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18陣 誘う 屋敷

今までのDEPSとは違う
メルが言うには関与している人間が違うということであった
倒したスライム状のDEPSはバーストフレアで消滅してしまった為に検証する事はできない

「でも、ハイシェントにそんな力があるなんてね・・・、私のエレストリカよりも強いかも」
「分からないけど、急に力が湧いてきたという感じだよ」
「ふぅん」

戦いが終わって一息つく二人

「安心するのはまだ早いわよ」

どこかで聞くいたことのある声、その声の主はリーシェだった

「リーシェさん!!」

リーシェが現れた事によって、メルがハイシェントの傍までやってきた
棗は戦闘態勢をとり、竜哉はどうしていいか迷っている

「ふふふ」

リーシェは呪文を唱えはじめ、一匹のDEPSが召喚される

「ナイーズ、彼らの相手をしてあげなさい」
「了解しました」

女性の体と顔、鳥の足と翼を持ったDEPSが現れる
神話に出てくるハーピと言っても差し支えがないほどである

「リーシェ様直属の三神将の一人ナイーズ参る!!」

ナイーズは大きな翼を羽ばたかせると一気にこちらに向かってきた

ドガッ!!

レドンとはまた違ったタイプのDEPS
空を飛び、高速で移動して攻撃をしてくる

「早いな」

今まで出会ったDEPSの中では間違いなく最速である
その動きはなかなかに捕らえづらい

「ナイーズ、後は頼んだわよ」
「リーシェさん!!待って!!」

メルが呼びかけるがリーシェはその言葉が聞こえていないかのように無視した

「ふふふ、私に追いつけるかしら」

ナイーズは縦横無尽に辺りを飛び回っている

「こっちよ、こっち」

挑発しながら周囲を飛び回る

「こっちだって、飛べないわけじゃあないんだ!!」

ハイシェントとエレストリカが空中に浮かび上がりナイーズと対峙する
だが、ナイーズはまるで追いついてみろとでも言うかのように飛び始めた

「逃げるつもりか!?」

竜哉と棗はナイーズを追いかける

「これまでは予定通りか」

ナイーズはボソリと聞こえないような声で呟いた
ある程度飛び、山間の中にナイーズは立ち止まった

「ふふふ、私達が巨大な体が私達の全てじゃないのよ」

ナイーズが不敵に微笑むと体が小さくなっていく

「なっ」

突然のことに驚く二人

「二人とも、私が後を追うから降りてきなさい!!」

二人の通信にメルの声が飛んできた
正直、DEPSがあんな能力を持っているとは思ってもいなかった
竜哉と棗はお互いにVACGから降りると、銃を片手に合流した

ガサガサガサ

茂みの奥からメルが出てくる

「ナイーズとかいうDEPSはあっちに逃げたみたい、屋敷に逃げたのまでは確認したわ」
「逃げたというのは妥当の表現じゃあなさそうだけどね」

棗の言うとおりだろう、明らかにこちらを誘っている

「でも、行くしかないよな・・・」

竜哉の言葉の通り行くしか道は無い
こちらは生身だが、メルが戦うつもりであった
二人はその事がどんなに心強く、嬉しかった

「ここは・・・」

屋敷の前まで来ると、竜哉は急に気が遠くなるような感覚に再び襲われた

『早く・・・、ここに・・・』

どこかの研究所の部屋の中、カプセルの外には怪しげな機械が並んでいる
そして、一人の人間がその機械の前に立っており、周りのモニターには竜哉達の姿が映っていた

「た・・・・・・ん・・、竜哉君!!」

棗の呼ぶ声に自分の意識が戻ってきた

「あ、ああ、すまない」
「もしかして、また何か声がしたの?」
「ああ、もしかしたらその人はここに居るかもしれない」

自分が直接見たわけではない、頭に風景が浮かんできていた
その自分を呼ぶ声が見ている風景だったのだろう

「ダリアがここに・・・」

メルは屋敷をじっと見つめた

「メル、もしもの時は頼むな」
「ええ、今回はダリアとリーシェが絡んでいる以上私も本気でやるわ」

三人は屋敷の中へと足を踏み入れた
それぞれの思いを抱きながら、暗い道を進んでいく
by meruchan0214 | 2006-11-29 23:19 | 竜の翼 ハイシェント


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