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ハクガの章 11輪 思うが故に

ハクガとユミルは決起の為の集会に参加していた
本来グラディアの騎士であるハクガはそれを抑えなければいけない立場ではある
だが、今の現状を見て、村の人達を見捨てるわけにはいかなかった

「丁度いい機会かもしれないな・・・」
「何が?」

ハクガの漏らした言葉にユミルが聞く

「グラディアの騎士を辞めるってことだ」
「え、どうして?」

ユミルはハクガの突然の言葉に驚きを隠せなかった
しかし、ハクガ自身は強い意志をあらわしていた

「オレが騎士になったのは、村の仇を討つため」
「うん、それは前にも聞いた」
「だが、逆に騎士になったことで色々押さえつけられる面も色々見てきた」
「今回みたいな?」

ユミルの言葉にハクガは頷いた

「騎士でなくてもやれることはあるということだ」
「でも、結局はグラディアの為・・・でしょ」
「まあな」

グラディアには感謝していた、村から逃げてきた自分を保護してくれただけではなく
騎士団の一員にしてくれたこと、子供達を快く引き受けてくれた事
恩を返したかったが、騎士という立場ではそれができないということもある

「いいんじゃない、ハクガのやりたいようにやればさ」
「すまないな、ユミル、お前には迷惑をかける」
「大丈夫だって、みんな分かってくれるよ」

明るくポンポンと肩を叩くユミルの手は少し震えていた
何故震えていたのかはハクガには分からなかったが、言及することはない

「いっその事、盗賊団でも作ったら?」
「それもいいかもな」

ハクガはユミルの言葉にうっすらと微笑を浮かべる
ユミルもそれを見て、にっこりと笑った
by meruchan0214 | 2007-03-20 12:29 | 架空世界[フリトアネイス]


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