね」

二人の店作りはまだ始まったばかり
リトルガーデンのお話はまだまだ続くのである
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by meruchan0214 | 2006-08-30 21:29 | リトルガーデン外伝

二人が出会ったとき4

千尋と千里が出会って、仕事を始めた
それはもう既に終わりのときが近づきつつあった

「まあ、こんなものかなあ・・・」

千尋はまとめられた資料に目を通して、独り言を呟く
千尋が仕入れた情報を千里がまとめ書類にする

「何か、あっという間だったよなあ」

手に持った資料をトントンと一つにまとめる
たった一週間とはいえ、千里と一緒に仕事したことは凄く楽しく新鮮だった

「ま、しょうがないか」

少し名残惜しい気もするが、仕事が終わってしまえば関わる必要もない

「さて、約束の喫茶店に行くか」

千尋は千里との最後の打ち合わせの為に喫茶店へとむかった

「お待ちしてました、千尋さん」

いつもながらキチンと時間前には喫茶店に居る千里
その表情はいつもと少し違い暗い感じがした

「後はこれを提出するだけだな」
「そうですね・・・」

いつもと違う彼女、それはどこか儚く見える

「千里さん、どうしかしましたか?」

明らかに表情に見えて暗い彼女を心配して千尋が訪ねる

「これで仕事が終わりだと思いますと・・・」
「どうして?」
「いえ、こんなことは今まで無かったことですから、楽しくて・・・」
「ああ、なるほどね」

千里は自分の家が窮屈だと思っている
家に縛られる必要もないこれが千里にとってはとても楽しかったこと
仕事が終わったらまた窮屈な日々に戻らないといけないのだ

「千尋さんはずっとこのようなことを?」
「まあ、ね、生活がかかってるし」
「私、千尋さんがうらやましいです」

千尋から見れば千里がうらやましいように見える
だが、千里から見えれば千尋がうらやましいように見える

「そうかな、貧乏だし生活大変だし」
「それでも私のように敷かれたレールを走るよりは・・・」

今までにはない感情を表に出す千里
こんな表情をするのは一週間付き合って初めて見せることだった

「ま、まあ、俺で良かったら相談にのるからさ」
「相談・・・ですか・・・」
「そ、これが終わっても俺達が知り合ったってことはなくならないだろ」
「そう・・・ですね、ありがとうございます」

少し千里に明るさが戻ってくる
知り合ったと言うことは無駄ではない、そう思っただけでも少しは違う

「もう俺と千里さんは友人だろ」
「友人・・・」

千尋の本心は友人と言う関係だけでは済ませたくはなかった
しかし、お互いの為にそれだけは言うまいと千尋は思っていた

「な、な、だから元気出して」
「友人、なんだか良い響きですね」

だいぶ元気が戻ってきたようだ

「これからも、時々こうして会ってくださいますか?」
「そりゃもちろん、俺で良かったら」
「ありがとうございます」

千里はうれしそうに頭を下げる

「じゃあ、私これで一旦戻りますね、お会計は済ませておきますので」

千里は伝票をさっさと持っていくとレジを済ませて出て行ってしまう

「友人・・・か、まこれくらいは大丈夫だよな」

残った千尋は一人呟いた
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by meruchan0214 | 2006-08-29 23:03 | 短編小説

Misson9 ついていく理由

ラユは単身ウロボロスへと向かっていた
フリスが裏切った事が信じられず、確認するために

ビーッ!!ビーッ!!

ウロボロスに警報音が鳴り響く

「敵か!?」
「敵なんですが・・・、一機なんです」
「たった一機、偵察か?」

レーダーに映る敵反応、フリスはその機影を確認する

「俺がいきます」
「フリスさん、お願いします」

フリスはハイシェントで立ち向かうべく出撃した

「敵は新型でデータにないから気をつけて」
「了解」

ハイシェントは相手の距離を伺いながら徐々に相手に近づいていく

「ハイシェント・・・、フリス!!フリスなのね!!」

急に通信機に入る声、発信者は相手の機兵からだった

「その声、ラユ・・・」
「ねえ、どうして、どうして僕達を裏切ったの!?」
「すまない、俺は母国を裏切ったわけじゃない、だが、今は戦うしかないんだ」
「どうしてさ!?裏切ったわけじゃないならどうして、ウロボロスに!!」

感情的なラユの声が通信機に響く
戦おうにもラユ相手だ、自分勝手な意思で飛び出してきたのだ

「理由を話して!!話してくれないなら・・・!!」

ラユは機兵の銃をハイシェントに向ける

「今ここで貴方を撃つ!!」

ラユの声は本気だった
話したところでラユが信用するか分からない
だが、話さないことには話は進まなかった

「ということだ、だから俺は自分の国を捨てたわけじゃあない」
「嘘、そんなことが・・・」
「信じられないかもしれないが、本当の事なんだ」
「でも、もしかしたらそうなのかもしれない」

ラユの反応は意外であった
てっきり信じられないと叫ぶと思っていたからだ

「もっと、詳しく話して・・・」
「あ、ああ、でもそれだと・・・」
「分かってる、私だって馬鹿じゃないよ」
「分かった」

ラユは自らの意思でウロボロスに投降した
さっきまでのかんしゃくが嘘のようにおさまっている

「なあ、ラユ」
「なに?」
「なんで、簡単に信じるんだ?」
「まあ、ね・・・思い当たる節があったから、それにフリスの言うことだから」
「嘘ついてるかもしれないんだぞ?」
「そんなことはしないのは分かってるよ」

こうして、また新たにラユがウロボロスへと乗り込む事になった
だが、それはレオルとの関係が悪化するというわけでもあった

「レオルはどうするの?」
「あいつは・・・、俺が説得するさ」

戦いたくない親友
何とかして戦闘だけは回避したかった

フリスの心には不安が残っていたが、前に進むしかないのだ
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by meruchan0214 | 2006-08-28 22:37 | 守護機兵 ハイシェント

外伝9夜 親子と夫婦

隆康はいつも通り家へと向かっている途中だった

「そういえば、そろそろ紅葉さんが来てから半年になるのか」

妖である、紅葉と楓を助けてから半年
あれから特に大規模に紅葉や楓を襲ってくることはなく平和な日々であった

「今日は何か買って帰るかな」

季節は秋を迎えていた
紅葉の木や銀杏の木が色鮮やかに立っている

「ただいま~」
「おかえりなさい、隆康さん」
「おかえり、お兄ちゃん!!」

家に帰ると紅葉と楓が隆康を出迎えてくれた

「ほら、楓におみやげだぞ」
「え、ほんと!?わーい!!」

隆康からのお土産を受け取ってうれしそうにはしゃぐ楓

「いつもいつもすいません」
「いえ、家事全部まかせっきりですから、このくらいはしないと」
「そんな、匿っていただいてるだけでも十分ありがたいのに」

隆康は彼女達に自分たちの家族を見ていた
姉は別の場所で連絡こそ取り合ってはいるものの、こちらに来るということはめったにない
両親を事故で亡くした隆康にとっては紅葉は母親のような存在になっていた

「隆康さん、お風呂沸いてますよ」
「あ、どうも」
「お兄ちゃん、一緒にはいろ!!」
「分かった分かった」

隆康は楓に引っ張られながらお風呂場へと向かう

「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
「ん?」
「お母さんがね、お兄ちゃんはお父さんに似てるって言ってたよ」
「へぇ、そうなんだ」
「私もちょっとしか覚えてないけど、優しかったのは覚えてるんだ」
「そっか、今よりももっと小さいときの事を覚えてるんだからよっぽど優しかったんだね」
「うん」

隆康と楓はお風呂でそんな他愛もない話をしている
楓とはすでに兄妹みたいな感覚であった隆康であったが、
既に父親のいない楓には自分が父親の代わりも勤めないといけない気がしていた

「今日はお母さんも一緒に入るって言ってたよ」
「えっ!?」

隆康はそれはさすがにまずいと思った
確かに紅葉とは母親のようには感じてはいる
だが、いくら隆康よりも年上とは言え、紅葉は妖で外見も20代半ばとしか見えない

「それは、流石になあ・・・」
「え~、でもお母さん話したいことがあるって」
「お風呂じゃなくてもいいじゃないか・・・」
「別に一緒に暮らしてるんだからどこでもいいじゃん」

楓の言うことはもっともだ、どこでもいいというのにも間違ってはない
ただ、隆康は男としてそういう風にするわけにもいかなかった

「隆康さん、よろしいですか?」

脱衣所から紅葉の声がする

「よくないです」

はっきりと答える隆康

「私は一向に構わないですが・・・」
「俺が困るんです」
「今日だけですので、何とかお願いできませんか?」

頼まれるとどうしても弱い隆康

「一緒にはいろうよ~」
「分かりました・・・」

楓の後押しにも負け、結局一緒にお風呂に入ることになった
幸い、隆康家の風呂は大きく、家族で入っても十分なスペースはある

「はあ、いい気持ち」
「そ、そうですね」

隆康は紅葉の方を一向に見ようとはせず、ただ後ろを向いている
言葉はどこか上ずっており、いつもと調子がおかしい

「隆康さん、どうしたのですか?」

紅葉は隆康に対してわざと分かったような口振りで隆康に聞く

「何でも・・・無いです」
「だったら、こっちを向けばよろしいのに」
「そんなわけにはいきません!!」

頑なに拒否し続ける隆康

「隆康さんは私の事を女として見てくださっているのですね」

紅葉は少しうれしそうに話す

「そりゃ、そうですよ、紅葉さん綺麗だし・・・」
「ふふ、ありがとう、そう言われたのはあの人以来よ」

あの人、多分亡くなったという紅葉の夫のことだろう

「私が以前居たところはね、誰もが私の事をモノとしてしかみていなかった」
「・・・」
「あの人に出会って、あそこを抜け出すまでは散々な毎日だったわ」

隆康はただ紅葉の話を聞いている

「隆康さんとは偶然だけど出会ってよかったと思っています」

紅葉の声はいつもの母親のような声ではなく、一人の女として喋っていた

「隆康さんはあの人の代わりじゃないのは分かってます、けれど、今日だけでいいんです、あの人と思わせてくれませんか・・・?」

隆康はどうすればいいのか分からなかった、大切な人を失った気持ちはよく分かる
だが、母親として重ねている紅葉を隆康は夫として見ることは到底できそうになかった

「でも、俺・・・」
「分かっています、ただ今日だけは傍にいさせてください、それだけでいいんです」
「・・・、分かりました、何もできませんけど」
「ありがとう、隆康さん」

紅葉からの感謝の言葉、それは今までよりもずっとずっと重い一言だった

「え、お兄ちゃんがお父さんになるの!?」
「そういうわけじゃないよ、今日だけ代わりをするってだけ」
「な~んだ、お兄ちゃんがお父さんでも私はいいのにな」

残念そうな声を出す楓
だが、紅葉はただ一緒にいるというだけでも満足そうであった

「お風呂から出たらご飯を用意してありますわ、あ・な・た」
「はい・・・」

紅葉の夫に重ねられるというのは悪い気はしない
ただ、紅葉の思いは隆康も理解しているつもりだった
だからこそ、今回のことは引き受けたのだ

同じ大切なモノを失っている同士
何かが惹かれあったのかもしれなかったのだ
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by meruchan0214 | 2006-08-28 00:00 | リトルガーデン外伝