タキルの合図があり、皆が一同に集まった
そこにはティリカが小さな魔獣を二匹連れていた 「これが森に居たというやつか?」 「いや、それは子供達、親は息を引き取ったよ」 タキルの言い回しでどういうことかは大体理解できる ようするに、自分達の身を守っていただけというわけだ 「そうか」 「おや、ハクガは魔獣を倒すとは思わないのか?」 「そんな小さな魔獣を殺したところで何の自慢にもならん」 というのは本心ではない、ティリカの気持ちを汲み取っているだけであった こういう風に言葉が出てくるのは小さなときからの癖であり、性格である これからもずっと続けていくだろう 「みんな、色々考えてるんだなあ」 「ん、どうしたアーツ?」 アーツが溜息をついた、今までの自信がなくなっているようであった 「いや、なんでもないよ」 アーツがそういうなら、これ以上言っても意味がないと判断したハクガは特に何も言わない 「よし、それじゃあ戻ろうか」 タキルの言葉に誰も反論はなく、グラディアへと戻った 仕事を終えたハクガは皆が待つ孤児院へと足を運ぶ 「あ、ハクガ兄ちゃんお帰り~」 「おみやげは~?」 ハクガが帰ってくるなり、ハクガの周りに集まる子供達 「分かった、分かった順番にだ」 ハクガは集まった子供達を制止させ、自分の荷物を片付ける 「あ、おかえり、ハクガ」 ユミルもハクガに帰ってきた事に気づいたのか、奥からやってきた 「どうだったのお仕事は?」 「まあ、俺にかかればどうってことはなかったが」 「ふぅん、今度ついていってみようかなあ」 「やめておけ、足手まといだ」 「一応、心配してくれてるんだ」 このごろずっと一緒に居たせいか、ハクガが考えている事を見透かされている気がする 危険な目にあわせたくないから突き放した言い方をするが、ユミルには効果がなかった 「大丈夫だって、これでも私魔法は得意なんだから」 ドンと胸をはるユミル 「勝手にしろ」 諦めたのか好きにさせるハクガ 子供達はそれを面白そうに見物していた 「だが、まだまだだ、あいつに勝つには・・・」 村を襲ったあの魔族の事を考える あいつの強さは別格であった、今のままではあいつに勝つ事はできない 「ハクガ兄ちゃん、怖い顔してどうしたの?」 子供達が心配そうにハクガを覗き込んでいた それにハッとしたハクガは慌てて普段通りの態度に戻した 村の敵は絶対に取る、そう心に決めているのだ だが、他の人達まで巻き込むわけには言わない 口に決して出すわけではない、だが絶対に果たす為に決めた事なのだ
by meruchan0214
| 2006-11-08 23:39
| 架空世界[フリトアネイス]
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