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4夜、歓迎

指定された夜の九時、辺りのお店では店仕舞いを始める頃
真は再びリトルガーデンへとやってきていた

「よし、いくぞ」

真が中に入ると、店内は掃除をしている店員でテンヤワンヤしていた

「あ、来てくれたね、もう少し待ってもらえる?」
「はい」

よく見ると、たくさん人が居るように見えるが、同じ顔が何人も居ることに気付いた
違う顔だけを並べると実際は3~4人しか居ない様に思える

「お待たせ、じゃあこっちに来てくれるかな?」

隆泰は事務所まで真を案内する

「うし、んじゃあ今扉から外にでないでくれよ?」

隆泰は机に設置されたスイッチを押す

グゴゴゴゴゴゴゴ

部屋全体が音を立てて動いている
どうやら地下に向かって移動しているらしい

チーン

エレベータが下についたような音が鳴る

「ここが俺達の本当の事務所」

扉を開けると、辺りには最新のコンピュータや機械が辺り一面広がっている
だが、それだけで機械的というわけではなく、どことなく家庭的な装飾が施されている

「お~い、みんな集まってくれ」

隆泰が声をかけると、ゾロゾロと人が集まってきた
全部で8人といったところだ

「今日から俺達の仲間になる、篠原 真君だ、みんなよろしくな」

隆泰はまず皆に真を紹介する

「へぇ~、このこが偶然見つけてきた適合者?」
「偶然と言うのも神様のお導きですわ」
「ひょんなことからだけど、よろしくね」
「よろしく・・・な」

周りからもみくちゃにされる
だが、真は悪い気はしなかった、むしろこんなに歓迎されていたのが嬉しかった

「はいはい、みんな一人づついこうな」

隆泰がみんなを制すると、みんなそれぞれ一人ずつ自己紹介をしてくれた

「私の名前は言わなくても良いよね?主に実働が担当だよ」

最後は沖原千夏で自己紹介が終わる

「これからよろしくお願いします」

真は改めてみんなに頭を下げる
自分もこの中の一員になった、そう思うと少し心が弾んだ

「さてと、まずこの仕事をするにあたって、基礎体力が必要なんだが」

隆泰は真に制服を手渡す

ズゥゥゥゥン!!

だが、あまりに重かったせいか、真は制服を落としてしまう

「これ・・・、何キロあるんですか?」
「制服で20キロある、ちなみに俺が着てるのは60キロ」

真は一瞬冷や汗をかいた、こんなものを着て動けるのだろうか、
だが、隆泰は60キロという制服を着ていても、平気な顔をしている

「あの・・・、つかぬことをお聞きしますが、他の皆さんの重さは?」
「私は80キロ、多分みんなの中で一番重いよ」

最初に答えてくれたのは、フロアマネージャーだという麻生恵さん、
80キロという途方もない重さには真の開いた口が塞がらなかった

「もちろんだけど、まずはこれを着て普通に動けてから本格的にスタートだから」

選択を誤ったか、真はそう思ったが、確かにあれだけの化け物と戦うのだから
これくらいは最低でもできないということには納得した

「そんなに焦らすつもりはないからさ、ゆっくりやりなよ」
「分かりました・・・」

真は自分でこの仕事ができるのか不安になってきた
だが、一度入ってしまった以上やりぬくべきだと真は思った

「隆泰はねえ、これ着てまともに動けるのに1ヶ月かかったから気にする必要ないよ」
「うるさいなあ、どうせこれまでのメンバーで一番遅かったよ」

恵が隆泰を茶化す、だが、真にとって店長が一番遅かったと聞くと自分でも出来る気がしてきた

「夕子は元々この条件はパスしてたしな」
「はい」

真宮夕子さん、見た目からしてキリシタン、自己紹介では天使と言っていたが
真はにわかに信じられなかった

「私は元々妖ですからね、それでも鍛錬のつもりでつけさせていただいてますが」

妖、真を襲ったのも妖、だが良い妖も居るということも教わった
夕子もそうだし、他にも知り合いの妖が何人も居るらしい

「まあ、少しずつ慣れていけばいいさ、適合者っていうのが一番大事だから」
「はい」
「よし、じゃあ本格的な修行はおいおい説明するから、今日はパッとやろう」

隆泰の一言でみんな待ってましたというように、それぞれおやつやら飲み物やらを持ってくる

そして、真の歓迎会が始まったのだ
by meruchan0214 | 2006-05-06 22:21 | LittleGarden


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