2006年 06月 27日 ( 1 )

護犬 まもりいぬ 2

プルルルルル

携帯が鳴っている
送信者は山野辺さん・・・と言うことはあっち方面の仕事らしい

山野辺さんというのはこの辺りの妖のネットワークの長を務める人物で普段は飲食店の店長だ
まあ、実際仕事するのは私ではなく、ヤマトと貞子さんなのだが・・・
二人ともいつも私の傍に居る為に連絡は私にくるというわけだ

「ヤマト、貞子さん、今日の帰り、三彩屋(みさや)に寄りますよ」
「了解だ、ご主人」
「は~い」

月に数回こういったことが連絡がくる
こういうことが大好きな私にとっては丁度いい事なのだ

お店は見た目ごく普通の料理屋さん
しかし、器物のほとんどや利用する客の半数は妖という、妖ご用達の店でもあるのだ

「こんにちは~」
「お、春香ちゃん、待ってたよ」

この気さくなおじさんが山野辺さん、齢1000年の龍らしい
長生きしているせいかたまに説教じみた話をするのが玉にキズ
だけど、それ以外はいたって普通のおじさんである

「マスター、今回の依頼とは?」
「ああ、そのことなんだがね」

山野辺さんは資料を私達に渡してくれる

「ここの調査に行ってもらいたいんだ」

資料によるとその場所は近くにある下水処理場だった

「ここがどうかしたのですか?」
「うん、最近妙な噂が立っていてね、被害が出る前に手を打っておこうって事になったんだ」
「へー」

その噂とは下水に人型の生物が住み着いたらしい
あくまで人型の生物というのはまだ確認していないためで
それを見てからネズミなどの死骸がそこらじゅうに散乱するようになったらしい
死骸はいずれも噛み切ったような後があり、捕食されたものと思われる

「ご主人、いつも言っていることだが・・・」
「一緒に来るな、でしょ、大丈夫だって」

ヤマトは心配性だ、まあ私を護ることが第一だからしょうがないのかもしれないが

「以前もそう言って危険な目に遭っているではないですか」
「そんな時はヤマトが護ってくれるんでしょ?」

護ってくれる、都合のいい言い訳でしかない
だが、やっぱり気になるものは気になるし、こんな面白いことに首を突っ込まないわけにはいかない

「ヤマト君も毎度のことなんだから諦めたら~?」
「諦めたらとは・・・、我はご主人に危害が加わらないようにだな」
「まあまあ、私が付きっきりで春香ちゃん護るからさ、それならいいでしょ?」

貞子さんの説得に応じたのか、ヤマトはしぶしぶ了承する

「ぐぅ・・・、絶対に傷つけるんじゃないぞ」

ヤマトは本当に私の事が心配でしょうがないんだと思う
だからこそ危険な場所には連れて行きたがらないし、傍に居て護ってくれる
義務だからとか言ってたけど、きっとそれ以上の何かで私達は繋がっていると思っていた

「んじゃ、早速行こう~」
「気をつけていけよ~」

私達は問題の下水処理場へと向かった
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by meruchan0214 | 2006-06-27 19:05 | 短編小説