「ええ!?陽子ちゃんも一緒に連れて行くだって?」
「大丈夫よ、この一週間みっちり特訓したから」 思ったとおりの反応だった 隆泰君にとってみれば、かなり予想外の出来事だったのだろう 「まあ、林さんが大丈夫って言うなら信用しますけど…」 信用するとは口で言ってはいるが、表情は心配そうな顔付きである 彼の優しいところではあるが、心配性すぎるというのも考え物である 「とりあえず、今回の仕事は夕子も一緒に行かせるんで」 「夕子ちゃんが?ということは、あっち系の仕事なのね」 「そうです、だから陽子ちゃんには少しキツイかもしれないです」 あっち系というのは、ゾンビとかスケルトンとか不死種族類の妖である 夕子ちゃんはそれを専門に狩る妖なのだ 陽子ちゃんにとってみれば、ほんとの同族だ 「でも、感傷に浸っていたら俺たちがやられますからね」 「うん、陽子ちゃんにはそうやって教えてあるけど」 今の陽子ちゃんなら、普通の妖とでも互角以上には戦えるだろう でも、感情に流されて敵を倒せないというのは最悪のパターンである だがそれも大切なことなのは事実ではあるのは私も隆泰君も分かっていることではあるが 「俺は仕事が残ってるんで、コレで戻ります」 「ん、分かったわ」 「時間はいつもどおりでお願いします」 そう言うと、隆泰君は歩いて帰っていく 流石に昼間に魔法を使って転移するのはまずいと思ったのだろう 「さて、どうしたものかしら…」 その場で少し腕を組み悩む 「何がどうなっても、陽子ちゃん次第か…」 やはり結論ではそうなってしまうのだ、これだけは言ってもどうしようもない 気持ちの問題である 「乗り越えられなきゃ、これから先やっていくのは無理…か」 とにかく、私はこの事を陽子ちゃんに伝える為に家に戻ることにした
by meruchan0214
| 2006-04-03 17:26
| 妖の調べ
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