魔族が村を襲ったことは、あっという間にグラディア王国内へ広まった
だが、グラディアには最強に騎士団たちがいる、その事が魔族という脅威をまだそこまで実感させるということはなかった 「最強の騎士団か・・・、本当にそんな実感はないんだけどな」 「ははは、確かになここ何十年と戦争は起きていないからな」 アーツと先輩の騎士が話している 確かに平和であれば、騎士団の出る幕はない だが、日々の鍛錬はかかしたことはない、自分でも実力があると信じている 「そういえば、例の村の子供達はどうなったんだ?」 「とりあえず、子供達は修道院で預かるそうです、ヒュリスさん達やハクガさんは城の援助を受けて、城下町で暮らすことになってますね」 「そうか、とにかく全滅なんてことがなかったことが、不幸中の幸いだな」 「まったくです・・・」 村を襲った魔族、全滅しなかっただけましとはいえ、危険がグラディアまで迫っていることには変わりは無かった 「それでな、今度魔族の討伐隊を組むことになったらしい」 「そうでしょうね、目の前の脅威は払わないといけませんから」 魔族討伐隊、村を滅ぼした魔族を許すわけには行かない 王国としては当然の判断であろう 「俺は選ばれることは確定しているが、アーツはどうだ?」 「さあ、父上からは何も聞いてませんが・・・」 「そうか・・・、まあ団長の思うことは分かるよ」 「でも、僕も騎士団の一員です」 「そうだな、もしかしたら団長は自分達がいない間にここを任せるという意味で残しておくのかもしれないぞ」 確かに騎士団がいない間に魔族に襲われたらひとたまりも無い だが、アーツの父親すなわち近衛騎士団団長ではアーツには何も言っていない 「う~ん、色々考えるところですね・・・」 「ははは、大丈夫だって団長がお前の事を言わないときはないからな」 先輩の騎士はアーツの肩をポンポンと叩く だが、どこかアーツは煮え切らないものも実際にはあった 「こんにちは~」 「あ、マヤ、どうしたんだ?」 「そろそろ、お食事の時間ですよ」 いつの間にかあっという間に時間が過ぎていた 討伐隊の事が気になるが自分が選ばれないのならばしょうがない 全力でここを守るだけ、そう思おうとしていた 「アーツ、どうしたの?」 「いや、なんでもないさ」 自分の実力を試してみたい 魔族が許せないのは確かに許せない けれど、自分の力を試してみたい、そんな気持ちがどこかにあった それがアーツの気持ちを煮え切らないことにアーツは気づいていなかった
by meruchan0214
| 2006-09-18 11:19
| 架空世界[フリトアネイス]
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