体が痛い、全身が針で刺されているようだ
「つっ・・・」 目の前が明るくなってくる 「ここは・・・」 確か私はあいつに追い詰められて、意識を失ったところまでは覚えている 「気付かれましたか?」 隣には夕子ちゃんが座っている 傷を見ていると、大分塞がっているのが分かった 「夕子ちゃんが居るってことは隆泰君が助けて?」 「いえ、実際に助けたのは陽子さんですよ、私達は特になにも」 陽子ちゃんが私を助けた、ついこの間まで、一人は怖いと言っていたのにも関わらずだ 「そっか、陽子ちゃんが着てくれたんだ」 私は少し嬉しかった、別に助けてくれと言ったわけではないが、 最後に思ったことは陽子ちゃんのことだった もしかしたら、それが陽子ちゃんに届いたのかもしれない 「傷口は大分塞ぎましたが、しばらくは安静にしていてくださいね」 傷口は塞がってはいるものの、私を侵した金属の痛みはすぐには取れない 私の唯一にして決定的な弱点である 「ん、動きたくてもこの状態じゃまともに動けないしね」 「後は隆泰さんと陽子さんがやってくれます」 「そうね、あの二人に任せるしかないか」 任せる、この前の陽子ちゃんだったらそんなこと危なっかしくてできないところだ けれど、今の陽子ちゃんなら安心して任せられる、そんな気がする それにもしものことがあっても彼、隆泰君なら陽子ちゃんを守ってくれるだろう そういった安心感が彼にはある 「林さんは、どういたしますか?よろしければ、安全なところまでお守りしますが?」 「ここで、陽子ちゃんを待ってるよ、絶対帰ってくるから」 「ふふ、そうですね」 夕子ちゃんにも笑みがこぼれる、きっと私もいま笑っているだろう 「もしも妖がきたら、私が何とかいたしますのでご安心くださいね」 「ありがとう」 私達は陽子ちゃん達の帰りを待つ きっと、いや絶対に帰ってくる もう、彼女は半人前じゃない、一人前なんだから
by meruchan0214
| 2006-04-13 17:01
| 妖の調べ
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