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死神と呼ばれた少女 2

死神と呼ばれた少女が居た、自分自身が死ぬことはできなかった
死のうと思ってもいつも誰かが自分を助けてしまう
今回もまた自分を助けた人間が一人、それによってまた人を殺してしまう
彼女の心の傷は深く深く暗いものであった

しかし、また自分自身がその安堵を求めているのは確かだった
関わってほしくはない、でもその助けてくれるということに喜びを感じてしまう
人間誰でも孤独ではいたくはない、誰かを求めている

自分自身を助けた人間、長い黒髪の女性
親のように自分を包んでくれる、でも少女自身の力で殺してしまう事を恐れた

黒髪の女性は少女を護ると言った
例え、死神に魅入られた少女だとしても、自分が護ると言った

黒髪の女性は全てを分かっていたのだ
少女が望まなくても他人の命を奪ってしまうことを
それによって少女が孤独を強いられたことも全て分かっていた

それを分かった上で黒髪の女性は少女を助けたのだ
自分もそうであったから、他人に救われたから
今度は自分がそういった人間を助ける番であると

彼女もまた少女と同じ力を持った人間だった
同じ力を持つ少女、自分にはすぐ感じることができたと

少女はすぐには信じることができなかった
今までの自分にはそんなことできる人は誰一人としていなかった

でも、仲間が居る、助けてくれる人が居る
それをどうしても信じたかった

人にはない力を持って生まれてきてしまった少女
その力を理解してくれる女性
少女を包み込んでくれるその抱擁は少女の心を溶かしていった
by meruchan0214 | 2007-01-25 09:28 | 短編小説


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