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Misson 63 全てに近づく

少しずつ、少しずつノルンへと近づいていくフリス達
立ち塞がる敵を退けながら先へと進む

「流石にノルンを守っているだけあって堅いな・・・」
「そうね、でももう少しみたいよ」

フリス達の進む先には大きな建物が見える

「あそこがノルンの置いてある、ヴァール研究所」

そこへの道には数多くの機兵が待ち構えている
フリス達はそれらを蹴散らしながら先へ進む

「雑魚に構っている暇はないんだ!!」

ドゴォォォォォォン!!

次から次へと現れる敵

「まったく、きりがない」
「そりゃ、親玉がいるわけだし」
「一気に突破しましょう」

全てを相手にするわけにもいかない
フリス達はほとんど突撃とも思えるような移動を開始する

「ノルン・・・」

リシェルはどこかもの悲しそうに呟きながら進む

研究所内は大きく機兵が簡単に入れるくらいであった
中で動き回ってもまだ余裕がある
それだけに、研究所内でもノルンの操る機兵が襲い掛かってくる

「ここでも次から次へとくるなあ・・・」

周りは敵だらけ、だが止まるわけにはいかない

「この先にノルンがいるわ」

リシェルの案内で進んできた道
ひときわ大きい扉の前にフリス達は辿り着いた

「この奥にノルンが・・・?」
「ええ、準備はいいかしら、二人とも」
「私は大丈夫です」

ハイシェントの攻撃で扉を破壊し中へと入る
そこには広大な空間に大きなコンピューターが一台置かれていた

「あれが・・・ノルン」

球体のような形をしたコンピューター、ノルン
眼などはないはずなのに、どこかからか見られている気がする

「そう、あれが私達が作った、ノルンシステム」

驚嘆しているフリス達を待ち構えていたかのようにコンピューターが動き始めた

「ここまで辿り着きましたか・・・」

感情のない言葉が辺りに響いた
今、目の前にノルンが存在しているのだ
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by meruchan0214 | 2006-10-31 01:06 | 守護機兵 ハイシェント

Misson 62 認めるモノ

ヴェルゼの軍、ウロボロスの軍、ノルンの軍全てが入り混じる戦場
戦いは今のところ五分五分といったところである

「流石に量が多いわね」

アコナが漏らす言葉、次から次へと敵が立ちふさがる

「これじゃあ、先へ進めないな」

フリスは溜息のように思える言葉をしゃべる

「俺達が何とか道を開くぞ」
「そうそう、二人はウロボロスを連れてとっとといっちゃいなよ」

名乗りを上げるのはレオルとラユの二人
このままずるずると戦っていてもしょうがないのは全員分かっている事であった

「レオルさん、ラユさん、ウロボロスのシールド内で戦うよう心がけてください」
「分かってますよ」
「任せてくださいよ!!」

ウロボロスのシールド内で陣形を組む、レオルたち

「さあ、いけ!!フリス!!」
「ありがとう、死ぬなよ!!」

フリスとアコナは突破口を開いた場所へと突っ込んでいく

「リシェル様、ここはアタシに任せて行ってください」
「ジョニカ・・・、でも・・・」
「貴方は見届けなくてはいけない、そうでしょう?」

ジョニカの言葉にリシェルは少し考えた
そして、何かを決めたような顔をすると再び口を開いた

「お願いできる?」
「任せてください」

リシェルはジョニカの言葉に甘えると、フルゲストへと乗り込んだ

「後、お願いね、誰も死なないで、また会いましょう」

リシェルはにこやかに笑うとフルゲストを発進させた

「フリスさん、アコナ、最後の戦いに行きましょう」
「リシェルさんも行くんですね」
「ええ、ノルンを作った者の一人として見届ける義務が私にはあるから」

フリス達はノルンのある場所へと向かう
そこに待ち受けているはずのノルン
対峙の時はすぐそこまで迫っていた
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by meruchan0214 | 2006-10-29 22:52 | 守護機兵 ハイシェント

Misson 61 人だから

地球に降りたウロボロス、それを待ち構えるはノルンの操る機兵達であった

「各地で残ったアースラインとノルンの操る機兵が戦っているみたいね」
「そうだな、だけどアースラインが負けるのは時間の問題だ」

フリスとアコナが言うとおり、アースラインの軍勢は非常に劣勢であった
ウロボロスはノルンのある場所へと向かっている
その途中、何度もノルンの機兵と戦ってきた
主要な都市は何とかまだもっているものの、少しずつ押されていた

「早くしないと、間に合わなくなる・・・」
「ああ、そうだな」

敵は無尽蔵ともいえる量の機兵達、今までどこにこれだけの機兵を隠してあったのかすら分からない

「少しは自分達が食い止めるさ」
「グローズ教官?」

二人の間に入ってきたのはグローズであった

「我々の部隊は各国のアースラインを支援に行く、ノルンはお前達に任せる」
「教官・・・」
「しっかりやれよ、お前ならしっかりできる」
「はい!!」

グローズはフリスの言葉に頷くと、去っていった

「ヴェルゼにもあのような人がいるのね」
「まあな、そんなに捨てたものじゃないだろ」
「そうね」

ヴェルゼも悪い人ばかりではない、フリスやグローズ、他にも一杯良い人はいるのだ

「結局は上に立つものの意思なのかなぁ」
「そうかもしれないな」

最後の戦いが刻一刻と迫りつつある
フリス達も最後の戦い向けて気持ちを高ぶらせていた




「さて、行くかヴェルイン」
「ああ、大きな道はあいつらに任せよう」

グローズとヴェルインはヴェルゼの部隊を率い出撃する

「みんな、遅れるな、しっかりと付いて来い!!」

グローズ達はアースラインの人々を助ける為に出撃する
もうお互いの国で争っている場合ではない
今は人として共に戦うべきなのだ

「グローズ、グッドラック」
「お前もな」

グローズとヴェルインのアルオルスとその部隊がウロボロスから出撃する

「グローズさん、ヴェルインさん、お願いします!!」
「リシェル殿、分かってます、貴方方は急いで向かってくださいよ」

シュゴオオオォォォォォ!!

凄まじいブースターの音と共に地平線の向こうへと消えていく
全員生き残れるかは分からない、しかし、皆の無事を祈るしかなかった
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by meruchan0214 | 2006-10-28 22:46 | 守護機兵 ハイシェント

Misson 60 降り立つ翼

「今度はそう簡単にはおろしてくれそうにもないわね」

リシェルが呟いた、レーダーには大量の機兵が映っている

「みなさん、よろしくお願いいたします」
「了解、任せてください」
「リシェルさんのお願いだもん、分かってるよ」

止まるわけにはいかない、そのまま突き進むしかない

「一気に突っ込みます、大気圏突入までに戻ってくださいね」
「分かったよ、任せておいて」
「大丈夫だ、心配するな」

アースラインの機兵・・・、人は乗っていない
AIのみで動く大量の機兵がウロボロスの行く手を遮っている

「全て、蹴散らせ!!」

フリス達は思い思いにアースラインの機兵達と戦っていく

「上手くなったな、フリス」
「グローズ教官が褒めるなんて珍しいですね」

数では圧倒的に勝るアースライン、ノルンの操る機兵
だが、次々とそれは破壊されていく

「皆、後5分で戻って!!」

ウロボロスが大気圏へと突入を始める秒読みに入ろうとしている
最後の戦いの為に地球に降りるのだ

「降りたら廻りは敵だらけ、皆覚悟はいいかしら?」

リシェルの言葉に皆が頷く、既に心の準備はできている

「ウロボロス、これより大気圏突入を開始します、機兵の皆さんはウロボロスへお戻りください」

通信兵の声がウロボロスの機兵達に鳴り響く
それを聞いたウロボロスの機兵達は次々とウロボロスへと収納されていく

「突入まで、後、5,4、3,2、1・・・、突入します!!」

空気との摩擦熱であたり一体が赤く染まる
これほど巨大な戦艦だ、発生する熱量も半端ではない

「さあ、もう後には引けないな」
「そうだね、フリス」

フリスとアコナはウロボロスから外を眺めていた
今度は以前とは違う、戦う為に降り立つ地球
この青い星で戦わなければならないのは心苦しい事ではある
しかし、このまま黙っているわけにもいかない

「フリス、ヴェルゼと戦う前の約束覚えてる?」
「ああ、覚えてるよ」
「これが終わったら、今度こそ約束だよ」
「大丈夫だって」

二人は黙って見つめていた、まるでそこだけ時が止まっているようだった



「はぁ、見せ付けちゃって・・・」
「ラユは大丈夫なのか?」

それを遠くから見ていたのはレオルとラユであった

「確かに、昔はフリスの事好きだったけど、アコナには敵わないから」
「お前もずいぶんと大人になったんだな」
「べっつに、僕は変わらないよ、今も、これからも」
「そうだな」

レオルはどこか嬉しそうにフッと微笑を浮かべた
それはすぐに元に戻った為、ラユはそれには気づいていなかった

「あ~あ、僕にも素敵な男性があらわれないかなあ~」
「どうだろうな、案外近くにいるかもしれないぞ」

レオルは冗談のように話す
ラユもそれは冗談だと思っていたらしく、軽く聞き流した

「とにかく、これが最後になるんだよね」
「そうだな」

二人は見詰め合うアコナとフリスを二人っきりにさせてあげるべく、その場を離れた
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by meruchan0214 | 2006-10-27 23:55 | 守護機兵 ハイシェント

ハイシェントについての独り言2

2回目のハイシェントの独り言でございます
気づけば既に60話近く書いていることにびっくり
まだ、終わらないので今までで最長になることは間違いないですが

初めて書いたロボットモノということなんですが、難しいですね
物語りもいよいよ終盤?と思いますが、今までの伏線がやっとここではっきり(?)となってきました

ちなみに150年も前のものが未だに通用するというのは
この150年碌な科学の進歩がないということです、ようするに人間としての成長が今止まっているということです
このお話に出てくる、重要機関などはモイライとかノルンとかウロボロスとか大層な名前をつけられていますが一応それなりに考えて名前はつけてあります

例えば、ウロボロスは無限をあらわす、蛇として描かれています
ハイシェントの戦艦ウロボロスは無限とはいいませんが、宇宙に存在する長い長い時を生きる為の道具、という事とか

ノルンはかなり有名かもしれませんが、運命の女神です
スクルド、ヴェルダンディ、ウルズの三姉妹はアニメにもなったりして聞いた事がある方は多いと思います、ノルンはこの三姉妹全体を現しているそうです

モイライもノルンと似たような役目を持っています
ラケシス、アトロポス、クロトのこれまた三姉妹です、一説によるとノルンと同定義として扱われる事があるとかないとか

こんな感じで自分なりきに神話とかから持ってくる場合でも意味を考えてみてます
単純にカッコイイからとかではないんですよ~

でも、普通の機兵、パンツァードやアルオルス、グラルディとかはかなり適当だったりします
アースラインの機兵はムゲンとか日本語まんまですしね
こんなお話ですが、皆様もう少しお付き合いくださいませ
今回はこの辺りで失礼いたします
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by meruchan0214 | 2006-10-27 01:14 | 独り言

Misson 59 作られた理由

ウロボロスは地球に向かっている
ノルンを止めるために向かっているのだ

「フリスさん、聞こえますか・・・?」

ハイシェントの整備をしていたフリスにふいに聞こえてくる声
それはハイシェントの通信機から流れていた

「誰・・・ですか?」
「以前、地球でお会いしました、モイライです」

モイライ、リシェルの体を調達する為に地球に降りた際に研究所にあったコンピューター
それが今フリスに対して通信をしているのだ

「ノルンが全宇宙に向けて通信をしたことは既に耳にいれられたと思いますが・・・」
「ええ、今我々はノルンを止める為に地球に向かっています」
「そうですか・・・、では今度会うときはお互い敵としてですね」

モイライの言葉、少し信じられなかったが分かっていたのかもしれない

「私は元々ノルンから枝分かれしているコンピューターの一つです、マザーコンピューターであるノルンの命令には逆らえません」
「では何で俺のところに通信を?」
「リシェルの信じている方達の言葉を最後に聞いておきたかったのです」

感情がないはずのコンピューター、言葉自体に感情はこもっていないはずである
しかし、モイライからの通信は機械的口調の中にどこか人間に似た感情らしきものが見え隠れしている気がした

「リシェルの事を・・・私の親をよろしくお願いいたします」

モイライから言われた意外な言葉
敵であるはずのコンピューターが敵である自分に向かってリシェルの事を頼むのだ

「何故、貴方がそんなことを?」
「私はノルンが言っていたことが全てとは思えません、ですが私はノルンには抵抗することはできない、だから、貴方方に頼むしかないのです」

AIに過ぎないモイライ、だがその行動はまるで人間のように人を思いやる、優しいものであった

「できる限りの事はやります」
「ありがとう、地球の軍事施設の8割は既にノルンの支配下にあります、今は地球のアースラインの軍がノルンの作り出した機兵と戦っていますが破られるのも時間の問題でしょう」
「分かった、リシェルさんには伝えておきます」
「では、地球でお会いしましょう」

それを最後にモイライからの通信が切れる

「フリス、聞こえる?」
「ああ、アコナか何だ?」
「今さっきモイライから通信があって・・・」
「アコナもか」
「やっぱり、フリスのところにもいってたんだ」

モイライは自分達の為に情報を出してくれた
マザーコンピューターであるノルンを裏切れないまでも、自分のできる事で協力してくれた

「ノルンがマザーコンピューターってことは、止めたら当然モイライも・・・」
「そうなるだろうな、だけど止めないと人間が全滅する」

感傷的になっている場合ではない、倒さなければならない相手
モイライは自分で破壊される事を望んでいたのだ

「ノルンは絶対に止める・・・」

フリスは決意新たにハイシェントへと乗り込んだ




暗い暗い研究室の中、モイライはその中で動いていた

「リシェル、貴方が教えてくれた感情というものはこれほど辛く悲しいものなのですか」

一人呟くコンピューター、機械的な言葉に包まれた本心

「私もリシェルやフリスさん達のように人間として生まれたかった」

望んでいても望めない、自分は無から作られた存在
それが本当の感情であるかは、誰も分からない

「リシェル、私を作った人間。貴方の気持ち、今なら分かる気がする」

モイライは全てを受け入れるつもりである
敵として戦わなければならない、倒される敵でいなければならない
リシェルと同じようにモイライはまだ人間に希望を残しているのだ
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by meruchan0214 | 2006-10-27 01:01 | 守護機兵 ハイシェント

Misson 58 代弁者

ウロボロスの中核、リシェルは一人ここに来ていた
ノルンがいつかこうなる事を知っていた、止められなかった、約束を守れなかった
しかし、ノルンに人間達を滅ぼさせるわけにはいかないのだ

「結局、人間は変われないもの・・・なのかな・・・」

リシェルはいつものようにただ何もない空間に向かって話しかけている

「そんなことはない、ウロボロスの人間やジョニカのような人間達、少なくとも彼等は我々の意思を分かってくれたはずだ」
「でも、結局ノルンは裁定を下してしまった・・・」
「ノルンは地球を守る事しか考えないからな、それは創造した我々がやってしまったことだ」

元々は地球の破壊された自然を復活し守る為に作られたコンピューター
確かにその力のお陰で地球はある程度は復活したが、それも人間はいつか忘れ去る
再び地球は破滅へと向かっていた、それは他の星でも同じ事がいえる

「他の人から見れば、私達の尻拭いにしか見えないよね」

どこかもの悲しそうな言葉、いつもの毅然とした態度ではなく彼女の本心なのかもしれない

「あの時はノルンは必要だった、そうだろう?」
「確かにそうだけど、私が招いたということには変わりないから」

自分達が開発したものが人間を滅ぼそうとしているのだ
わが子に反抗されるのと同じようなものだ

「今は後悔しているときではないだろう、リシェル」
「そうだけど、私だってこういうこと、いいたくなる時があるのよ」

150年という年月を生きているとはいえ、彼女も元々は人間だ
どれだけ自分を押し殺してきたのかは分からない
泣き言もずっと言いたかった、この場から逃げ出したくなったこともあった
だけれど、彼女には人間を捨てる事などできなかった

「な~んてね、らしくないねこんな私」
「愚痴だったら、いつでも聞いてやる、それにお前を心配してくれる人は他にもたくさんいるだろう」
「そうね、心配してくれるのはいいんだけど、それを楯に私の後をつけてくるっていうのも考え物だと思うけどね」

リシェルが言うと、ドタドタドタと何人かがいなくなる足音がする
それを聞いたリシェルの顔には微笑が浮かんでいた

「ありがとね、クイルス」
「その名前はウロボロスになったときから、捨てた名前さ」

彼女は中核から外へと出て行く
その表情には迷いはない
自ら作り出したものを壊さなければいけない事は彼女が一番分かっていたからだ
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by meruchan0214 | 2006-10-26 00:54 | 守護機兵 ハイシェント

14輪 無垢なるモノ

タキル達は森の奥へと進んでいく
ティリカはタキルから離れないようにしている

「この森全体に幻術がかかってるな」

タキルはこぼすように呟く
ティリカもそれは感じ取っているみたいであった

「何かを守りたいみたい、そんな強い意志を感じるよ」

感受性の強いティリカはタキルよりも強くその幻術を使った者の感覚を受け止めていた

「まあ、先へ進めばわかるか」

タキル達はどんどんと森の奥へと進んでいく
幻術は確かに効果を発揮しているはずであるが、タキルやティリカに対しては効果がなかった
彼らの魔族の力は魔法に対する抵抗力が非常に強いこともあったお陰だ

「こっちの方から感じるよ、お兄ちゃん」
「そうか、でもここまでして守りたいものって何なんだ?」

魔物が出没していたという森、だがそれは幻術であった
惑わされないタキルとティリカはどんどん奥に進んでいく

「皆が幻術にかからないように・・・」

タキルは道にある幻術の装置を破壊していく
媒体がなければ幻術もかけれないということだ

「うし、行くぞティリカ」
「うん!!」

タキル達が進んだ先には小さな洞窟がポッカリと口をあけている
中からは生き物の気配がする

「何かいるな」
「うん、凄くおびえているみたい」

ティリカは何かを感じ取っている、奥に居るものに同調しているのだろうか
とにかく先へと進まなければ始まらない、タキルとティリカは洞窟の奥へと進んでいく

「グルルルルル!!」

洞窟の奥で光る目が2つ、こちらに殺気を放っている

「魔獣・・・?」

暗くてよく分からないがとりあえず人ではない
これ以上近づいたら襲いかかってくる、その近くまでタキル達は踏み込んだ

「どうやら、あれが騒動の主みたいだな」

タキルは槍を取り出し構える

「待ってお兄ちゃん!!」

戦う体制に入ったタキルをティリカが止める

「あの子、子供達を守りたいだけみたい・・・、それにその子は・・・」

ティリカはそっと前に歩き出す

「おい、ティリカ!!」
「ガァァァァァァ!!」

魔獣はティリカに襲い掛かるが、勢いが全くなかった

「可哀相に・・・、こんなになるまで子供を守り続けていたんだね」

もうその魔獣には人を襲うだけの力すら残っていなかった
ティリカは魔獣を優しく抱きしめてあげる

「子供達は大丈夫だから、安心して休んで・・・」

ティリカは本当に優しく、包み込むように魔獣に話しかけた
殺気を放っていた魔獣はそれを受けてか次第に大人しくなっていった

『私の子供達を・・・、お願いします・・・』

声が聞こえた、魔獣がしゃべったわけではない
直接心に響いてきたのだ

「うん、分かったよ」

タキルはただそれを黙ってみているしかなかった
ティリカは魔獣の頭をそっと撫でてあげると、魔獣は静かに目を閉じた

「あの幻術はこの魔獣がやっていたのか・・・」
「そうみたい、子供達に危害を加えさせない為に、親が子を守る気持ちは私も良く分かる・・・」

この魔獣がやっていたこと、それはタキル達が村から逃げたときと同じであった

「殺せるわけ、ないよな」

タキルにはこの魔獣の子供達を殺せるわけがなかった
境遇が似ているこの獣の子を殺せるはずがなかった

「キャン、キャン」

洞窟の奥から魔獣の子供と思われる声がする
まだ、自分の親の死に気づいていないようだ

「ねえ、お兄ちゃん」
「言わなくても分かってるよ、姉さんには俺からも頼んでみるよ」
「ありがとう!!お兄ちゃん!!」

ティリカは嬉しそうに洞窟の奥から、魔獣の子供を連れてくる

「ほら、見て小さくてかわいいよ」
「まだ、生まれたばかりだったんだな」

この魔獣の子供達の大きさは大体40cm前後
息を引き取った親は5mにもなろうかという巨大な魔獣だ

「まあ、これで事件は解決・・・だな」

タキルは皆にこの事を知らせるべく、洞窟の出口へと向かった
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by meruchan0214 | 2006-10-26 00:34 | 架空世界[フリトアネイス]

Misson 57 運命の神

リシェルはフリス達を司令室に集めた
ノルンについて話すという事だ、フリス達はリシェルから語られる言葉を黙って聞いている

「昔、私が研究員だったのは何人かは知ってると思うけど」
「150年前・・・ですよね・・・」
「そう、私は自分の体を機械にすることによって、生きている」

今まで隠してきていた事を話すリシェル
状況が既に隠していてもしょうがないところまできているのだ

「ノルンは私を含めた研究員が総力を集めて作った、AIです」
「それがまたどうして人間を滅ぼそうと?」

アコナの言う事ももっともだ人が作ったのであれば、何故人を滅ぼす必要があるのだろうか

「ノルンは地球を生かすための力となるよう作りました」
「それが人間を滅ぼすことだと?」
「ええ、それは150年前にもノルンが導き出した答えでもあったのです」

地球を生かすために作られたもの、それが人間を抹殺しようとしている

「地球にとって人間は害にしからならないとノルンは判断しました」

確かに人間は地球を汚染し、何種類もの他の動植物を破滅においやってきた
ここにきてそれが緩和されているとはいえ、なくなったわけではない

「ノルンは純粋な知性です、地球を生かすための最も早く効率のいい手段を取ろうとしているのです」
「でも、何で150年前にそれを導き出したのなら、すぐに実行されなかったのでしょう?」

フリスが疑問を投げかける、150年も前から答えが出ていたのならば、今更というのは少しおかしい

「私達がノルンと約束をしたからです」
「約束?」
「人間を変えてみせると、全てのモノが生きる為には人間が変わるしかない、その為にまずウロボロスをつくり、アルカディアを開発しました」
「宇宙にでることが変わるということですか?」
「いえ、あくまでも地球上で増えすぎた人間達の生活空間を広げさせる為です」

この辺りは授業でも習った記憶がある、地球上に収まりきらなくなった人間達は宇宙に飛び立ったと、それが今のウロボロスであったり、月や火星などのアルカディアであるのだ

「ですが、人が変わるには時間がかかる、ノルンは人が変わる前に星が死滅することを恐れたのです」
「それで今回の抹殺というわけですか・・・」
「ええ、早くノルンを止めないと、星としては生きるかもしれませんが、人間はこの世から消えてなくなります」

星としては生きる、確かに人間達が星を好き勝手にして死滅させてしまってはならない
そういった意味ではノルンは正しい選択をしているのかもしれない

「ですが、私は人の可能性がまだあるなら、それを信じてもいいと思うのです」
「そうですね、僕らもまだやりたいことがありますし・・・」

フリスはリシェルの言いたいことは十分に分かった
ノルンは止めなくてはならない、そう思っている

「ノルンは元々地球の管理用のコンピューターです、地上の施設の大半はノルンの支配下にあるといってもいいでしょう」
「死地に飛び込むようなものですね・・・」
「ですがノルンを止めないと、全人類が滅亡させられてしまいます」

リシェルの言いたいことは分かっている
元々、敵とはいえ中には戦いも知らない人間もいるのだ
そんな人達まで見過ごすわけにはいかない

「ノルンは地球のバチカンというところにあります、皆さん力を貸してください」

リシェルは集まった皆に向かって頭を下げる
ノルン・・・、リシェル達が作り出したコンピューター
地球を生かす目的で作られた純粋な知性

それはもしかしたら地球の意思なのかもしれなかった
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by meruchan0214 | 2006-10-24 23:00 | 守護機兵 ハイシェント

Misson 56 感情無き力

アースラインの機兵たちを退けたフリス達であった
しかし、アースラインの機兵にはパイロットは誰一人乗っていなかった
リシェルは急がねばならないと、ヴェルゼに降りホルド大将と会う事にした
フリスやラユ、レオルもウロボロス側の人間としてリシェルに同行した

「お初にお目にかかります、ホルド大将」
「こちらこそ、リシェル司令官」

お互い儀礼的な挨拶をする、長いテーブルにお互い向き合うように座る

「早速、統治の件に関してでしょうか?」
「いえ、統治に関して言えば私はヴェルゼの人に決めてもらうつもりです、今回は別の件でお話をしたく参りました」
「その話とは?」

ホルド大将はリシェルの別の件という話に耳を傾ける

「地球にあるノルンというコンピューターが全人類を殺そうとしています、それを防ぐ為に協力をお願いしたいのです」
「コンピューターが人間に対して反乱ですか・・・?」

にわかに信じがたい話ではある、ホルド大将もすぐには信じられないといった顔つきではある
だが、負けた以上は従わなければならない

「恐らくもうじき彼らから何かしらの接触があるはずです」

フムとホルド大将はあごに手をつける
すると、急に辺り一体の通信機という通信機に声が響いた

「私の名前はノルン、全てを管理するものです」

機械的な女性の声、その声はありとあらゆる場所へと届いていた

「人間は実に愚かな生き物です、全てを破壊する事しかできないモノなどこの世界に不必要です、よって、私は全ての代表として宣言する」

淡々と感情をあらわさない声、皆はただ黙ってそれを聞いていた

「全人類をこの宇宙から排除する」

冷たく言い放たれたその言葉に誰もが驚きを隠せない
ただ一人リシェルだけが表情を変えず、黙って聞いていた

「まずは地球、その次は宇宙に住む全ての人間です、人間達よ今までの罪を悔い改め、滅んでいくがいい」

その言葉を最後に通信はぷっつりと途絶えた

「信じてもらえたでしょうか」
「信じるしか・・・あるまい」

ホルドは今聞いた言葉を信じるほかしかなかった

「ヴェルゼの残った軍は全てウロボロスと行動するよう指示させよう」
「ありがとうございます」

リシェルは勝ったはずなのにヴェルゼに対して頭を下げる

「では、私はこれで失礼させていただきます、統治の事はさきほども言いましたがヴェルゼの皆さんが決める事です、私達はそれをお手伝いさせていただくだけですので」

リシェルは再び頭を下げると部屋を颯爽と出て行く
フリス、ラユ、レオルも慌ててそれに続く

「リシェルさん、これからは・・・」
「地球に降りることになるわね、ノルンを止めなくてはならない」
「ノルンとは一体どんなものなんですか?」

レオルが聞くと、リシェルは少し溜息をついて話し始める

「そうね、そろそろ全てを話すときなのかもしれない、ウロボロスに戻ったら他の人達も集めてもらえる?」
「分かりました」

フリス達はウロボロスへと戻っていく
全てを管理するものと自分を表現したノルン
リシェルはコンピューターと言っていた、モイライからも聞いた事がある言葉
そのコンピューターが人間に対して戦争を仕掛けてきた

人間と機械、新たな戦いが始まる
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by meruchan0214 | 2006-10-23 23:22 | 守護機兵 ハイシェント