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4陣 意外な場所 NATS

竜哉は棗に連れられて、自衛隊の基地までやってきた
そこはやはり非戦争国とはいえ、軍隊色が強い場所であった

棗のVACGが収容され、竜哉の乗っていたハイシェントも一緒に収容される
外に出てきた竜哉を待っていたのは、軍服をきた棗と自衛隊員だった

「とりあえず、助けてくれた事はありがとう、でもどうして貴方がVACGに乗っていたのか、説明してもらいますよ」

棗達に連れられて、部屋まで連れていかれる
ただ、扱いは酷いものではなかったが堅苦しさを感じる
ここの空気がそう思えるのかもしれない

「さ、座って」

自衛隊の事務所に連れてこられた竜哉
棗以外にも大分階級が上に見える人間がいる
見た目こそやさしそうな顔をしているが、その奥からは言いえぬ威厳みたいなものがあった

「室長、この方が先ほどのVACGの搭乗者です」
「ふむ」

観察するように竜哉を見ている、一通り見終わった後に室長と呼ばれた人間が口を開く

「君がVACGを動かして、棗を助けてくれたそうだね」
「は、はい」
「VACGの技術はまだ試作的な段階で我々以外に所有していないはずだが、君はあれをどこで手に入れたのかね?」

言い方や声こそ優しそうに話しているが、その言葉は突き刺さるような言葉であった
圧倒的な威圧感によって、押されているそんな感じである

「呼ばれたんですよ、それに」
「呼ばれた?VACGが君を呼んだというのかね?」
「はい、声の場所に行かなくてはいけないと思ったら、あれがありました」

事実ではあるが、信じてくれるかわからない
声が聞こえたというところで到底信じてくれるかわからないだろう

「ふむ、棗はどう思う?」
「嘘ではないと思います、変化が見られませんから」
「なるほど、我々以外にも精神を力に換える研究がされていたということか」

室長が言っていることは何か何だかわからないが、信じるらしい
こんな非科学的なことをあっさり信じている人がいるとは思わなかった

「でも、あれ、ハイシェントは洞窟の中に埋まっていましたよ」
「埋まっていた・・・?」

竜哉の事に興味を惹かれたように室長は言葉を発する

「室長、どうしますか?」
「そうだな、彼の言う事は信じる信じないにしてもだ、あの竜型のVACGは預からせてもらってもいいかね?」
「え、ええ、まあ自分の家にも置くことができないので」
「ありがとう、家までは棗に送らせよう」

室長はにっこりと笑うがその裏にはなにかありそうに思えてならない

「それじゃ、ついてきて」

棗に言われるがままに竜哉は後をついていく
幾重の通路を歩いていくと次第に外が見えてくる

「ここは・・・学校・・・?」
「そ、ビックリした?」

外にでるとそこは学校の目の前であった
通路は普段は隠されているようで、棗と竜哉が外に出ると隠されてしまう

「それじゃあ、家まで送るね」
「あ、ああ」

棗は竜哉を連れて、歩き出す

「棗さん」
「ん?」
「VACGって一体何なんだ?」

はっきりいって、ハイシェントに乗ったのは偶然でしかない
VACGとか言われても何が何だかさっぱりである

「DEPSに対抗するために作られた、人型汎用兵器、私たちの精神力を力に換える機構を備えたモノの事」
「精神力を力に・・・?」

そんな非科学的な事にいまいち実感が沸かない

「でも力に換えるっていっても並の精神力じゃあだめだけどね」

棗は笑いながら喋る、どこか嬉しそうな感じであった

「私以外にも身近に動かせる人がいるなんて思わなかった」

驚いたというよりは嬉しいという表現
自分以外にも仲間がいると感じたのであろう

「棗さんは何であれに乗っているんだ?」
「超能力って信じてる?」
「超能力、いやまあ、うん」
「私ね小さい頃から遠くのものを操れたり、火や氷を操れたりできるのね」
「そ、そう」

にわかに信じがたい話ではあるが、ハイシェントとか見てしまった手前完全には否定できなかった

「それを皆の為に役立てたらって思って、VACGを使うには超能力を使うくらい同じ精神力が必要になるから」
「でも、俺はそんなこと一切できないぞ」
「竜哉君は内在的に精神力が高いのよ多分、表面にでなかっただけで」

ふぅんと竜哉は軽く言いながら歩く
そうこうするうちに、竜哉の家の前までやってきた

「それじゃ、また明日学校でね」
「あ、ああ」

ハイシェントに乗った事で変わり始めた自分
分からない事だらけだが時間は確実に進んでいた
by meruchan0214 | 2006-11-13 15:36 | 竜の翼 ハイシェント


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