封魔烈片5

自分が強くなっていくというのはうれしかった
それを実感するときが一番嬉しかった

修行は無駄ではない、自分の中に積み重ねていくものなのだ

「ルピナは今までずっとこんな事をしてたのか?」
「まあね、私の場合はもっと酷かったけど」

健吾はあれ以上の修行をルピナがやっていたと思うとゾッとする
才能があってもやはりそれに見合った事をしなければ、身にはならないのだ

「肉体の修行もいかに大事か分かったでしょ」
「ああ、十二分に思い知らされたよ」

お互いが顔を見合わせて笑う
修行にも慣れてきたというせいもあるかもしれない
ただ、今は召喚者と式神としてではなく仲間と思えるようにもなってきた

「なあ、何でルピナは邪神の娘なんだ?」
「ん?パパもママもそう言われてるからね」
「でも、こんなにやさしいじゃないか」

修行などの厳しさや接してくれる態度は邪神とは思えない
少なくとも邪な気配は微塵も感じなかった

「さあね、人間の言う事だから、世の中にはそういうことは多いと思うよ」

確かに見方を変えれば、良い人も悪い人に悪い人は良い人になりうる可能性だってある
ルピナの親がなんであれ、ルピナはやさしい人だと信じられる

「パパもママもお互いに戦ったとこあるって言ってたし、結婚してるわけでもないし」
「ええ、一体どういう関係?」
「今は良いライバルみたいな関係だって、ママは笑いながら話してた」

異世界の事情は複雑に思えてくる
健吾が思っているよりもずっとずっと奥が深い

「でも、私、パパもママも大好きだよ、昔はいろいろあったみたいだけど」
「へぇ、でも邪神なんだろ」
「まぁね、そこは否定しないよ」

素直に笑うルピナはいつもと違って凄く可愛く思える
こうして笑ってさえいれば見かけ同様の年齢なのだ
だが、それを普段それを感じさせない彼女、どんな境遇を培ってきたのか気になる

「ま、そろそろ帰るとするかな」
「もう、帰るのか?」
「だって、もう私がいなくても平気でしょ、累ちゃんもいるんだし」

そうだ、元々彼女は健吾が一人でもやっていけるまでと言っていた
彼女が帰ると言い出したということは、健吾が一人前になった証でもあった

「色々、楽しかったよ」

明るく答えるルピナだが、その言葉はどこか寂しそうだった

「また会えるといいね」

彼女の最後の言葉、静かにルピナは空へと消えていった

「ああ、また会えるさ」

健吾は空に誓った、今度出会うときはもっと修行して見返してみせるとも思った
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by meruchan0214 | 2006-09-14 15:59 | 短編小説


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