人気ブログランキング |

2007年 01月 16日 ( 1 )

堕ちた天使 8

隆泰達の助けもあり、何とかヴァンパイアを退けることには成功した
しかし、肝心の朝子がボーッとしたまま動こうとしない
心がここにない、そんな感じだった

「朝子!!」

夕子の声に反応して、目に生気が戻ってくるがその反応は今までとは違った

「いや!!こないで!!」

姉が人間ではないということを知ってしまった事実だろうか
人間は自分とは違う存在を否定してしまう傾向があった
覚悟はしていたけれど、実際に向き合ってみるのは辛い事である

「お姉ちゃんに成り代わった化け物!!」

夕子はショックを隠しきれない、命よりも大事にしてきた妹
それに拒否されるということは、自分の存在価値すらなくなってしまうかと思える

「しょうがないな・・・!!」

隆泰は独り言を呟くと、朝子に当身をして気絶させてしまう

「な、店長!!一体何を!!」
「今のまま説得した所で、逆効果だろ、朝子ちゃんはあんなに夕子になついてたんだ、落ち着いて話せば大丈夫さ」

隆泰はそう言うと朝子を抱きかかえる

「ま、落ち着くのは朝子ちゃんだけじゃないけどな」

隆泰に言われ、夕子は自分でも朝子に言われた事で感傷的になっていたことを認識させられた
朝子の両親の代わりに今までずっと朝子の面倒をみてきた
元の姿を見られれば拒絶される可能性があるということも分かっていた
確かに自分自身考える時間がほしかった

「朝子ちゃんは俺たちが責任持って家に連れていくから、しっかりしろよ」
「夕子ちゃん、朝子ちゃんはきっと分かってくれるから、頑張って」

隆泰と恵はそれだけ言うと朝子を連れて帰ってしまった
一人残された夕子、そのショックは計り知れないものがあった

「朝子・・・、もし分かってくれなくても」

自分自身に決意の表情が浮かぶ

「それでも、私は貴方は護り続けるから」

自分の正体を明かすリスク、それを真正面から受け止めなければならない
例え朝子にどんなに罵られようとも、朝子の両親に頼まれた事
絶対に朝子を護り続けることを止める訳にはいかないのだ
by meruchan0214 | 2007-01-16 00:08 | 短編小説