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misson5 覚醒

相手はザムレイズの軍艦3隻。
パワードールも多数出撃しており、こちらとの戦闘態勢は整っていた。
対するはウロボロス軍とザムレイズ軍の軍艦1隻。
こちらも機兵やパワードールを出撃させ戦う状態は整っている。

「アリシア、シンクロシステムはお互いのシステムを共有することによって、より広範囲のレーダーを持つ事にあるわ。レーダーの使い方は分かるわね?」
「はい、分かります」
「オーケー、あんまり離れすぎると機能しなくなるから、気をつけなさい」
「了解です」
「自信を持って、貴方ならこのシステムに何も問題なく使いこなせるはずだから」

アリシアはマニュアル通りに操縦する。
ほとんどがシュミレーション通りでほぼ違和感無く動かすことができた。

「アコナ、フリスさん、ごめんね」
「いえ、こうなることは予想はしてました」
「娘が自分で選んだ、複雑な気分ですが止めるつもりはありませんよ」
「ありがとう、皆ステイルさんの軍には当てないように気をつけて!!」
「了解!!」

いよいよ、戦いが始まった。
以前の戦いから再びあの熱線の攻撃があると思うと迂闊には攻撃できない。
だが、リシェルはいつもと違いやや余裕をもっていた。

「射程距離さえ分かっていれば・・・」

相手の兵器さえ分かっていれば対策も立てれる。
エルブラストは自身の持つ砲台を連結した。

「射程外から撃てばいいってね・・・、アコナお願い!!」
「了解!!」

アコナの乗るフルゲスト改がエルブラストの砲台の照準を定める。

「いけ!!」

長遠距離からの狙撃、それを正確に狙い打つ。
エルブラスト以外にもほとんどの機兵が同じような戦術を取った。

「同じ手は二度通用しないってね」

長遠距離からの狙撃に熱線の射程まで近づくことができない。
そうなると必然的に戦闘は白兵戦になっていく。

「来たわよ、フェルル隊、シュイ隊は現状を維持、フリス隊とアコナ隊は敵を迎え撃って。狙撃隊に敵を近づけさせないで」
「了解」

機兵、パワードール同士の白兵戦はウロボロス軍の有利であった。
機体性能が明らかに違うというわけではないが、錬度が如実に出ているのだろう。

「相手のハイシェントが出てきたら、アリシア、私たちで抑えるわよ」
「は、はい!!」

正直、アリシアはついていくので一杯一杯だった。
当たれば運が悪ければ即死、良くても機体破損。
だけど、不思議と今まであった不安はなくなっていた。
破壊すれば相手の未来を奪ってしまう、罪悪感こそ残っていたが、乗ると言うことに違和感はない。

「うん、その調子だよ」
「はは、ありがと」

語りかけてくるハイシェント、自分が動かしていない、反応しきれない時に勝手に動いているのが分かる。
自分をサポートしてくれている、どんな激しい動きをしたところでもちゃんとついてきている。
戦える、自分も護るモノがある、そう思い始めていた。

「きた!!」

どす黒い大きなものが近づいてくる。
ザムレイズのハイシェントが近づいてきていた。

「アリシア、恐れないで。一人じゃないから、絶対に勝てる」
「は、はい!!」

再び対峙するハイシェント同士、それに今回はエルブラストもいる。

「お父さん・・・」
「え・・・」

ハイシェントが呟いた言葉に少し驚くが、今は戦場だ。
色々と聞くのは後回しにアリシアはした。

「レフィン・・・!!」
「おや、今日はハイシェントではないのか、それではハイシェントに乗っているのは・・・?}
「貴方を倒す人間よ」
「くくく、やれるものならやってみろ」
「アリシア!!」
「はい!!」

ハイシェント、エルブラストがプロトタイプハイシェントに襲い掛かる。
一進一退の攻防を始め、アリシアはリシェルに遅れないように必死だった。
だが、アリシアの感覚は皆の予想を遥かに超え始めていた。

「見える・・・」

エルブラストとプロトタイプハイシェントが次にどうやって動くか。
アリシアにはこの戦場全体が今どうなってるか無意識に頭に入ってくる。

「リシェルさん、任せてください!!」
「え?」

アリシアの乗るハイシェントがプロトタイプハイシェントと競り合いになる。

ジ・・・ジジジ・・・

激しくぶつかり合う音、リシェルはまだ実戦を始めたばかりのアリシアに全て任せられるはずも無く援護に行こうとする。

「え!?」
「何!?」

リシェルもレフィンも驚愕の声を出すしかなかった。
一瞬、ほんの一瞬でハイシェントがプロトタイプハイシェントの腕を断ち切った。
その瞬間はリシェル、斬られた本人にも分からなかった。

「ちっ」

予想外の攻撃にプロトタイプハイシェントは撤退する。
それに呼応するかのように、他のパワードール達も撤退して言った。

「予想以上だわ・・・」

呟いたリシェルはただ驚きの言葉を放つしかなかった。
戦闘が終わり、ウロボロスに戻る。
初の戦場で大きな戦果をあげたアリシアはまさに英雄の如き存在だった。

「私、勝ったの?」

一番驚いたのはアリシア本人であった。
思った以上にうまくいきすぎたせいもあるだろう。

「良くやったわね」

イマイチ実感のわかないアリシアに対して、リシェルが言葉をかけた。
その言葉に、自分が相手を退けたことを少しずつ感じ始めていた。
戦っているときに感じた感覚は今はもうない。
今は物凄く落ち着いているだけだった。

「戻りましょうか」
「はい!!」

アリシア達がウロボロスに戻るとステイルの艦からの通信が入る。

「ありがとう、助かりましたよ」
「いえ、それよりも大丈夫なのですか?」
「心配ない、皮肉なことだがこちらも一枚岩だけじゃないんでね」
「そうですか」

リシェルはやや複雑そうな表情を浮かべる。

「それでは、君達の無事を祈っている」

通信が切れると、みんなの緊張が解けたようにもなった。
今回の一番の大手柄は間違いなくアリシアだった。
プロトタイプハイシェントを圧倒し、傷を負わせ撤退させたからだ。

「でも、戦う才能って怖いですね」

正直なアリシアの感想だった。
得も知れぬあの感覚、しかしそれが逆に心地よい。
命をやり取りしているという、妙な興奮がアリシアの心をそう思わせたのだ。

「そうね、戦いなんてなければ、必要無いものだしね」

リシェルはそれに賛同するように頷いた。

「でも、戦わなければいけないのが、残念だけど」

それと同時に少し悲しそうな言葉で台詞を付け加えた。
戦いが無くなればどんなにすばらしいことなのだろう。
少なくとも、この地球圏に住む人間たちはこの20年は戦争を起こさなかった。
異なる星の人間たちが突然攻めてきた。

「とりあえず、今日は疲れたでしょう。もう休みなさい」
「あ、はい」

言われてみると何となく眠い気がした。
それだけ精神を集中していたせいもあるだろう。
アリシアは両親である、アコナやフリス達と共に家へと戻っていった。

「そういえば、戦闘のときにハイシェントがお父さんって言ったよね・・・」

確かにそう呟いた、作り主ということなのだろうか。
リシェルとレフィン達は確かにハイシェントを作った人々には違いない。
だけど、ハイシェントの言葉はアリシアが父を呼ぶ様な、そんな感じだった。

「まさかね・・・」

一瞬、頭の中を変なことがよぎったが、すぐにそうではないと否定した。
アリシアが考えたことは、ハイシェントもリシェルと同じなのではないかと。
そして、リシェルとレフィンがそのハイシェントの実の両親ではないかと。

それだと呟いた言葉もわかる。
けれど、ハイシェントのしゃべり方などは明らかにまだ子供だ。
いくらなんでも、レフィンはともかくとしても、リシェルがそれを許すとは思えなかった。

「今日はもう寝よ!!」

あんまり深く考えることをやめて、布団に潜るアリシア。
いろいろと考えることも無く、静かに安らかな寝息をたてていた。
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by meruchan0214 | 2007-10-30 19:57 | 守護機兵 ハイシェント2

misson4 護る力

いつ襲ってくるか分からない敵。
勝ち目があるのかも分からない。
自分に戦う力があるのならば、それを奮わないのが罪なのか。

恐怖が体を支配し、戦うことを恐れる。
死を恐れているのではない。
自分がやろうとしていることを恐れている。

人を殺すと言うこと、未来を奪うと言うこと。
だけど、戦わなければ自分たちの未来が消える。
どうすれば、どうすればいいのか。

「はっ!!」

夜、寝苦しくて目が覚めるアリシア。
ウロボロスでは地球と同じように周期的に朝から夜までを繰り返す。
できるだけ、自然にそれがウロボロスだった。

「まだ、夜か・・・」

辺りは静まり返っている。
ウロボロスでは夜とは言っても、他はどうであるかは分からない。
事実、家にいるのはアリシアだけで両親は家にいなかった。

「お父さんとお母さんは・・・軍部の方か・・・」

一人だと言うことをとても寂しく感じたのは久しぶりだった。
誰かに傍にいてほしいと思っても誰もいない。
そんな孤独感がアリシアをより不安にさせていた。

眠気が覚めてしまったアリシアはとりあえず街に出ることにする。
地球の時間で言うならば、今は午前3時、真夜中だ。

「ふぅ・・・」

アリシアは公園の辺りを一人で歩いている。
水の流れる音と木々の揺れる音が音楽を奏でているようだった。

「ん?」

アリシアは歩くのを止める。

「子供の声がする?」

耳を澄ませて聞いてみると、確かに子供がはしゃいでいるような声がする。
こんな時間にどうしてなのかは分からない、けれど気になったアリシアは声のする方角へと向かった。

公園の噴水に小さな女の子が二人遊んでいた。
こんな時間なのにそんなことを感じさせないくらいに楽しんでいる。
しかし、アリシアは遊んでいる子供に違和感を感じた。
見えているのその場にはいない、幻影のようだった。

「子供がこんな時間になにしてるの?」

こんな時間まで遊んでいるということを黙って見過ごすわけにもいかず、声をかける。
しかし、二人の女の子はキョトンとした顔で何で遊んじゃいけないのか分からない顔つきだ。

「だって、こういう時じゃないと遊べないんだもん」
「普段は遊ぶ機会がほとんどないですから」

双子のように見える女の子、一人はワンパク盛りでもう一人は大人びて見える。
顔つきはそっくりだが、その印象のせいかはっきりと区別がつく。

「いつもは何してるの?」
「お母さんと一緒に居るの」
「お母さんと一緒って・・・、お母さんは何してるの?」

いまいち会話の趣旨が掴めないアリシア。
どこの子供か聞こうと思ってあれこれと聞いてみる。

「お母さんの名前は?」
「リシェル、リシェル・エル・ビュー」
「り・・・しぇる・・・?」

リシェルの子供だと言う彼女達、まさかあのリシェルの子供とは思えなかった。

「リシェルさん、リシェルさんってもしかしてこのウロボロスで一番偉い人?」
「うん、そう言ってたよ」

やっぱり、そう思ったアリシアだが、明らかにおかしい事に気がついた。
リシェルがまともに生きていたのはずっと昔の話だ。
子供が今もこんな姿でいるはずがないということ。

「お母さんは大変だから、私達が助けてあげないといけないんです」
「うんうん」

しかし、リシェルがやってきた時は一人だった。
彼女達が居る雰囲気はどこにも無かった。

「ん・・・」

アリシアは不意に嫌な気配を感じ取った。
それは二人の子供も感じ取ったみたいだった。
子供たちは顔を見合わせて頷くと、彼女らの姿が薄くなっていく。

「え、消えた・・・?」

まるで最初から居なかったかのようにアリシアだけが残った。
その次の瞬間、警報が鳴り響いた。

「また、来たんだ・・・」

アリシアは家から軍部へと向かった。
戦うつもりはないが、足が勝手に行ってしまうのだ。
ブリッジに着くと、すでにみんな集まっていた。
だが、いつもと様子が違う。

「どうしたんですか?」

アリシアが聞くと、ジョニカが教えてくれる。

「相手が話し合いをしたいっていうのさ」
「話し合いって、あの戦った相手ですか?」
「そういうことだ」

しかし、アリシアの感じた気配はこんなことではなかった。
もっと黒く嫌な気分になる、そんな気配だった。

「とにかく、話をしてみないことにはね、アコナ、同席してもらえる?」
「わかりました」
「フリスさんとジョニカは付近を警戒してもらえる?」
「了解しました」

相手の艦は攻撃をしないという意思表示をしながら、こちらに近づいてくる。
アリシアは感じた気配とは違う、気配を感じていた。
リシェルはアリシアの感じ取ったことを察したのか、アリシアにも一緒に来るか聞いた。

「え、私なんかが?」
「大丈夫よ、話し合いにいくだけだから」

アリシアは少し迷ったが興味が勝ったらしく、リシェルの後をついていく。
入港した敵艦から、人影らしきものが降りてきた。
その相手は人間とほぼ変わらぬ風貌の男、着ているものがやや違う程度であった。

「はじめまして」

男はリシェルの前に立ち、ニコリと笑いながら話した。
穏やかな雰囲気を持っており、敵とは思えなかった。

「はじめまして、こちらの言葉が通じそうで何よりです」
「ははは、翻訳する装置を使っていますからね」
「なるほどね、私の名前はリシェルと申します」
「私はザムレイズのステイルと申します。以後お見知りおきを」
「それで、私達に何か御用でしょうか?」

リシェルは相手の出方を伺っている、人のよさそうとは言え、油断はできないということだろう。

「単刀直入に言いましょう、休戦をいたしませんか?」
「休戦を、貴方方から仕掛けてきたのに?」
「あれは私達全ての本位ではありません」
「その証拠は?」

リシェルは全くと言っていいほど信用をしていないみたいだった。
当然と言えば当然だ、アリシアはただリシェルと相手のやりとりを見ている。

「我々は信用されていないみたいですね」
「それはお互い様だと思いますけど?」

そう言うとステイルは少し笑ってみせた。

「なるほど、あの人の言っていた通りの人ですね」
「・・・」
「勘違いなさらないように言いますが、私達は少なくとも私の指揮する艦は貴方方と戦うつもりはありません」
「それで、休戦と言っても貴方達だけではないのでしょう?」
「確かに私も軍人ですし、私が指揮しているのはこの艦だけですが・・・」

アリシアはステイルという人間は悪い奴ではないと感じていた。
彼の発している雰囲気はどちらかというと、リシェルやジョニカに似ている。
寧ろ気になっていたのは、この艦以外にこの宙域に嫌な気配を感じることだった。

「残念ながら、今の我々は貴方方の星を言葉を借りて言うならば植民地にしようとしています」
「やっぱりね、予想はしていたけれど」
「ですが、私はそうではいけないと思う。あの人は我々の未来の為だと言うが、そんな良いモノではない自分の復讐の為に我々を使おうとしている」
「貴方は私達とどうあるべきだと?」
「協力し合える、彼の技術は我々の技術を大きくしました、ならば逆もあるはずです」

ステイルの言う言葉は確かにそうであった。
未知の文明の科学というのは大いに魅力的だ。
先の戦闘でも似て非なるモノが存在していた。
それがもしもお互いに共通できるモノがあったとしたら、お互いに伸ばせあえたら。
アリシアはそんなことができたらいいだろうな、と思っていた。

リシェルも興味深そうにその話は聞いていた。

「我々だけでは、自分達の軍を止めることはできません。だからこそ貴方達の協力が必要なのです」
「貴方の言いたい事は分かりました、ですが、具体的にどうしろと?」
「貴方達から、休戦を申し出てもらいたいのです」

ステイルがそれ以上言う前にリシェルが答える。

「残念だけど、それはできません」
「何故ですか?」
「今の状態で休戦を申し込んだら、相手の言い様にしなくてはなりません。それは全体の意思としてもありえません」
「確かにそうかもしれない、ですが、これ以上の犠牲を出してもいいのですか?」

ステイルの言う事も一理ある、ウロボロスやヴェルゼ、アースラインの被害が大きくなればなるほど不利な条件で停戦しなければいけない。
アリシアはステイル自身は本心で言っているのだろう、と感じ取っていたが、全体の状況がリシェルに頷かせないのだろう。

「貴方の気持ちはありがたいと思います、確かに私達ウロボロスが休戦したとなれば、ヴェルゼやアースラインも休戦するでしょう。被害もさほど大きくないと思えます」
「だったら、休戦に・・・」
「貴方の様な考えを持った方々がもっと増えたら、私達が安心できるようになったらその時は喜んで休戦をいたしましょう」
「・・・分かりました。確かにそういった意味ではまだまだ私の力不足ですね」

ステイルは諦めたようであったが、希望を捨てたわけではなさそうだった。

「あっ」

不意にアリシアが声をあげると、みんながアリシアを注目した。

「来る・・・」

アリシアの言葉にほとんどの人間は意味が分からなかった。
だが、一部の人間には確実に伝わっていた。

「アコナ、機兵の準備を」
「了解しました」
「我々もパワードールの準備だ」
「はっ!!」

ステイルも自らの兵達に指揮をする。
一気に戦場の空気にと場が変わった。

「貴方もろともって所かな」
「小賢しい真似を・・・」

アコナ、フリスはそれぞれ機兵に乗り込んだ。
アリシアはただそれを黙って見ているだけだった。

「ハイシェントの整備は?」
「終わってます、エルブラストも整備終了しました」
「二機のシンクロシステムをMAXまで引き上げておいて」
「シンクロシステムはまだ完全に完成していません、オートで検証通りの性能を発揮するかどうか・・・」

リシェルは少し悔しそうな顔をしているが、それでも使うしかない。
それを見ていたアリシアは誰かに言われたわけでもないが自分から動き始めていた。

「オートでって事はマニュアルならば検証通りに動くということですよね?」
「確かにその通りだけど・・・」
「私に乗らせてください、お願いします」

アリシアはリシェルに頭を下げて頼み込む。

「いくら、フリスさんとアコナさんの子供とは言っても実戦経験のない・・・」
「分かったわ」

整備兵を黙らせてリシェルはアリシアが機兵に乗ることを了承した。

「アリシアちゃんはハイシェントに乗って、私がエルブラストに乗るから」
「分かりました」
「誰か、アリシアちゃ・・・、アリシアに合うパイロットスーツを」
「は、はい」

リシェルに言われて周りの人間は慌ててアリシアに機兵へ乗せる準備をする。

「もう、子ども扱いしないからね」

トンと肩を叩かれるアリシア、たったそれだけだけど今のアリシアにとってはとてもうれしいことだった。

トクン・・・

心臓が高鳴っている。
自分で決めた事と言ってもやっぱり緊張するし、恐怖も感じる。

「心配しないで、お姉ちゃん」

ハイシェントの操縦席に座るとどこからともなく声が聞こえた。
聞いたことのある声、公園であった少女の一人の声だった。

「お姉ちゃんなら、大丈夫。お母さんも、ナミアも私も手伝うから」

語りかけてきたのはハイシェントだった。
その言葉にアリシアの気持ちは落ち着いていった。

「うん、ありがとう」

ふぅっと一呼吸置いてから、操縦桿を握る。

「アリシア、準備はいい?」
「リシェルさん、いつでもどうぞ」

エルブラストが先に格納庫から出撃する。
そして、ハイシェントも続いて出撃する。

「ハイシェント、アリシア。出撃します!!」

これがアリシアの初めての出撃となる。
自分ができるならやるだけやってみよう。
自分には助けてくれる仲間がたくさんいる。

そう思えば護ることに恐怖を感じなかった。
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by meruchan0214 | 2007-10-19 21:10 | 守護機兵 ハイシェント2

misson3 迷い

謎の敵との戦闘があってから一週間。
ウロボロスは補給をする為に木星のアルカディアへと立ち寄った。
物資の補給以外に戦闘の為の補給だ。

「さて、これが終わるまで敵が黙っていてくれればいいけれど・・・」
「相手の目的がまだ分からない以上、いつくるか分かりませんからね」

ブリッジではリシェルとジョニカが話をしている。
最低限の人数は残し、他は休憩を取らせている。

しかし、いつでも緊急事態には備えていなくてはいけない。

「レーダーに熱源反応、照合結果、前回のモノと一致」
「やっぱり、来ましたね」
「そうね、ウロボロスをお願いね」

リシェルはウロボロスをジョニカに任せ、自身はハイシェントに乗り込んだ。

「フリスさん、アコナ、二人ともいい?」
「いつでもいけますよ」
「私も大丈夫です」

リシェルのハイシェントを筆頭にウロボロスを護る為に出撃する。

「今回はウロボロスだけじゃないのよ!!」

ウロボロスからの出撃を合図にするかのように、正体不明機を囲むように複数の艦隊が現れる。

「流石だな、時間通りだ」

現れた艦隊は火星のアルカディア、ヴェルゼの戦艦だった。
ヴェルゼの戦艦からも、何機もの機兵が出撃する。

「ジョニカさん!!」

みんなが出撃してやや遅れてアリシアがブリッジに入ってきた。
リシェルが根回ししていた為にアリシアは顔パスで軍部には入って来れるようになっていた。

「大丈夫だ、負けはしないさ」
「でも・・・」

アリシアは言い得れぬ不安を感じていた。
先の戦いでもそうであったが、今度は今まで以上にその不安は大きかった。

「ウロボロスはシールドを展開し、攻撃に備えよ!!」

数はこちらの方が上、負けるはずがない。
誰もがそう思っていた、ただ一人アリシアを除いて。

「何かおかしいわね」
「リシェルさんどうしたんですか?」
「いや、ただこうなることは相手も予想していたはずなのにね」

リシェルも何となく何かがおかしいということに感づき始めていた。
相手の布陣が定石とは違うのだ。

「ジョニカ、聞こえる?」
「どうしました、リシェル様」
「全軍に突出した攻撃はしなように伝達してもらえるかしら?」
「分かりました、けど、どうして?」
「何となくね、嫌な予感がする」

相手も無理に撃ってこようとはしてない。
お互い膠着状態のまま、睨み合っている。

「ほ、リシェルさんも分かってるみたい」

アリシアは自分が感じ取ったことをリシェルも感じていたことに少し安心した。
しかし、このままでは拉致があかない。
お互いに牽制ばかりの攻撃でまともな攻撃はまったくというほどない。

「ノルン、通信できる?」
「リシェル、何用ですか?」
「今、木星圏の敵艦隊のデータを取ってほしいんだけど、できるだけ早く」
「分かりました、少し待ってください」
「お願いね」

痺れを切らして攻撃したらきっと負ける。
リシェルはそれを直感で感じ取っていた。
もちろん、アリシアもそれは感じていた。

「この戦い攻めたら負ける・・・」
「アリシア、何を言ってるんだい?」
「分かるんです、相手はこちらを圧倒するモノがある」

アリシアの不安は確信へと変わっていた。
相手はこの戦力差にも関わらず、怯んだりする様子は全くない。
戦力なんて関係ない、何かがあるのだ。

「くそ、何をチマチマやってるんだ!!」

アースラインの機兵の一隊長がつぶやく。
牽制のみの戦いにだいぶいらついているようだった。

「戦力はこっちが圧倒的に上だ!!一気に押しつぶせ!!」

アースラインの軍隊は牽制のみの戦いに痺れを切らし本格的な攻撃を開始する。

「いけない!!」
「無理に攻め込まないで!!」

アリシアとリシェルは同時に叫ぶ。

「リシェル、解析が終わりました。相手方には・・・」

ノルンとの通信が再びつながった瞬間だった。
敵軍から一斉に熱線がアースラインに向かって照射された。

「遅かったようですね」

ノルンが冷静に話す。
敵軍から発せられた熱線はアースライン軍の半数以上を一発で焼き尽くした。
射程こそそこまで長くはないものの、超高熱で機兵の装甲を一瞬で破壊するほどの威力。

「照射内は太陽とほぼ同程度の温度とでております」
「これじゃ、近づけないわね」

リシェルは相手の奇妙な布陣の意味が分かった。
相手は熱線という兵器を楯に少しずつ前進するつもりなのだ。
撃ち漏らした機兵は周りの護衛機が撃ち落とす。

「参ったわね、これは」

相手の熱線がどれだけ撃てるか分からないが、これでは攻めきれるモノではない。

「リロードは約30秒ほどと相手の艦の規模、出力から考えられます」
「30秒か・・・」

30秒で切り崩すのは至難の業だ。
相手は全力で熱戦を撃つ砲台を守る、こちらは30秒以内にその砲台を破壊しなくてはいけないのだ。

「やっぱり、駄目だよ・・・」

ブリッジに居るアリシアはこの戦いは勝てないと感じていた。
あの兵器を目の当たりにしてそう思えない人の方が少ない。

すると、敵軍から例のプロトタイプハイシェントが現れた。

「どうした、もう来ないのか?」
「レフィン・・・!!」

リシェルの声が変わった、憎しみに近い声。
明らかに元夫に大しての態度ではない。

「愛しき妻よ、元気にしていたかい?」
「貴方にもうそんな言葉はいわれたくないわね」

普段冷静なリシェルがあれほどまでに、感情を表に出すのは非常に珍しかった。
アリシアにもその感情がヒシヒシと肌で感じるほどだった。

「お互い攻め切れないんだ。どうだ、ここは一つ決闘で勝敗を決めないか?」

リシェルは少し考えた、相手が約束を必ず守るとは言いがたい。
けれども、このまま膠着状態が続くよりはマシだと考えた。

「リシェルさん・・・」
「リシェル様なら、大丈夫さ」

微かに震えているアリシアをなだめるようにジョニカは語りかける。

「皆さんの意見はどうです?」

さすがにアースラインやヴェルゼなどの連合軍、リシェルの一存で決める訳にもいかない。

「負けた場合はどうなるんですか?」
「だが、しかし・・・このままでは」

賛否両論である、戦いを続けても勝てる見込みは少ないのは皆わかっている。
だからといって、リシェル一人にすべてを任せたくないのも事実であった。

「さあ、どうするかね?」
「わかったわ、受けましょう」

どちらに転んでも負ける可能性が高い。
だったら、もしも負けたら自分だけが罰を受けよう。
そう考えた結論だった。

「ふふふ、戦いが嫌いだったお前がどう戦うのか見物だな」
「貴方の好き勝手にはさせないわよ」

リシェルの指示により、二機のハイシェントの周りには機兵などは一切近づかせなかった。

「行くわよ!!」

ハイシェント同士の戦いが始まる。
お互いが交錯しあう度に激しい火花が飛び散る。

「流石、なかなかやるな」
「ちっ」

お互いにダメージは受けてはいない。
武装も装備もほぼ同じ、今は互角の勝負をしているが勝負がつくのは一瞬だ。

「このままじゃ、負けちゃうよ」

アリシアは戦いの行方が何となくわかった。
リシェルに対して相手は本気をだしていない。

「もらった!!」

プロトタイプハイシェントの攻撃がハイシェントの左肩から一気に左腕を吹き飛ばす。
だが、それこそがリシェルの狙っていたコトであった。

左側を吹き飛ばされたが、右腕で相手を掴み、口で相手の動きを封じる。

「これは一本とられたな」
「くっ」

確かに有利そうに見えるのはリシェルのハイシェントではある。

「相打ち・・・」

アリシアは戦いの結末が見えていた。
お互いの攻撃が撃てばお互いに吹き飛ぶ。
動きを止められたが、攻撃はできるのだ。

「中間を取って、今回はお互いに引こうじゃないか」
「・・・分かったわ・・・」

リシェルは相手の要求を飲むしかなかった。
ハイシェントは掴んだ腕や口を外すと背中を見せることなく、ウロボロスへと戻っていく。
プロトタイプハイシェントも敵軍へと戻り、敵の旗艦はその場から去っていく。

「流石です、リシェル様」

戻ったリシェルを出迎えるジョニカだが、リシェルの表情は思わしくない。

「お世辞はよして、あれは完全に私が負けてたわ」
「ですが・・・」
「あいつは私たちに力を見せにきただけ、こちらの方が上なんだってね」

リシェルは悔しそうに話す。
今回は大人しく引いてくれた、しかし次はこうはいかないだろう。

「リシェルさん、大丈夫・・・ですか?」
「あら、心配してくれるの?ありがとう、大丈夫よ」

アリシアは不安そうにリシェルに話しかける。
みんなには不安がるから、勝ったということにしておく。
けれども、現実はそう甘くはない。

「ふぅ・・・、少し休みます」
「わ、わかりました」

リシェルはそれ以上何もいわずに部屋に戻っていった。
なんとなく気になったアリシアはその後を追った。

「リシェルさん!!」
「あら、どうしたの?」
「なんとなくですけど・・・」

何て言えばいいのかわからなかった。
今は何を言っても同情にしかならないような気がする。

「アリシアちゃんもこうなること、予想していたんじゃない?」
「え、それは・・・」
「いいのよ、本当のことを言ってみて」
「そう・・・です・・・」

アリシアはずっとこうなるような不安を覚えていた。
自分は乗って戦ったことはないけど、何となく分かる。

「護る為に戻ってきたのにね」

自嘲気味に笑うリシェルはもの悲しそうな顔だった。
アリシアにはリシェルにできることは何もない、ただ、黙って傍にいるだけだった。

「ねえ、アリシアちゃん」
「はい?」
「ちょっと付合ってもらえるかしら?」

自分で良ければとアリシアはリシェルの後をついていく。
そこは以前にもやったことのあるシュミレーション室だった。

「どうするんですか?」
「シュミレーションしたいことがあってね、アリシアちゃんに手伝ってもらおうかと思って」
「はぁ・・・」

アリシアは自分にはこんなことしかできない、そう思っていた。
でも、わざわざアリシアではなく、他の人に頼めばいいのでは?と思っていた。

「それじゃあ、この前やったみたいなシュミレーションでいいからやってみて」
「はい」

アリシアは言われたとおりにシュミレーションを開始する。

開始して直ぐに違和感を感じた。
いつもよりも感覚が鮮明になっている感じがした。
鋭い刃のように触れたものを切り裂くような感覚。

「きた!!」

アリシアはいつもの通り動こうとするが、動きが遅いと思ってしまう。
相手の機兵もそうだが、自分の操縦する機兵も遅く感じてしまうのだ。

撃った弾も遅い、しかし敵には命中する。
相手の動きが手に取るように感じ取れる。

「最後!!」

あっという間に全てのシュミレーションの工程を終了する。

「こんなに簡単だったっけ?」
「アリシアちゃんがすごいのよ」

リシェルが答えた。

「え?」
「私の与えた情報を瞬時に理解して、自分のモノにする。それは才能よ」
「あの、どういうことなんですか?」

リシェルの言葉に戸惑いを隠せない。
自分に才能があると急に言われても困るだけであった。

「貴方には私やフリスやアコナにはなかったものを持っているということ」
「私が?」
「そう、最初見たときは確信はなかったけれど、今ならはっきりと言えるわね」

アリシアはそんなことを言われても実感が沸かないし、乗ろうとも思わない。

「貴方が不安に覚えている戦いは全部貴方がどうなるか予測して感知しているから」

言われると確かに自分はこれからの事が予測できた。
見えてはいないけれども感じることができた。

「私がアリシアちゃんの感覚を広域化の役割をしてみたの、結果はさっきの通りね」
「でも・・・」
「無理強いはするつもりはないけれど、考えてもらえる?」

アリシアは自分に特別な才能があると言われてもうれしくはなかった。
確かに昔から勘は良かった、意識もしたことはない。
けれど、その才能を戦いに使わなくてはいけないということが、怖かった。

「ただいま・・・」

力無く帰ってくるアリシア、家には両親が既に帰ってきていた。

「どうしたんだ、元気が無いな」
「何かあったの?」
「ん?なんでもない」

何でも無いと言っても、そんなことが通用する両親ではない。
暗くなっているのが傍目から見ても分かるのだ。
その事が余計に両親を心配にさせた。

「考え事なら、お父さん達が相談に乗るぞ?」
「そうそう、一人で考えても拉致があかないわよ?」

両親の言う言葉はうれしいけれど、アリシアは喋りたくなかった。
自分がリーシェに乗れと命令された訳ではないが、乗ってくれと言われたこと。
戦うということが怖く、戦いたくないと思うこと。
両親はその戦いに身を置いているということを考えると自分だけとも思えない。

「私、リーシェさんに機兵に乗らないかって言われたの」
「リーシェさんが・・・?」
「それで、アリシアはどうしたいの?」

自分の中で答えは全くと言っていいほど出ていない。
戦うのが怖い、それが今のアリシアを支配していた。

「アリシアは無理に戦わなくても大丈夫だからね」

母親の言葉、娘を心配する気持ち。
自分だけ戦わないという訳にもいかないはず。
でも、母親はアリシアに戦わなくてもいいと言う。

「そうだな、子を護るのは親の仕事だからな」

父親もそれに賛同するかのようにうなずく。

「とりあえず、今は休みなさい。学校もしばらく休校みたいよ」

アリシアは重い体をベッドに乗せた。
どうするべきか迷いながら。
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by meruchan0214 | 2007-10-12 19:36 | 守護機兵 ハイシェント2

misson2 怖いもの

あくる日、アリシアはリシェルに呼ばれた。
どうしてなのかは分からなかったが、とりあえず向かうことにする。

「アリシア、来ました」
「どうぞ、入ってください」

相変わらず落ち着いた雰囲気の中でたたずんでいるリシェル。
アリシアは訳も分からないまま椅子に座る。

「ごめんなさいね、急に呼び出したりして」
「いえ、それよりも話って何ですか?}

呼んだ理由が気になるアリシアだが、リシェルは慌てるなとでも言うようにアリシアにお茶を出す。

「ま、これでも飲んで」
「あ、はい」

アリシアは恐る恐るお茶に手を伸ばし一口すする。
今まで味わったことがない、美味しいお茶だった。

「美味しい」
「そうでしょ、そうでしょ」

リシェルは嬉しそうな顔をする、アリシアにとってこの人はまだ良く分からない人だ。
父親や母親はリシェルの事を信頼している、けれどアリシアにとって出会ったばかりでリシェルの事はほとんど知らない。

「さて、じゃあ本題に入りますか」
「はい」

リシェルの顔が真面目な顔つきになった、サングラスをしていて目は見えないが、ジッとアリシアを見つめている。

「こんなこと言うと、あの二人に怒られそうだけど、機兵のパイロットをやってみる気はない?」
「え?」

突然の事に目が点になるアリシア、だがリシェルは本気だった。
アリシアは戦争というモノを目の当たりにして、怖いと思っていた。
自分がそんな事できるはずがないと思っていた。

「わ、私には無理です・・・、そんな怖いこと・・・」
「無理にとは言わないけど、試しにシミュレーターだけ乗ってみない?」
「シミュレーター??」
「所謂模擬戦闘よ、相手を倒しても倒されても問題ないから」

模擬戦闘ならやってもいいかなと思う、命を左右するものではないから。
アリシアが戦争が怖いと思う理由は二つあった。
一つは当然、自分の命の危険があるということ。
そして、もう一つは相手の命を断ってしまうことだ。

死ぬという感覚が分からないからこそ、自分で人の命を断ってしまったときが怖いのだ。
自分では自覚していなくても本心でそう恐怖していたのだ。

「分かりました」

アリシアはシミュレーションだけということを思い、リシェルの後をついていく。

ウロボロスの軍部には様々な設備が整っている。
そして、その一角のトレーニング室。

「ご苦労様、シミュレーター使える?」
「ご苦労様です、はい、いつでも使えますよ」

オペレーターの人に話しかけるリシェル、そして大きな機械のある場所にアリシアは連れてこられた。

「はい、これがシミュレーターです」
「おっきいんですね・・・」
「一機から艦隊戦までシュミレートできるからね、さ、入りましょ」

内部は複雑そうな機械で埋め尽くされており、いくつモノ部屋が並んでいる。
そのうちの一つの部屋にアリシアとリシェルは入った。

「ここに座って」

アリシアは言われたとおりに座ると、リシェルはコンピューターを操作し始める。

「マニュアルは画面上に出るから、一つ一つ教えながらやるわね」
「はい」

基本的な機兵の動かし方が画面に流れる、実際に触って感覚も掴む。
シミュレーターとはいえ、実戦を想定されているだけに、リアルであった。

「それじゃ、CPUとやってみましょうか?」

多少慣れたところでリシェルがアリシアに言った。
慣れてくるとゲームの感覚に近い。
アリシアは少しずつこのシミュレーションが楽しいと思い始めていた。

最初ということもあって、コンピューターのレベルは低く設定してあった。
アリシアはいとも簡単にそれを倒してしまう。

「ふ~ん・・・」

リシェルはアリシアの操縦をただじっと見つめていた。
一通りのプログラムが終わり、アリシアは席をたつ。

「どうだった?」
「シミュレーションは面白いですね」

命のやり取りがないということは気が楽でいい。
アリシアはゲームは好きだったので、こういうことには満足だった。

「そう、興味があったらいつでもきなさい」
「は~い」

リシェルは無理にパイロットに押し進めるつもりはなかった。
しかし、リシェルはアリシアに素質を見いだしていた。

「戦争か・・・」

今は戦闘もなく平穏な時だがそれがいつ崩れるかわからない。
また、戦闘になったら自分の両親やリシェル達はまた戦いに行くだろう。

「でも、戦うのって怖いよ」

死ぬ感覚、殺す感覚、アリシアは分かりたくなかった。
自分は戦うために生まれてきたんじゃない、そう思いたかった。

けれど、現実に今は戦争は始まろうとしている。
自分がどんなに拒否しても、戦いは目前まで迫っていたのだ。

「お父さんも、お母さんもどういう気持ちで戦っているんだろう・・・」

戦うことに怖くはないのか、どうして戦うのか、両親に聞いてみたくなった。
家に帰ると、母親が料理を作っている最中だった。

「おかえり、アリシアもう少しで夕食できるからね」
「うん・・・」

自分の母親は戦いの中に身を置いたというのにも関わらず、いつもとかわらない。

「ねえ、お母さん」
「なに?」
「どうして、戦争で戦うことができるの?」

母親、アコナは唐突に聞かれたことに少し考える。

「あまり深くは考えたことないなあ」
「え、どうして、命のやり取りしてるんだよ?」
「生まれ故郷を守るのは当然でしょ、考える必要ある?」

確かに母親の言うことに一理あった。

「確かに命が関わっている以上、私も戦闘で死ぬかもしれないけれどね」
「だったら、どうして」
「死ぬことよりも、守れなかった方が後悔すると思ったからかな」
「後悔・・・」

母親は昔を思い出すようにしゃべっていた。
懐かしさだけではなく、昔に死んでいった仲間たちのことも思っているのだろうか。

「まぁ、アリシアはそんなこと気にしなくて大丈夫、私たちが絶対に守るから」
「お母さん・・・」

アリシアは自分の母親が何故戦えるのか分かった気がする。
自分には真似できるのだろうか、そんな疑問すら思える。
だけど、やはり命を奪ったり奪われるということは怖いことだった。

「さ、今はご飯にしましょ」

悩んでいるアリシアのことを思ってなのか、わざと明るくする母親。
自分がどうするべきか、何ができるのか。

リシェルに言えばすぐにでもパイロットにはなれるだろう。
訓練も積ませてくれるだろう。

だけど、それ以上の不安がアリシアを行動させずにいた。
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by meruchan0214 | 2007-10-09 20:01 | 守護機兵 ハイシェント2

misson1 新たなる幕開け

ヴェルゼやアースライン、そしてコンピューターノルンの戦いから20年。
人々の記憶から戦争があったということが薄れ掛けている頃。

前戦争の英雄達は各々の役目につき、ここ20年間は平和な時が続いている。
大型生活艦ウロボロスもまた平和な時が続いていた。

「行ってきま~す」
「アリシア、気をつけていきなさいよ」
「分かってま~す」

彼女の名前はアリシア・ルウカ、前戦争のウロボロス軍、フリス・ルウカとアコナ・グルリアとの間に生まれた子供である。
フリスとアコナは戦争終結後、親善大使として、アースライン、ヴェルゼとの間に入り、平和に尽力を尽くしてきた。

「お母さんも心配性なんだから」

ウロボロスに住んでいる人は地球の小さな小国ほど居る。
アリシアもその中の一人だった。

アリシアはウロボロス内にある学校に通っている。
ウロボロス内には一校しか存在しないが、小中高、更には大学、大学院まで付属している。
その敷地は広大でウロボロスの1フロア全て使っている。

「おはよ、アリシア」
「おはよ~」

いつもと変わらない学校生活、平和な時が既に当たり前となっていた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

不意に激しい揺れを感じる。
小惑星にでも追突したのだろうか、ウロボロスは武装を持たない。
しかし、そういった衝突を回避するために、常に周囲にバリアを張っており、少数だが機兵と呼ばれるロボットが警備に当たっている。

「わっ!!」

激しい揺れはそれ一回だったが、辺りがとても騒がしい。
少しすると艦内放送が流れ始める。

「緊急事態です、居住区に居る方は至急各自の家に戻り、待機し直ぐにシェルターへと逃げる準備を始めてください」

緊急事態、訓練は何度かやらされていたが、訓練ではないみたいだった。
アリシアや他の人達は訳も分からず、家へと帰らされた。

「一体何があったんだろう・・・」

アリシアは家に戻るが、人の気配がない。
自宅待機でシェルターに避難ならば、両親も家に居るはずである。

「お父さん達、どうしたんだろう?」

アリシアは家の中を探し回る。
すると、いつもとは違う光景が目に飛び込んできた。

「何・・・これ?」

父親の部屋の一部がドアになっており、そこから先には別の通路がつながっていた。
今まで何度も父親の部屋に入ったことはあるが、これを見たのは初めてだった。

好奇心旺盛なアリシアは『いけないかな?』と思いつつも中に足を踏み入れた。

「ウロボロスのどの辺りなんだろう?」

アリシアは見知らぬ廊下を歩く、緑や一般の建物が並ぶ居住区に比べ、艦の中を実感させる造りになっている。

ダダダダダダ!!

数人の人が廊下を走っていく、凄く慌しいようだ。

「あれって、軍服だよね・・・、前にお父さんとお母さんに見せてもらったことあるや」

両親は元々はウロボロス軍でトップクラスの実力を持つ機兵乗りだ。
アリシアの物心ついたときにはほとんどそういった事には縁はなかったはずだった。

「誰だ!!ここは居住区の人間が入るところじゃないぞ!!」

見つかった、アリシアはビクビクしながら後ろを振り向く。
しかし、アリシアも声をかけた軍人もお互いの顔を見て驚いた。

「お父さん!!」
「アリシア!!」

ほぼ同時に声が出る、父親の部屋の扉は軍部に続いていたのだった。

「どうやってここまで来たんだ?」
「お父さんの部屋に扉が・・・」

アリシアが言うと父親はしまったと言うような顔をした。
自分のミスだと言うことが分かったのだろう。

「フリス!!早くしないと!!って・・・アリシア・・・」

直ぐ後ろから聞こえたのは母親の声、父親も母親も軍服に袖を通している。

「私の部屋の扉から来たらしい、ちゃんと閉まってなかったようだな」
「そうなの・・・、でも今は急がないと・・・」
「ねぇ、緊急事態って何があったの?こんなの初めてだし・・・」

アリシアが聞くと、母親は肩にそっと手を伸ばす。

「大丈夫、何でもないから。直ぐに戻るからね」
「でも・・・」

アリシアは不安で胸がいっぱいだった。
生まれてから初めての出来事、何よりも軍服に身を包んでいる、両親を見るのが怖かった。
優しい言葉をかける母親が直ぐにでもいなくなってしまいそうだった。

「アコナ、フリス!!早くしなよ!!」
「了解、直ぐ行きます」

60台くらいの目つきの鋭い女性、まだまだ元気そうに見える。
着ている服からしてかなりこの中で偉い人に思えた。

「その子は?ここは民間人立ち入り禁止だぞ」
「艦長代理・・・申し訳ないです、私達の娘で・・・」
「そうか・・・、とにかく二人とも急いでいくれ」

それ以上は何も言わず、急ぐフリスとアコナを見送った。
そしてアリシアへと向きを変える。

「あの・・・、何があったんですか?」

恐る恐るアリシアは聞いてみる、その姿は威厳に満ち溢れており、目で見られただけでも圧倒される。

「知りたいと思うなら止めはしないが・・・、今までの生活はできなくなるかもしれないよ?」
「それでも・・・知りたい・・・です」

半分本心で半分は知りたくはなかった。
けれど、両親が何をやっているのか知りたかった、自分だけ知らないというのが許せなかった。

「それじゃあ、ついてきな」

艦長代理の後をついていく、大きな扉を抜けた先は大きなブリッジになっていた。

「ジョニカ艦長代理!!機兵出撃準備整いました!!」
「ようし、迂闊にシールドの範囲外にでるんじゃないよ!!」
「了解!!」
「アコナ、フリス、頼んだよ!!」

艦長代理が声をかけると、画面にアコナとフリス、両親の顔が映し出された。

「了解」
「分かりました」

次々とウロボロスから出撃する機兵。
アリシアは教科書でしか機兵を見たことがない。
その上、この緊迫した状況、ただ事ではないというのは素人でも分かる。

「正体不明機、戦闘エリアに到達します!!」
「相手の正体が分かるまで、深追いはするな!!」

オペレータの声や艦長代理の声が騒々しくなるくらい交錯する。
アリシアの目の前で起きているのは戦争だった。
目の前で花火のように起こる爆発。
どちらかは分からない、だけど今その爆発で人が死んだかもしれないのだ。

「お父さんやお母さんがあの中に・・・」
「大丈夫だ、あの二人は前戦争の英雄だからな」
「英雄・・・?」

軍人だったという事は二人から聞いていたが、英雄とまでは聞いたことはない。
ましてや、教科書には一切その事についてはふれられていない。

「だが、現実に人の命が今散っているのは確かだけどな・・・」

ジョニカ艦長代理は少し悲しそうな顔をするが直ぐに厳しい表情に戻る。

「艦長代理!!今までの機兵のデータに一致するモノがありません!!」
「何だと!?」

オペレーターの声に全員が驚きを隠せなかった。

「ジョニカさん、こいつら機兵とは違うみたいだぞ」
「ええ、似て非なるモノっぽいわ」

ついで入ってくるフリスとアコナの通信、ブリッジには動揺のざわめきが起こる。

「慌てるな、正体不明だとしても倒せない相手ではない!!」

ジョニカ艦長代理の言葉通り倒せない相手ではない。
正体不明と言えども、全く武器が通じないというレベルではないのだ。

「お父さん・・・お母さん・・・」

今のアリシアには二人の無事を祈るしかなかった。
戦局はウロボロス側が優勢だ、少しずつですが押していく。

「戦力的には上か・・・」

ジョニカ艦長代理が呟いたその時だった。

「何かが物凄い速度でやってきます!!」
「直ぐに解析しろ!!」

アリシアは何故かそれが怖いと感じた。
ずっと遠くにいるはずなのに、実際に戦っているはずではないのに。
今やってくる何かが怖いと感じ取った。

「どうした?大丈夫か?」

ジョニカ艦長代理が心配して声をかけてくるが、アリシアの震えは止まらない。

「艦長代理!!ゲイドチームが壊滅状態です!!」
「何だと・・・」
「解析完了、分析結果は・・・ハイシェントです」

辺りが騒然となる、当然といえば当然だ。
ハイシェントと言えば、前戦争でウロボロス軍最強の機兵として活躍した。
それが今敵として前に立っているのだ。

「しかし、こちらに残っているハイシェントとはややデータが違うようですが・・・」
「だが、ハイシェントだということには間違いないんだろう?」
「はい・・・」

ジョニカ艦長代理は明らかに悔しそうな顔をした。
たった一機の機兵の出現によって、一気に劣勢に立たされたのだ。

「敵増援部隊確認!!」
「不味いな・・・、ヴェルゼとアースラインに救援信号を!!」
「了解!!」

20年以上前の機兵とは言え、その圧倒的な戦力は健在だった。
この20年で機兵自体の性能は飛躍的向上した上で尚こちらの機兵よりもスペックが高いのだ。

「艦長代理、私とアコナであれを止める」
「・・・、頼むぞ・・・」

ジョニカ艦長代理は二人に頼むしかなかった。
実際にハイシェントに乗ったことのある人間ならば、対処法も分かるはず。
更にフリスとアコナの操縦技術はウロボロス内でもトップクラスだ。

「お父さん、お母さんダメだよ!!」

アリシアは両親を止める、しかし二人は止まるわけにはいかない。
大きな不安がアリシアを更に震えさせた。

「勝てないよ、あんなのに・・・」
「アリシア・・・?」

ジョニカ艦長代理はアリシアの言葉に疑問を持った。
機兵の事は何も分かっているはずがないのに、出た言葉。
まるで相手がどんな奴なのか感じ取っているみたいであった。

「艦長代理、もう一機来ます!!」
「く、流石にこれ以上は持たせられんぞ・・・」

一機でも危険な機兵が二機になったら手をつけられなくなる。
ジョニカ艦長代理もあせりの表情が浮かぶ。

「!!、通信来ます」
「何?通信回線開け」

通信を開くと、女性の声がブリッジに響く。

「増援が来るから、後5分持ちこたえなさい。アイツは私が何とかする」
「その声は・・・」

戦場に乱入してきたもう一機のハイシェント、それは自分自身と対峙するかのようにハイシェントの前へと姿をあらわした。

「ハイシェントが・・・二機?」
「誰が操縦しているの?」

アコナとフリスは驚きを隠せない。
しかし、お互いが敵同士であるということは直感した。

「フリスさん、アコナ、ここは任せなさい」
「リシェルさん!!」

その言葉に二人は驚きと喜びが混じったような声をあげる。
アリシアももう一機のハイシェントが来たことにより、かなり不安は薄らいでいた。

ハイシェント同士の戦いはほぼ互角、パワーもスピードもどちらも決め手にかけている。
だが、味方にハイシェントが現れたお陰で味方の士気がぐっと上がった。
何よりも乗っている人物がジョニカ艦長代理やフリス、アコナにとって喜ばしい人だった。

「後方から援軍です、アースラインとヴェルゼです!!」
「よし、一気に蹴散らせ!!」

援軍が到着したことに形勢不利とみたのか、正体不明機とハイシェントは戦線を離脱する。

「何とかなったな・・・」

安堵の息をつくジョニカ艦長代理。
アリシアも敵が撤退したことにより、不安は完全に消えていた。

「ハイシェントから再び通信来ます」

先ほどは声だけだったが、今度は映像つきでウロボロスに通信が入った。

「無事だったようね、ジョニカ」
「リシェル様!!」

画面に映った女性は20代前半の女性、リシェルと呼ばれていた。
熟年者達は全員彼女の事を知っているみたいであった。

「ウロボロスに帰還しても大丈夫かしら?積もる話はそれからにしましょう」
「はい!!」

ハイシェントはウロボロスに収納される。
そして、ブリッジにアリシアにフリスやアコナ、ジョニカなどクルー全員が集まっていた。
その前に立っているのはリシェルと呼ばれた女性。

「また、ここに立つ事になるなんてね」
「リシェル様・・・、お帰りをお待ちしてました」
「私はもうここの艦長じゃないよ」

艦長ではないという言葉に驚くアリシア。
どう見てもそんな年齢には見えない。

「ですが、ウロボロスの艦長は貴方しか居ません」
「ジョニカが今までやってきたのでしょう?」
「それは、リシェル様が帰ってくるまでの間で・・・」

あの威厳に満ちた艦長代理があれほどまでに下手に出ているのに驚く。
少しあっただけだが、それほどまでにリシェルという人を尊敬しているのだとアリシアは感じる。

「リシェルさん、受けてあげてください。皆、待ってたんですよ、絶対帰ってくるって」
「そうですよ、皆信じてたんですよ」
「フリスさん、アコナ・・・」

ジョニカ艦長代理以外にもフリスやアコナの言葉に戸惑うリシェル。
しかし、艦長代理やフリス、アコナ以外にもリシェルに戻ってきてほしい人はたくさん居た。

「分かりました。ですが、指揮は今まで通りジョニカが行ってください」
「はい」
「以上です。後でジョニカ、フリスさん、アコナには個人的に話があります。いいですか?」
「分かりました」

リシェルの話が終わると皆は各々に解散する。

「リシェル様の部屋はそのままにしてあります」
「ありがと、じゃあ私の部屋でね」

リシェルはその自分の部屋へと歩いていった。

「ねえ、お父さんあの人どういう人なの・・・?」
「このウロボロスを作った人の一人で艦長だった人、20年前から行方不明だったんだ」
「え、でもどう考えても20年前っていったら子供じゃん」

フリスはその言葉を聞くと顔から笑みがこぼれる。
アコナやジョニカもそれを聞いて少し笑っている。

「あの人は特別だからな」
「特別って・・・?」
「一緒に行けば分かるよ、来るか?」
「うん」

アリシアはアコナ達と一緒にリシェルの部屋へと向かった。

「失礼します」
「どうぞ」

アリシア達が中に入ると、懐かしそうにリシェルが部屋を見ていた。

「本当にあのときのままなのね」
「ええ、そうですよ」
「立ち話じゃなくて、座って話しましょうか」

リシェルはアリシア達を座らせる。

「その子はフリスさんとアコナの?」
「ええ、そうです。アリシア」
「あ、私、アリシア・ルウカって言います」

アリシアが少し硬くなりながら挨拶をすると、リシェルはそれをただにこやかに見ていた。

「よろしくね、アリシアちゃん」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

不思議な雰囲気を纏った女性だと感じた、見た目こそ若いが見た目とは不相応な落ち着き方。
それに自分たちとはどこか違うとアリシアは思った。

「さて、まずは私がここに来た理由から話しましょうか」
「ええ」

リシェルはゆっくりと語りだした。

「私の体は確かに爆発に巻き込まれて失ったわ、それと同時に全て消えるはずだった。でもね、お節介が一人居てね」
「お節介?」
「モイライが私とノルンのバックアップを取っていたのよ、最後の時までのね」

アリシアには何の話をしているか分からないが、モイライは聞いたことがある。
今、アースラインで活躍しているスーパーコンピューター。
これからの人類がどうあるべきかを常に計算し続けていると言う。

「でも、バックアップしてあったなら何故20年も?」
「私はもうここに戻ってくるつもりはなかった、私の役目は終わったはずだった」
「はずだった?」

リシェルの言い方はまだやるべきことが残っていたみたいだった。
しかもそれは想定外であったみたいだ。

「まさか・・・」
「ええ、あなた達も見たでしょ。もう一機のハイシェント」
「あれって一体?」
「順を追って話すわね、まずもう一機のハイシェントの事」

リシェルはフゥと溜息をつき、再び口を開いた。

「私たちがウロボロスを作って、すぐの初めての機兵。プロトタイプのハイシェントなの」
「プロトタイプ?」
「ええ、だけど理論的に余りにも危険だったから。私達は破壊することを決めた。けど、それを良しとしなかった人間が居たの」

今まで以上にはっきりと言う口調。
決意の強さが現れているみたいだ。

「その良しとしなかった人間は、プロトタイプのハイシェントを奪って宇宙に逃げた」
「でも、それって170年も前の話ですよね?」
「そう、私達はそれを追って破壊したはずだったんだけど」
「今になって再び現れたと言うことですね」
「その通り、そしてアレを動かしているのがあの人なら私はそれを止める責任がある」

少し悲しそうな表情をするがすぐに元に戻った。

「あの人がああなったのは私の責任、妻として止めなくてはいけないから」

その言葉にその場に居た全員は驚いた。
話にも驚いたが、結婚していたと言うことにもっと驚いたのだ。

「あら、言ってなかったっけ?」
「初耳ですよ!!」
「まあとにかくね、そういう意味で私は止めるために来たの」

アリシアには分けの分からない話だ。
ただ、リシェルが見た目とは裏腹に凄く年を取っているのが分かった。
聞いている話だとどうもロボットっぽい。

「とりあえず、アリシアちゃんの目が点になってるから。ちゃんと説明しましょうか」
「あ、お、お願いします」

リーシェは今までの経緯・・・、以前の戦争の事を要約して話してくれる。
自分自身が元々人間で記憶などを電気信号に変えて、ロボットの体に移植していること。
ノルンやモイライなどのスーパーコンピュータの事など話してくれた。

「というと、リシェルさんは、今200歳くらい?」
「そうなるかな」
「はぁ~・・・凄いですね」

ある程度説明が終わると、再びリシェルは会話を元に戻す。

「それと、今回現れた敵だけど」
「あれは一体?」
「太陽系ではない所から来ているわ」
「なるほど・・・」
「文明レベルはアッチの方が上、操縦技術は下の中って所らしいわ」
「らしいわって・・・、疑問系なんですね」
「ノルンもそこまでは分からないわよ、初めて見たから」

ノルン、先ほど説明してもらった全人類に対して宣戦布告を行ったコンピューター。
20年前の戦争でリシェルもろとも爆発したはず。

「ノルンも修復したんですね」
「ええ、今は人を裁くつもりはないらしいわよ」
「今は、ですか・・・」
「まあ、ね。でも、味方ならあれほど強力なサポーターはいないけどね」
「そうですね」

敵の敵は仲間といったところだろうか。
正体はこの星間ではなく、更にスケールの大きい話だ。

「もう、何がなんだか・・・、これから戦争がまた始まるって事ですか?」
「そう・・・なるかな、私一人で済む問題なら良かったんだけど・・・」

両親達の懐かしい仲間が戻ってきてくれたことは嬉しいことだと思う。
けど、戦争が始まると言うことにアリシアは大きな不安を抱え始めていた。
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by meruchan0214 | 2007-10-04 21:01 | 守護機兵 ハイシェント2