外伝5夜 嫉妬

紅葉と楓が隆泰の家に居候を始めた
最初は戸惑っていた二人であったが、1週間ほどで慣れてきた

「隆泰さん、今日は何時頃にお帰りになりますか?」
「あ~、20時くらいになると思います」
「それでは、ご飯作って待ってますね」

傍から見れば紅葉と隆泰は夫婦のようでもあった

「お兄ちゃん~、帰ってきたら一緒に遊んでね」
「ああ、わかってるよ」

隆泰はいつもの通り、お店へと向かった

「おはようございます~」
「あ、おはよ~」

いつもと変わらない今まで通りのこと
喫茶店の仕事もいつもどおりだ

「隆泰って、今妖を保護してるんだって?」
「保護してるってのもちょっと違うけど、まあ、一緒には居るね」
「ふ~ん」

どことなくつまらなそうな表情をする恵

「ん、どうしたん」
「なんでもないよ」

恵は怒った様子でどこかに行ってしまう
隆泰は何で恵が怒っているのかよく分からなかった

「隆泰君、あなたにお客さんがきてるわよ」
「え、誰だろ?」

美也子さんに呼ばれ隆泰は店の方へと出て行く
そこには紅葉の姿があった

「隆泰さん、お弁当お忘れでしたよ」
「あ、すいません・・・届けてもらっちゃって」
「いいんですよ、これくらいそれじゃあ失礼しますね」

隆泰がお弁当を受け取ると美也子が横でにやけた顔で笑っていた

「美人さんじゃないのさ~」

つんつんと隆泰をつつく美也子
明らかに楽しんでいる顔であった

「別にそういう意味でウチに居候させてるわけじゃ・・・」
「ふふふ、まあ頑張りなさいね」

美也子は茶化すだけ茶化すと事務所の奥へと入っていった
すると、一筋の殺気が隆泰に向かっているのを感じた

「この店の中で!?」

隆泰が振り向くとすごい形相をした恵が睨んでいた

「恵・・・?」

そのままプイッと何処かに行ってしまう恵
なんとなく理由が分かるだけに声もかけづらかった

「まいったな・・・、ああなった恵に何言っても無駄だしなあ」

本当は隆泰は恵の事が気になっていた
紅葉のことは好きというよりは母親という感覚がしていたのだ

「とにかく、落ち着くまで待つか・・・」

諦めたようにため息をつく隆泰
一方、恵はというと完全に頭に血が昇っていた

「隆泰のバカ、バカ!!」

物に八つ当たりする恵には誰もが近寄りがたい雰囲気をかもし出している

「あら、恵ちゃん、荒れてるわね」

美也子が恵に声をかけると今度は美也子に泣きつき始めた

「うわ~ん、美也子さ~ん」
「よしよし、あんまり気にする必要ないじゃない」
「だって、あの人、私より綺麗だし、料理とかできそうだし、大人の人だし・・・」

隆泰と同棲しているだけでなく、お弁当を持ってくるという場面を見せられた
完全に恵は負けたと思っているのだ

「ほら、隆泰君だって優しいから本当に守る為だけに一緒にいるだけかもよ」
「そんなことないですよ!!お弁当もらったときの隆泰の顔が見たこともない顔だったもん」

かんしゃくを起こしている恵を一生懸命なだめる美也子
お互い鈍いというか、自分の事となると気づきづらいのかもしれない

美也子はお互いが惹かれあっているのは知っていたし
隆泰と紅葉の話し方は恋人というよりは親子という感じだった

「大丈夫だって、恵ちゃんだって十分魅力的だから」
「うぅ、本当ですか~?」

だいぶ落ち着いてきた恵だが、またああいう場面があったら今度は暴れだしそうだ

「これは隆泰君にも言ったほうがいいわね・・・」

美也子は恵に聞こえないような声で呟いた
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by meruchan0214 | 2006-08-07 21:50 | リトルガーデン外伝


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