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堕ちた天使 2

人と妖、存在こそ違うものの本質は人間と変わらない
太古の昔から存在する者もいれば最近生まれたものもいる
人の影で生きる存在、それが妖なのだ

「夕子、どうした?」

考え事をしている夕子に話し掛ける隆泰
最近ずっと考え事をしている夕子を心配しての事だった

「あ、いえ、何でもないです」
「そっか、それならいいんだが」

何でもないわけではない、だけど相談しても解決するわけでもない
隆泰は人間とはいえ、実力は妖と同等かそれ以上、夕子も隆泰から学ぶ点は数多くある

「あんまり、考え込むなよ」
「はい」

口ではハイと答えるものの自分自身考えないと言うことは無理だった
どうしても、悪い方向へと考えこんでしまう
仕事に身が入らないまま、終業の時間がやってきた

「お疲れ様でした・・・」

いつものような元気がない夕子、今が一番悩んでいるときだった
自分が神の教えに背いている事をやったことがあるのは分かっている
しかし、自分は神から生まれた存在、いうなれば親を裏切っている事と同じだった

「でも、私は人間の良さを知ってしまった」

夕子のような天使達では神の言葉が絶対である
しかし、極々まれに夕子のような存在が生まれてくるのもあるのだ
いや夕子ような存在が生まれるのではなく、地上の環境が天使を変えるのだ

考え込みながらも家へと着く夕子
扉を開ければ朝子が出迎えてくれるはずだった

「朝子?」

いつもならば、扉を開ければ真っ先に飛んでくるのだが今日はそれがない
それどころか人間の、朝子の気配が全く感じられない
その代わりに、妖の気配が部屋の中からはっきりと感じ取れる

「まさか・・・!!」

夕子は急いで部屋の中に駆け込む、そこには誰もおらず霧だけが充満していた

「この霧は・・・ヴァンパイア!!」

霧の姿を取れるのはヴァンパイアの特徴でもあった
夕子は戦闘の構えを取ると、霧は一箇所に集まり人型を形作る

「お前の妹は我々が預かった、妹を帰してほしければ、一人で山間の屋敷まで来ることだ」
「山間の・・・まさか、貴方たちは!!」
「ククク、待ってるぞ、もしも仲間に伝えたら即刻妹の命はなくなると思え」

ヴァンパイアは伝えたい事だけ伝えると再び霧の姿になり、この場からいなくなった
夕子は怒りと焦り、そして朝子を巻き込んだ事を後悔していた

「まさか、奴らに生き残りが居たなんて」

夕子には現れたヴァンパイアに覚えがあった
自分が以前粛清したはずのヴァンパイア、消滅させたはずである
それが復活したのか分からないが、朝子を連れ去ったのは確かである
すぐさま、夕子は天使の姿に変え空を飛び立つ

「待っててね、朝子・・・!!」

夕子は一人飛び立った、罠とは知っていても朝子を助けなくてはいけない
神がとか関係ない、朝子を助けたい、その一心で夕子は屋敷へと向かった
by meruchan0214 | 2007-01-01 23:27 | 短編小説


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