8夜、変化

夕焼けが山の向こうに沈み、辺りに暗闇が包まれる頃
真達は地下の下水前まで来ていた

「こっちだ」

隆泰の手招きに後をついてくる真と千夏

「うぅ、下水って臭いんだろうな・・・」

千夏は仕事云々よりも、下水に行くというのが嫌みたいだ
だが、真は初仕事と言うこともあり、高鳴る心臓を押さえるのに必死だった

「真君、いつもどおりやれば、絶対に大丈夫だからな」
「は、はい!!」

真はドキマギしながら後をついていく

「ついたぞ」

ついた先は小奇麗な下水施設
イメージとは全然違う、かなり綺麗にされていた

「ふぇ、ここなの?」
「そうだ、安心したろ」

素っ頓狂な声を出した千夏、イメージとは全然違ったらしい

「んじゃ、さっさと終わらせようよ」

急にやる気になる千夏、汚くなければどうでもいいらしい

「ほら、真君もさっさといこ」
「あ、う、うん」

千夏に言われ慌てて先に進む真

カツーンカツーン

誰も居ない施設の中で足音だけが妙に鳴り響く

「さて、お出ましだぞ」

隆泰が言うと、辺りから水が集まってくる

ズズズズズ

無色透明とはほど遠い、どす黒い緑色をしたそれはゆっくりと動き出す
でかさだけでいうならば、人間の数倍はある

「こ、こんなのと戦うんですか?」
「ああ、そうだ、準備はいいな?二人とも!!」

隆泰の口調が少し変わる

「真君、俺達がフォローするから、君が戦うんだ」
「え、あ。は、はい!!」

真は隆泰に言われるまま前に出る

『本当に大丈夫なのかな・・・』

心の中で不安になるが、もうやるしかない

ズズズズズズズ

ゆっくりと緑色をしたそれはこちらへと向かってくる

真はは隆泰から受け取った赤い宝石に祈りを込める

パアァァァァァ

赤い光が辺りを照らすとそれは一振りの剣になった

「うし、じゃあ、しっかりやれよ!!」

隆泰の声を受けながら緑色の粘体に切りかかる

ブシュウゥゥ

真が切りつけたところから、緑色の体液が噴出してくる

「うわっと」

真はそれをスレスレのところでかわした

ジュウウウウウ

体液が床につくと凄い煙を発する

「溶解液とかっていうやつ・・・?」

真は自分に当たったらと思うと、嫌な想像が頭にかけ巡った

「大丈夫、私達がちゃんと助けてあげるから」
「う、お願いします」

真は再び粘体の体へと切りかかりにいった

ブシュウウウウウ

切りつけるたびに体液を噴出する、緑色の粘体
何度か危ない場面はあったものの、隆泰と千夏の絶妙なフォローにより難を逃れる

「こいつ、だんだん小さくなっていっている?」

最初に切りつけた時とは大分小さくなっていた

「後少しだ、がんばれよ」
「はい!!」

真は何度も何度も切りつける

ブシュウウウウウウウウウウウウ

そして、ついには片足で踏み潰せるくらいまで粘体は小さくなった

「ほい、ご苦労さん」

隆泰が真に近づいてきて、止めの一撃を加える

ジュワ

ほとんど残っていなかったそれは完全に蒸発し、消滅した

「お疲れさん、どうだった?」
「あ、なんか無我夢中で・・・」
「そかそか、ま、最初はみんなそんなもんだよ」

隆泰は真の方を叩きながら笑う

「初めてにしてはかなり上出来だったよ」

千夏も真を褒めている

「そ、そうかな・・・」

素直に褒められて、顔が赤くなる真

「うんうん、まあ少しずつ慣れていけばいいさ」

こうして真の初仕事は終わった
自分ひとりだけの力ではないが、妖を倒した時の感触
まるでファンタジーの世界へと迷い込んでしまったような感じ

真は今改めてこの世界へと興味をそそぐこととなった
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by meruchan0214 | 2006-05-22 19:08 | LittleGarden


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