人気ブログランキング | 話題のタグを見る

b4、海だ、空だ、海水浴だ!! 3

海岸線に日が沈む頃、旅館では楽しい夕食の時間が迫っていた

「林さん、夕食はどんなのがでるんでしょかね?」
「ん~やっぱり海の幸とかじゃないのかなあ」

林と陽子はわくわくしながら夕食のある間へと向かった

ワイワイ、ガヤガヤ

そこにはすでに人・・・というよりは妖の皆が集まっていた
全員が全員妖と言うわけではないが、ほとんどが妖である

「林さん、陽子さん、こちらです」

夕子が林と陽子を呼ぶ声がする
二人は呼ばれるがままに声の方向へと向かった

「本日はいかがでしたか?」
「うん、久しぶりに楽しかったよ」
「そうね、羽を伸ばせたって感じかしら」

いつもと違ってゆったりとした気分、本当に遊んでいたといった感じである
座席に座ってしばらく待つと、料理が運ばれてくる

「うわぁ」

出てきたものは、どれもこれも高級食材と呼ばれるものばかりであった

「すごぉい、これ大トロだあ、一度食べてみたかったんだよね~」

貧乏性丸出しの陽子

「こら、すこし落ち着きなさい」

はしゃいでいる陽子を止める林
だが、そんな林も少し嬉しそうであった

「毎年、こんなことやってるんですか?」
「そうみたいですよ、私も一昨年が初めてだったのですが、もうずっとやってるみたいです」

すると、部屋の奥のステージに隆泰が上がる

「えー本日はお集まりいただきましてありがとうございました。今日明日とここいらは全部貸しきってあるのでどうかごゆっくりお楽しみください」

すると、周りから口笛やらなにやらがとんでくる

「じゃあ、料理が整いましたのでこれから宴会を始めたいと思います!!」

「かんぱーい!!」

それの合図と共にみんな思い思いに食事を食べ始める

「んふ、これおいし~」
「陽子ちゃん、これもおいしいわよ」

陽子と林は食事に夢中である

「や、二人とも食べてる?」
「あ、隆泰さん」

隆泰はビールのビンを持ってお酌しまわっているようだ

「さ、林さんも一杯どうですか?」
「あ、どうも」

林のグラスにビールが注がれる
泡がこぼれそうだったのか林は口をつけ少しビールを飲む

「陽子ちゃんは高校生だから、ダメだね」
「えー、今日くらいはいいじゃないですか~、無礼講ですよ~」

陽子はかわいくねだってみるが、隆泰は笑っているだけだった

「未成年に飲ますとちょっとうるさい人が隣に居るからね、ダメだよ」

隆泰が言った隣では夕子が陽子のところをジーッとみていた

「陽子さん、ダメなものはダメですからね」

しっかりと釘を刺す、こういうときにしっかり者は面倒である

「たかやすぅ~、なに、してるの~~~」

向こうの方で隆泰を呼ぶ声がする

「っと、そろそろ行かないとうるさくなるな…んじゃ、楽しんでってくれよ~」

隆泰は手を振りながら去っていく

「こういうのもなんだか楽しいわねえ~」
「そうですね~」

二人は共に相槌を打つ

「で、陽子さん、お酒に手は伸ばさないでください!!」
「うっ・・・」

陽子はこっそりとお酒を飲もうとしたが、夕子はしっかりとそれを見張っていた

そんな、楽しい一夜はずっと続くかようにも思えた

だけど夢はいつか覚めるもの

これが終わったらまた彼らは元の世界へと戻らなくてはならないのだ

ただ、今はこの時を楽しむべき

誰もがそう思っていた
by meruchan0214 | 2006-04-13 22:44 | 妖の調べ ~番外編~


<< カナシミノウタ登場人物 26、成長とは >>