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16輪 精進

仕事を終えて戻ってきたアーツ、今は自分自身の過信していた部分を恥じていた
タキルやハクガはどんな目的であれ、信念を持って戦っている
しかし、自分は自分の力が試したい、自分は特別だと信じていた

「自分が馬鹿みたいだな・・・」

穴があったら入りたいとはこういうような気持ちを言うのだろう
挙句にヒリウに助けられてどうしようもない恥であった

「どうしたの、アーツ?」

マヤが心配そうに話しかけてきた、表には出していないつもりであったが、知らず知らずのうちに出てしまっていたのだろう

「自分が未熟だって事を思い知らされたのさ」
「でも、アーツは騎士団の中ではトップクラスの実力じゃない」

マヤは慰めてくれているのはわかる、確かに騎士団の中の模擬戦闘ではほぼ負けなしである
だが、いざ実戦となると自分は相手に振り回されていただけであった

「まだまだ、だよな・・・」
「アーツなら大丈夫ですよ、才能がある、私には分かりますから」

マヤの言葉は温かかった、それに逃げてはいけないとは分かっている
だが、今の自分には何よりの励ましにもなった

「ありがとう」
「いえ、そんな」

アーツのちょっとした感謝の言葉にマヤは顔を赤らめる

「それじゃあ、私は教会に行きますので」
「ああ、分かったよ」

マヤはいそいそと教会の方へと歩いていった
それを見送ったアーツは先ほどまでの悩みは消えていた

「そうだよな、これからだよ・・・これから・・・」

まだまだ自分は修行中なのだ、今は慣れていなくてもこれから慣れていけばいい
失敗は自分を積み上げる糧となる

「よし、また、がんばって特訓だ!!」

アーツは気分を新たに近衛騎士団の駐留場まで戻っていった
まだ、自分は始まったばかりなんだから、諦めてはいけない
過去を悔いるのではなくこれからどうするか考えたほうが良い

同年代のタキルやハクガには負けられない
良きライバルであるとアーツは思っていた
by meruchan0214 | 2006-11-20 11:35 | 架空世界[フリトアネイス]


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