11夜 事実

晴れた日曜日、真は朝から仕事をするということで
オープン前に店に着くよう家を出ていた

「おはようございますー」

真がリトルガーデンへとやってきた
いつもどおり、いつもの時間、それは何一つ変わらないことであった

「ああ、おはよ」
「おはよ~、真君」

真が中に入ると、隆泰と恵が料理の打ち合わせをしていた

「ん~、じゃあこれでいってみるか」
「了解、味付けはこのままでいいのね?」
「ああ、それでいいよ」

机の上には所狭しと料理が置かれている

「おいしそうですね」
「ん、食べてみるか?」
「いいんですか?」

真は隆泰に言われるまま、一つ料理を食べてみる
おいしい、確かにおいしいが懐かしいものを感じる
そう、死んだ父親が良く作ってくれていたものに味が似ているのだ

「前の店長直伝の料理を改良してみたんだが、どうだ?」
「いやぁ、おいしいですよ」

何でこんなにも懐かしいのかが分からなかったが、
とりあえず真はおいしいとだけ伝えることにしていた

「そかそか、なら安心だ」

カランカラーン

店の扉が開く、まだ開店の時間ではない

「僕が行ってきますね」

真は入り口に行き声をかける

「すいません・・・まだ開店・・・って、母さん!?」

やってきたのは真の母親だった

「どうしたんだ?」

隆泰は驚いた声をあげた真が気になったのかやってきた

「あら美也子さん、どうしたんですか?」
「え!?」

真は更に驚いた、隆泰と自分の母親が知り合いだったのだ

「久しぶりね、隆泰君、真が世話になってるようで」
「え???」

隆泰も急に言われて、少し事情が飲み込めなかったようだ

「あ~、そういうことなんですか・・・」
「そういうことなのよ」

真の分からないところで話が進んでいる

「あの~・・・どういった話で・・・?」
「ん~・・・、まあとりあえず、美也子さんも上がってください、恵も居ますから」
「それじゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」

隆泰は真の母親、美也子を中へと上げる
真はチンプンカンプンのまま隆泰の後をついていく

「あ、美也子さん、お久しぶりです!!」
「お久しぶり、恵ちゃん」

敬語を使う恵は真は始めてみた
それよりも、何故自分の母親がここの人たちの知り合いなのかが分からなかった

「苗字が違ったから、全然気付かなかったですよ」
「あの人が死んでから、昔の姓に戻しちゃったからね」
「そうなんですか」

隆泰と美也子の会話が弾んでいる

「あの・・・、どういう状況なんですか・・・?」
「美也子さん、全部話しちゃってもいいですか?」
「そうね、そろそろ全部知っておいてもいいと思うから」

すると、隆泰は急に真面目な顔付きになった

「分かったと思うけど、美也子さん、つまり君のお母さんは以前ここで働いてたんだ」
「はあ」
「それで、前の店長が君のお父さん、夫婦でここの仕事をやっていたんだ」

真は初耳だった、父親はただのサラリーマンだとばかり思っていた
母親もこの仕事について何も言わなかったし
ここでバイトをすることになったときも、黙って了承してくれていた

「この界隈では、二人にできないことはないとまで言われていた名コンビだった」
「いやだわ、恥ずかしい」

美也子はホホホと笑ってみせる

「それじゃあ、僕のお父さんが事故で死んだっていうのも?」
「死んだのは事故が原因じゃあない、ある事件がきっかけでね・・・」

隆泰の顔が暗くなる、何か後ろめたいことでもあるかのようだった

「俺を助ける為に命を落としたんだ・・・」

真はその言葉を聞いて声が出なかった

だが、うっすらと覚えている父、力強かった父
父親は困っている人を見捨ててはおけない人であった

だからこそ、隆泰を助けたのだろう

「どういった・・・事件だったんですか・・・?」
「少し長くなるけど・・・いいか?」

隆泰は真の目をじっと見つめる

「はい・・・」

真は確かめずにはいられなかった、
優しかった父の最期を、どうして自分がこの世界に興味をもったのかを
そして、隆泰からそっとそれが語られ始めた
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by meruchan0214 | 2006-05-31 10:08 | LittleGarden


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